第13話

香織と涼介、一郎、そして花子は、探偵事務所で次の作戦を練っていた。彼らは、手に入れた証拠をどうやって安全に公表するかを議論していた。


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探偵事務所の一角にある小さな会議室。机の上には、手に入れた証拠の書類が整然と並べられている。香織は書類をチェックしながら、最後の確認をしていた。


「さて、これで準備は整ったわね。次はどうやってメディアに渡すかが問題ね。」

香織が真剣な表情で言った。


「そうだな。企業の反撃を考えると、慎重に進めないといけない。」

涼介が考え込んだ。


一郎は、書類の山を見ながら困惑した顔をしていた。

「でも、こんなにたくさんの書類をどうやって持ち出すか…」


その時、花子がニヤリと笑って言った。

「ちょっとアイデアがあるわ。私たち、記者を装って企業の広報担当に直接渡しに行くのはどうかしら?」


「それは面白いわね。でも、どうやって記者のふりをするの?」

香織が興味津々に尋ねた。


「私の記者仲間に頼めば、本物の記者証を貸してもらえるわ。彼らもこの件に興味を持っているし、協力してくれるはず。」

花子は自信満々に答えた。


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次の日、花子の記者仲間である**鈴木 太郎(すずき たろう)**が探偵事務所にやってきた。彼は本物の記者証を持参し、彼らに貸し出してくれた。


「ありがとう、鈴木さん。これで準備は整ったわね。」

香織が感謝の言葉を述べた。


「大丈夫さ。これが真実を明らかにするためなら、喜んで協力するよ。」

鈴木は微笑みながら答えた。


「じゃあ、行きましょう。企業の広報部に直接乗り込むのよ!」

花子が意気揚々と叫んだ。


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香織、涼介、花子、一郎は、記者のふりをして企業の本社ビルに向かった。彼らは鈴木から借りた記者証を見せて、無事にビルの中に入ることができた。


「こんにちは。私たちは新聞記者です。重要な情報を広報担当に渡したいのですが、会っていただけますか?」

香織が受付で冷静に話しかけた。


「はい、少々お待ちください。」

受付の女性は確認を取ると、彼らを広報部のオフィスに案内した。


広報部のオフィスで待っていると、一人の中年男性が現れた。

「こんにちは。広報担当の田中です。何かご用でしょうか?」


「田中さん、実は…」

涼介が話を始めようとしたその時、香織が突如思いついたかのように割り込んだ。


「実は、あなたにとても重要な証拠をお渡ししたいのです。これは企業の未来に関わる重要な情報です。」

香織は真剣な表情で資料を差し出した。


「これは…」

田中は驚いた表情で資料を手に取り、目を通した。


「ご理解いただけましたか?この証拠を公表すれば、企業は再生のチャンスを得ることができるでしょう。」

花子も加わった。


「わかりました。この資料は直ちに上層部に伝えます。」

田中は深く頷き、資料を持ってその場を去った。


「やったわ!これで企業はもう隠し通せない。」

香織が歓声を上げた。


「本当にありがとう、鈴木さん。これで真実が公表されるわ。」

涼介も感謝の意を表した。

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