港町事件簿 探偵事務所編 『始動』

第1話

門司港の朝は、どこかノスタルジックな風景に包まれている。古びた建物が立ち並ぶ通りには、歴史の痕跡が色濃く残っており、海からの爽やかな風が心地よい。陽光が海面に反射し、キラキラと輝く様子が美しい。その光景を背に、一軒の古いビルが静かに佇んでいた。そこには、新しい看板が掲げられている。

**「三田村・藤田探偵事務所」**

と書かれたその看板は、まだ塗料の匂いが微かに残っている。事務所の中は、香織と涼介のセンスが光るモダンで落ち着いた内装が広がっていた。

探偵事務所の開業祝いのパーティーが行われており、友人や関係者が集まって賑わっている。香織はカウンターでシャンパンを注ぎながら、仲間たちと談笑している。涼介は、クッキーを片手に少し緊張しながらも新しい探偵事務所の将来に期待を寄せていた。

「涼介、こんなに人が集まるなんて思わなかったわ。今日はうまくいったみたいね。」

と香織が言った。

「そうだな、香織。でも、これからが本番だ。次は本格的な事件が欲しいところだな。」

と涼介が応える。

突然、ドアが勢いよく開き、血まみれの男性が倒れ込む。パーティーの喧騒は一瞬で静まり返り、驚きと恐怖の表情が広がる。

「キャーッ！誰か救急車を！」と香織が叫ぶ。

男性の手には、血に染まった封筒が握られていた。彼はジャーナリストであり、最後の力を振り絞って封筒を香織と涼介に渡す。

「これを…真実を…明らかにしてくれ…」

彼の言葉は、か細く途切れ途切れだった。

---

港町の静かな夜。古びた街灯が微かに照らす道を歩く香織と涼介。彼らの表情には決意と覚悟が見て取れる。

「香織、これはただの事件じゃない。これから始まるのは、大きな戦いだ。」と涼介が言う。

「わかってるわ、涼介。でも、私たちならできる。真実を暴いて、この街を守るために。」

香織の声には力強さがあった。

香織と涼介の影が長く伸び、彼らの後ろには古い建物と波打つ港の風景が広がる。これから始まる戦いに向けて、二人は静かに歩みを進める。

---

「これは、真実を求める者たちの物語。彼らの前には、数々の困難と陰謀が立ちはだかる。しかし、決して諦めることなく、彼らは前に進む。真実を追い求めるその姿が、門司港の夜を照らす光となるのだ。」