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 そんな日中を過ごし、また夜となる。天飼は夜勤に出向き、チエロは悪魔狩りに出動した。いつもの夜であった。

 二人が帰宅するのは明け方となる。普段であれば、チエロはそのままハンモックで眠りに着き、天飼は酒を飲んでから眠るのだが———

「ねぇ、私が飲んでも良いお酒はあるかしら」

 衝立から顔を出したチエロに問われ、天飼の酌の手は止まる。チエロが衝立の布を押し避けて天飼のスペースに入り込むと、天飼は缶チューハイを差し出した。チエロは缶を受け取ると慣れた手つきでそれを開ける。

「お前、飲めるのか。未成年じゃないのか」

「あんた私が未成年だと思っててあのとき手を出したわけ?」

「………………」

「はっ。あんたの数倍は生きてるよ」

 チエロは缶を傾ける。

「お前、いくつだよ」

「まだ百十六歳」

 天飼は酒を飲む手を止めてまじまじとチエロを見つめる。意想外の事実に酔いが醒める気分だ。チエロは得意げに前髪を払った。

「……いったいどういう風の吹き回しで酒を飲む気になったんだ?」

 天飼は疑問だったことを口にする。

「ん~……」

 チエロは少し考え、

「教会に行く手間が省けたから、かしら。余裕があるわ」

「そうか」


 チエロは飲酒をほどほどに控え(そもそも人間用の酒では満足に酔えない)、天飼が数本を飲み干し、泣き上戸となった末に眠りに着いたのを見届けてからハンモックに戻った。

「ねぇ、あんたもたまには飲まないの?」

『……勤務中に飲めるか』

「大変ねぇ」

『常に見張っていないとならないからな。オペレーションをしていない時間は会議と報告だし、飲んでいる場合ではない』

「ブラックだこと」

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