第51話 VS キャム④
極太レーザーを防ぐことはできたものの消耗が激しいキャムはヴァンのことを見つめる。
ヴァンはキャムにレーザーを防がれた後、変形を解いて元の姿へと戻っている。
盾はキャムに投げたこともあり、今は手に持っていない。
しかし、ヴァンは変形により、盾を再度作り出すことも容易であるため、盾がないというアドバンテージは意味をなさない。
キャムはここからどうすれば、ヴァン相手に時間稼ぎができるのかと考える。
一方、ヴァンはキャムの脅威的な硬さと再生能力に感嘆していた。
ヴァンは第二の封印を解いている状態だ。
そのため、管理者の時とは比べ物にならないほど攻撃の火力が上がっている。
そして、先ほどのレーザーも何棟ものビルを一瞬にして蒸発させられるほどの威力を範囲を狭めることで、威力を底上げしたものだった。
それをキャムは完全に防ぎ切ったのだ。
キャムのその高い防御性能にヴァンは少々驚いた。
他にもあのキャムの目から放つビームの威力も想像よりもはるかに高く、ヴァンは盾に極めて強力な防御術式を何重にも重ねて展開している。
それほどまで盾を強化しなければ、キャムのビームを防ぐことはできないのだ。
キャムは攻守共に強いことを知り、あの管理者で遊ぶよりも早くキャムと遊んでいたかったと思った。
そして、ヴァンはこれだけの攻防で気付きつつあった。
キャムがレーザーや魔力に対する耐性が高いのに対し、物理攻撃面は魔力などに比べて耐性が低いことに。
物理攻撃の中でも特に打撃に弱いことにはまだ気づかれてはいないものの、物理攻撃への耐性の方が低いことには気づかれてしまっている。
そのため、ヴァンは次からはレーザー主体ではなく、近接戦闘を主体として戦おうと考えていた。
キャムは絶体絶命である。
ヴァンは数え切れないほどの戦闘をこなしてきているため、相手の弱点などを見つけることが得意である。
最近は戦闘を楽しむ戦闘狂へとなり変わってしまったため、あまり弱点をすぐに狙うようなことはしなくなったが、それでも見つける能力は健在だ。
逆に、すぐに倒さないようにするために相手の弱点を避けられるよう、弱点を見つける能力に磨きがかかっている。
今回のヴァンはキャムが自分の弱点に対し、どのように対応してくるのかが気になり、弱点を狙っていく方針である。
ちなみに、管理者との戦いでは彼の弱点を見つけられていない。
これは封印解除前でもヴァンとの実力差がありすぎて、彼の全てがヴァンにとっては弱点であったためである。
なので、しっかり弱点分析されているキャムはそれ相応の実力があるということだ。
ヴァンは全身のロケットブースターを蒸すと、キャムへ向けて突撃する。
今度は左手を剣へと変形させると、キャムへ勢い良く斬り掛かる。
キャムは切り付けてきた左手を刃先ではないところを掴み、何とか攻撃を受け止める。
斬撃系統の攻撃ではキャムの毛を貫通することは中々ないのだが、ヴァンの攻撃力の前には絶対とは言えない。
そのため、キャムは攻撃を受け止めることにした。
攻撃を受け止められたヴァンは左右肩から生えている腕をキャツへ向け、同時にレーザーを放とうとする。
しかし、キャムが勢い良く押したことで照準が乱れ、レーザーは空を切った。
キャムはそのまま近距離でビームを放とうとするのだが、ヴァンが両肩の砲身で再びキャムへ向けてレーザーを放つ。
キャムはレーザーを避けるためにヴァンから距離を取りながらビームを放つ。
ヴァンはキャムが離れたことで、身動きが取れるようになった。
そして、ヴァンは右腕を肩についている砲身や腕の全てを高速変形させ、超巨大な方針へと変形させる。
超巨大な砲身へと変形させたヴァンはキャムのビームを相殺するようにレーザーを放つ。
ヴァンのレーザーとキャムのビームは激しくぶつかり合い、お互いが相殺し合って激しい爆発が発生する。
あまりの威力にヴァンもキャムも後方へ吹き飛ばされてしまう。
しかし、ヴァンだけは新たに複数のロケットブースターを増設すると、全身にあるロケットブースターを全力で蒸す。
ロケットブースターを蒸したことで発生した推力は爆発の突風よりも大きく、ヴァンはキャムの方へ一気に距離を詰める。
キャムは何とか体勢を立て直そうとするが、突風の勢いは凄まじく、キャムの力ではどうすることもできない。
キャムが突風に抗えずに吹き飛ばされているところに、右腕を巨大なハンマーへと変形させたヴァンが接近してくる。
そのハンマーは通常形態の時に使っていたハンマーを巨大化したものであるが、後方についているロケットブースターはハンマー本体と同程度の大きさである。
キャムはこのハンマーで全力で殴られるのはまずいため、何とか回避しようと足掻くが、上手く動くことができない。
そうして、身動きの取れないキャムはヴァンの巨大なハンマーによるフルスイングを直撃したのだった。
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