第2話 星空

この世界には魔法というものがある。

それは、この世界に存在するエネルギー・魔力を消費して起こされる奇跡だ。


属性には、炎、水、草、氷、風、雷、土、の基本属性。

そして、特殊属性に聖、闇等がある。

使える属性は産まれた時に決まり、その後増やすことはできない。



魔物は一部の例外を除いて、全て凶暴だ。

自分のテリトリーに入った者に容赦はしない。


┄ガァァァ!┄


「うるさいなー」


俺は土属性魔法を使い、狼型の魔物へ向けて土槍を射出する。

(まず、1体やった。後2体残ってるな。)


取り敢えず、さっきと同じように魔法を撃つが、避けられてしまう。


が、想定内だ。魔法を撃つと同時に駆け出していた俺は事前に鞘から抜いておいた剣をふるい、その首を斬り飛ばす。


すると、もう1体が飛び掛かって来た。


「これで最後。」


父さんからもらったダガーを左手でふるい、その喉元に突き刺す。


魔物は全て生き絶えた。



「やっぱ整備されていない道は魔物が多いね。」


俺は今、メサイア王国の王都グランに向かって北上している。


ここ数ヶ月まではちゃんと整備された道が有ったのだが、土砂崩れによって街道がふさがれてしまっていた。

そこで、旧街道を通ろうとしたのだが、魔物が頻出して進むスピードが落ちてしまっている。


だが、この環境だからこそのメリットがあった。

それは、食料の採集にうってつけの環境であるという点だ。


旅に出る前に事前に塩辛い干し肉や乾パン、水等の食料は用意していたけれど、新鮮な物があるならそちらの方がいい。


という訳で、俺は今果実や木の実なんかを集めている。


(さっき狩った狼型の魔物の肉を食べてもいいんだけど)


何を隠そうこいつの肉の味は、……とても食べられたものではない。

まあ、食べたことないんだけど。人づてに聞いたことしかないんだけど。

こいつの肉の味は酷過ぎるので、塩分過多の干肉を食った方がましだ。

なので、こいつの肉を食うのは最終手段だ。


(どっかに適当な生き物いないかなー………っていたわ。)


そこには鹿型の魔物がいた。


(でもなーこいつ強いらしいんだよねー)


話によると、さっき戦った狼型の魔物達よりも遥かに強いらしい。


(負けることはないと思うけど)


取り敢えず魔法による攻撃のしやすい場所へ向かおうとする。


が、

┄ゲ・ゲ・ゲ・ゲ┄

突如として鹿の鳴き声が威嚇するためのそれに変わる。


「気付かれちゃったか」


鹿の魔物が魔力の影響で通常の鹿よりも肥大化しているその体で突進してくる。


今のミドの体では、ひとたまりも無いだろう。


だが、ミドにはがあった。


「土…いや、石壁」


ミドの目の前に現れた石の壁が鹿の角を阻み、その衝撃で鹿が一瞬怯む。


「からの石槍」


石壁に収束した魔力が槍の形を成し、石壁の表面から射出される。

狼の魔物に放った時よりも速く放たれたそれは、鹿の頭を吹き飛ばした。


「肉ゲット」


取り敢えず死体の解体をしよう。



それから解体を終わらせ、俺はとある問題に直面していた。


そう


俺は全くと言っていいほど料理が出来ない。


「絶対に戦闘力以外にも旅に必要なものあったでしょ。」

生活力とか生活力とか後は生活力とか。

やっぱり地で頭が力isパワーしている脳筋父さんに旅のことで相談するのは間違っていた。

あいつ

『力は全て解決する!!』

ってしか言わないんだもの。

蛮族かよ。


「料理が出来る仲間がほしいね。」


炎魔法で集めていた薪に火をつけ、土魔法で作ったフライパンに鹿の肉を乗せる。


「油は…肉についてたでいいでしょ。」


しばらく焼いて、中まで火が通っているかを確認する。


「大丈夫そうだな。」


持っていた塩を振りかけて………

一応完成だ。


「いただきます。」


それから俺は、鹿肉のステーキと見たこともないフルーツを食べた。


幸い、腹を下すことはなかった。



俺は背負っていたテントを組み立て、寝袋をその中に敷いた。


「それにしても凄い星空だ。」


星の名前なんて少しも知らないが、星を見ること自体は好きだ。


「綺麗だなー」


ところで、寒い地方では空にオーロラというものが架かるらしいが、いつか見ることが出来るのだろうか。


「楽しみ。」


それから俺は、明日に備えて眠りについた。




























 

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