第7話 ハルと愉快な仲間たち
一週間がたった。今日まではハル達新人は訓練に明け暮れていたが、ついに仕事が始まる。
「これが書類で…剣と、軍服、軍服は来て寝るかぁ…」
心臓の音が聞こえる。ハルは深夜2時まで眠れなかった。
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「ここがお前の机、何かあったら課長の俺に報告しろ。」
と、五級の人が言う。五級といったら変に聞こえるが、彼はその五級の中でのトップなのである。
すでに四級に昇格していい腕だが、責任が増えるのが嫌らしく。ここの課長をやっている。
厳しい人だが一人ひとりのメンタルケアを欠かさない素敵な人物だった。
「えっ~と」
「書類はここ、何かあったら無線器をすぐ取れるように、右手のスペースは開けておくこと」
急に、別の方から声がきこえた
「ふぉっ」
聞き慣れたといえば聞き慣れた声だ。115号室のあの人だ。よく考えればこの人とも一緒に働くのか
「あ、ありがとう…」
ちなみにここに住むようになってから、ハルと彼は同い年ということが判明した。いまはタメ口ということになっている。
「例なんていらねぇ!たまたま見かけただけだ。」
そういって自分の席に戻る。
名前も聞いてないあの人は口数も少なくイマイチ距離感が掴めない人物だ。周りに人がいない、というよりかは
自分が周りを拒絶している。そんな雰囲気がした。
入ったのは自分より半月前という。が、そんな雰囲気はしない、一年はここで働いているんじゃないかという印象をもつほどきびきびした人だった。
(無愛想だけど良くしてくれてるし、良好な関係を築けるといいな)
まあ、良好とかじゃなくなるのだが、それは数年後の話である。
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夜六時
「………ふぅ」
仕事がおわった。戦いはしなかった。タケノコとキノコの村の輸出(強奪)関係の書類とか、武器装備の点検とか、そんなもんだった。
新人にだけそういう仕事をさせているのかと、最初はそう思った、だが、そんなことはなく、皆同じことをしていた。
でもキノコ軍は現代でいう警察官のような、ある程度何でも屋みたいな、タケノコ軍絡み以外にも何か
問題が起これば出動するみたいな、そんなところもあった。新人ハルにはそんな関係なかったが
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「えっと…だから」
夜八時
ハルはとある男と共に作業をしていた。
「ええええ!?もう八時じゃん!書類の量おかしいだろ!!ここってそういう感じなんだ以外!
ブラック~!」
「いやデスク周り整頓すればある程度速く終わらせられる量だよ…」
嘆く声の主はカイム 穏やかな目付きで人懐っこく、大胆で優しい性格
仕事机が右後ろで、カイムから話しかけてくれてそこから仲良くなった。
事務系の仕事が苦手なのか、すぐにムリムリ言う、だが諦めようとはしないし、そんなところもどこか許せるようなものがあった。まるで演技でもしてるかのようにアイキョウのある人物だった。
彼とは良好な関係が築けそうだ、とハルは思う。
まあ、良好かは微妙なとこになるが、それは数年後の話
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ーそうして、一ヶ月の時が立った。
朝は剣の訓練
昼は事務と何でも屋
夜は基本のんびり
ハルはたくましさが以前よりも、ほんの少しだけました。まだ、自分一人で何かを守れる
…そのようなものではない。長い間の勤務で、ある程度自分に自信がついてきただけだ。
きっとこの自信は、本格的な戦いに出たときに崩れるのだろうか
そんなことを考えていたときだった。
「よ」
「よっ
っおおおおおおおおおおおおお!!!!っ!?」
振り返るとレイがいた。
「あっあ、 はっ!」
ぎこちない動きで姿勢を正す
上級とは初日のパアワとの会話以外事務的な会話しかしてなかった。だからこんな素でキノコ軍統率者に話しかけられるのは驚くことこの上ない
ハルは自分が臆病だという自覚はあった。
しかし、この驚きようは自分でも笑えてくる。もちろんレイも
「ぶっははは お前、面白いなぁ」
お前、か…
初対面のときは「君」だったのに何時のまにか「お前」に気付いたらなっている。それほど親しくした覚えはないが、距離の詰め方がえぐい。
2つの意味で
(いい匂いは…しない!)
泥臭い匂いがした。ほのかな血の匂い。そりゃ一級だし。戦いに出たなんて気にしないし
というか、皆どこか戦い慣れているというか、その顔はどこから湧いてくるのだろうか?
普通、人に刃物を通すとか、考えたくもないものだが、
それはいい。会話をしなければ
「どっ、どうしたんですか…?」
「いゃあ、招待したの私だし、少し様子をね、仕事はどう?」
「なるほど…仕事はそこそこ順調ですよ。人間関係にも恵まれてもらって」
「ふ~~~ん………まあ、そうだよな…」
人間関係、恵まれる といったワードが出たところでレイの目が細くなる。
どういう意味がわからないが…
そうだ。聞きたいことがあった
「…どうして、俺をキノコ軍に?」
(おっ、それを聞いてくれるのをまってたお~)
「あ~……君が強そうに見えたから、あと、なんか既視感があって良さそうだったから
私の勘がいってる。君は強いんだよ、生き残るんだよ。」
「はぁ…」
「だからさ…」
「ーー明日、一緒に初任務に行かない?」
彼女とは良好とかそういうレベルじゃなくなるのだが、それは数年後の話。
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