第17話 城宮 信代

ナトとマグローはショウユウと協力する事にしたようだ。




そして朝になり、人里離れた丘へやって来た3人。


↓ナト

「その生物兵器って どんな奴ですか?」


城宮しろみや 信代のぶよという人型生物兵器だ。畳や襖のような柄のついた和服を着ている少女のような見た目だが、戦国時代からいる。

有力な武将が所持していた城に擬態して獲物を待ち伏せる奴で、食った人間は100や200ではないだろう…」


ショウユウは返答した。マグローが尋ねる。


「そんなに被害を出したのにマークされたりは しなかったのぉ?」


「されたのだが…すると今度は姿を消したんだ。こうなると駆除できない…俺は ずっと奴を探し続けたのだが、最近ようやく後ろ姿だけを見つけられたのだ」


「「えぇ⁉︎」」


「だが いきなりすぎて覚悟ができていなかった上に、奴はフィジカルも強い…そう簡単には倒せないのだ」


「それで取り逃したんですか」

「おん」


「(あの藻の生物兵器を瞬殺したショウユウさん を圧倒するなんて…どんな危険生物なんだ)」




◇◇◇



「ここが奴を目撃した場所だ」


ショウユウは2人を山から少し離れた、荒れた水田地帯に案内した。



「ここだ、まだ奴が付近にいるかもしれない」


「見た感じ、どこにでも ありそうな田舎の風景ですが…」



「いいや、

「「えぇ⁉︎」」



ショウユウは謎の確信をした。彼は理由を話す。


「醤油を奴の衣類に付着しておいたんだ。俺が生成した醤油は場所を探る発信機のように使う事もできるからな」


「それ先に言ってくださいよ、心臓に悪いです」

「すまん忘れてた」


「もしかしてショウユウさんポンコツぅ?」


「よく言われていたな…だが俺はそうは思わん」

「(良いのか それで…)」



「だが俺も自分の実力を過信しすぎる訳にもいかない。

Twitter(新X)で機密の目撃情報を募ったら、ここで見かけたという人が多かった。

だから ここだ」


「でも嘘情報とか怖くないでs」

「いや、もう確定した情報だ」




ショウユウは指を前に向けて言い続けた。


「なぜなら もうそこに城宮 信代害獣がいるからだ」






3人の目の前にいたのは、畳や襖のような柄のついた和服を着ている少女だ。


彼女こそが城宮。ナトはドキッとした。


「(もう いる⁉︎いつからi)」



↓城宮

「やぁショウユウ、久しぶりだね。何百年振りかな?」


「すまないが、俺は少し前にお前を見つけたんだ。そのついでに醤油を一滴お前の服につけておいた」

↑ショウユウ


「あーこれね、私の探知能力も回避するぐらいの量でも ちゃんと私の居場所が わかるんだ」


「話は終わりだ。○ね」



ショウユウは城宮に向けて醤油を触手のように伸ばす!


ズバァァァァァァァァァァァァン



砂埃が舞った。しかし そこに奴はいない!


「…」


ビュンッ


いつのまにかショウユウの首元に背後から現れた城宮の手刀が!


「⁉︎…」


ガッッ



視認するのも難しい速度の城宮の手刀が、ショウユウの首へ刺さる前にナトがそれを掴んで止めた。


↓城宮

「⁉︎…誰?」


「お前が城宮か…!」

↑ナト


「先に名乗ったら どう?」


「覚えたって無駄だし どうでも良いだろ…」

「ならその手を離しな」


ブシャッ


マグローが尻尾を振って城宮の頭を吹っ飛ばす!


しかしすぐ再生し、城宮は彼の鱗を蹴りで弾き飛ばした!


ズバッッ



「(なんだこの蹴り…内臓にまで衝撃が伝わるのが わかる)」


その隙にショウユウが手刀を避け、醤油を岩のように硬くさせる。


そして それで城宮の胸を殴った!!


ブッ



「遅い」


城宮は いきなり低い声でショウユウに耳打ちし、彼の攻撃を手で受け止める。


「⁉︎」


その岩のような醤油が棘のように隆起し、彼女の手を破壊した。


ブシャァァァァァァァ



「(今だ!!)」


ナトは手から至近距離で城宮に向け納豆を雪崩のように発射する。


ブババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ




ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
















いきなり空が消えた。


「⁉︎…」


地面が畳になり、水田が襖になり、朝なのに薄暗くなる。

そして暖かい空気も感じられなくなった。


「(え?)」


ナトは畳の上に寝転がっていた。周りには壁や天井があり、まるで城の中だ。そして起き上がると、近くに城宮が倒れている。


心臓の部分に穴が空いていた。心臓を破壊したようだ。


「!…よっs」


ドドドドドドドドド



突然地鳴りがしたかと思うと、倒れた城宮の上半身が行灯によって起き上がる。


やがて行灯が積み重なり、その上に城宮の上半身が乗っかった。


そして喋り始めた!


「やぁ君、私を倒したと思い込んだ?」


「⁉︎…」




「私が そんなすぐ やられる訳ないでしょ?私は この城の姿になって、中に入った奴を食べちゃうんだ。その方が効率良いからね。

今喋っている私の上半身は仮の姿…つまりじゃない。だから今 君が与えた私への攻撃は無駄だったんだよ」


「(そうか、今いる ここがショウユウさんが言っていた城…つまり この城の内部が城宮の体内という事だろう。ならば どこかに心臓があるはず。

それを破壊すれば、この城から脱出できる上に奴を倒せるのではないか⁉︎)」


「私は食事の準備でもしてくるからね」


彼女の上半身は行灯と共に どこかへ消えた。

ナトは拳を握り締める。


「(とりあえず、マグローとショウユウさんを探さないと)」






◇◇◇





その頃、城宮は暗い部屋に寝転がっていた。


「(城内に3匹…か。もう少し取り込みたかったけど、近くにいたのはコイツらだけだし仕方ない。

さ、久しぶりの戦闘だ)」

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