第5話 ふさわしい
”
そんな言葉がふさわしい人間は、この世には限りなく少ない。他者を寄せ付けない絶対たる存在。だが、そんな言葉がふさわしい人間になるためには努力をすることで近づくことはできる。なのに、人間というのはなぜ努力を怠るのか。
それは
話を変えよう。実際のところそれは生半可な場合であり、
天才というのは素材だけで容易になまくらの価値を超えるだろう。
そしていま、そんな魔術という分野において、この世界で彼の右に出る者はいないほどの才を持ったものが、鍛錬を始めている。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!いくぞぉ!!俺の魔術ぅ!!」
高木は前回の反省を生かし、早々に魔術の練習を開始した。魔術を行使するときにもう前回の様な後悔が繰り返されないよう。そしてついに、自分が使用可能な魔術を発見した。
「
手を向けた方向に風の刃を放つ初級魔術である。そう【初級魔術】なのだ。
高木は中級以上のすべての魔術に詠唱が必要なことを、確認した。そのため、例外として唯一詠唱を必要としない初級魔術の特訓に
現在高木が使用可能な初級魔術は
炎属性
手を向けた方向に火の球をぶっ飛ばす。物理的なダメージはないが、
風属性
手を向けた方向に
水属性
自身に、水で生成した鎧を装着させる。熱によるダメージを完全に防げるうえに、水による
土属性
手を向け、前方に秒速50m程度で石の球を飛ばす。だいたい小石程度の大きさである。なお、速度を
雷属性
敵に手を付けた場合にのみ、使用可能 基本的に30V程度の電圧を与えて気絶させる。威力は変えることが可能。高木の場合は1000V位は容易に出せる。
氷属性
光属性
光を屈折させ、自信の姿を隠したり、景色を変えることが可能。ただし、相手の視野を
闇属性
使用者の解釈により、何にでもなれる。相手を
核属性
12
の以上だ
ガガガガ!!シュゥゥゥゥン
森に放ったその風切は気を数本切り倒し、そして静かに散る。初級といえど、高木のその最高級の
まず一つ目
「よし!またレベルが上がった!」
そう、魔術にはレベルという
今現在、一週間程度、
「すごいですね!!また
おそらく、この世界の一般常識にはレベルという概念はない。もしくは、レベルという概念が可視化されていないが故に
それに、ステータスという言葉も知らないようだし、これまた特別な能力なのだろう。
そして二つ目
魔術には、
魔力制御は、魔術の威力をあえて下げたり、魔術を特定の一点に集中させ、威力を上げることができる。だが、一点集中の逆をもしかり。範囲を
異世界転移した日から、すでに1週間が経過している。そんな高木は、この世界での夜を
だがこの場にいるのは高木だけではない。
「あ…あの。毎日毎日、なんでこんなところで魔術の訓練なんかしてるんですか?すでに僕からしたら
グレイ・マーソもなぜか高木に同行しているのだ。そして
その少し棘のある言い方だが、多分悪意を含んではいない。そんな発言に高木はどのような反応をするのだろうか。
「むひ、むそう…って…何?」
「…簡単に言うと、とっても強いってことです。」
難しい表現をしてしまったことで、高木の脳内がフリーズする。透き通る青い空を眺めながら高木は微動だにしない。
「そういう意味ね…まぁでも、そういう事なら俺は別に他人より特別強いってことないと思うよ?弱点もいっぱいあるし。」
「そういうものなんですねぇ…強くなっても
(なんか…言葉のところどころに
とのことを考えたが、善意であろうし気にしない。実際、高木は魔術が好きなのもあるが、高木は中級以上の魔術を実質扱うことができない。相対的に
つまりマーソは
「いやぁー本当に面白いな。この世界は」
高木は危機に瀕しつつも、この状況を楽しんでいた。元の世界じゃどう足掻いても体験できない
「ところで、聞く機会がなくて今更感あるんですけど、どこから来たんですか?」
高木の表情筋が消えうせる。
「……あっ…えぇぅっ…えっとぉ…あのぉ」
高木はとても困っている。魔術という響きのせいで、最も
高木至上、最大の危機である。
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