第8話 自由(?)の国
ルインとソフィアは長年整備されていない事がわかる荒れ果てた道を歩いていた。
「ソフィア。国まで後どのくらいだ?」
「んーとね、あと1日くらい野宿したら着くよ。」
「そうか、一応着く1時間前くらいになったら教えてくれ。」
「ん?どうして?」
「変装する。」
「え?する必要無いよ?私も居るんだし。」
「いや、お前にも変装をして貰うからな。」
「どうして?私、一国のお姫様なんだけど?」
「…まぁ、国に入ればわかるだろう。今は黙って俺の言うことを聞いていろ。」
「うん。わかった。…ねぇ、ルイン?」
「どうした?」
「ルインはどうして私に優しくしてくれるの?」
「俺は別に優しくなんてしてねーけど?」
そう言ったルインに私は首を振りながら答える。
「ううん、優しいよ。見ず知らずの私を戦場で助けてくれたり兵士のみんなの分まで私を生かそうとしてくれた。そんな人が優しくないわけないよ。」
「…それは誤解だ。俺の行動、その全ては自己満足の極致みたいなもんだ。俺が良ければ他がどうなろうとどうでも良い。つまり…」
「私を助けてくれたりしたのも自己満足?」
「…あぁ。」
「ふーん、今はそういう事にしておいてあげるね。」
「…」
「それにしてもこの道凄い荒れてるね。森も近い。でも一切モンスターは出てこないし、それどころか動物の一匹も出てこない。」
「…なんでだろうな。…ん…次、こっちの道通って国着くか?」
「若干遠回りにはなるけど着くよ。」
「んじゃ、こっち行くぞ。それとちょっとそこの岩の上に座ってくれ。」
「ん、わかった。」
「それと手の中で軽く権能を収縮できるか?」
「?やってみる。」
ルインに言われた通り私は手の中で能力を集めてみる。あれ?種?が出てきた。なんの種だろう。と言うかこれも私の能力なんだ。
「上出来だ。その種少し借りるぞ。」
ルインは私の手の中にある種を人差し指と親指で摘んで取る。そして種を持ってるのとは反対の手を私の顔の前に持ってくる。
「ソフィア。」
「ん?何?ルイン?」
私は急に名前を呼ばれたことに少し驚いたがそれを悟られないように返事をする。ルインの手で見えないが
「国がもし崩壊しかけていた時、国を救えるとしたらお前は…」
恐らく
「大罪を犯す覚悟はあるか?」
笑っていた。
→同刻 自由を謳歌する国 レグルシスにて
玉座に座るはレグルシスの国王 アールド・フォン・レグルシス。そしてその両隣に立っているのはその両翼。宰相 グルニス・アンテル。そして王妃 アルティエナ・フォン・レグルシス。そしてそのその3人の目線の先には杖を持った髭を生やした歳を取っている男性と甲冑を身に纏った若い女性がいた。
「我が娘はまだ見つからんのか?ネイフィア、ランドル。」
「はい、陛下。わしの率いる魔法師団とそこの雌猫「クソジジイ?」おほん…失礼。そこの騎士団長率いる騎士団で探しておりますが見つかって降りませぬ。」
「…陛下。よろしいでしょうか?」
「発言を許す。言ってみよ、グルニスよ。」
「はっ、こうも見つからないとなりますと最早勘付かれたと思ってもよろしいのでは無いでしょうか。」
「ふむ、仮に勘付かれていたとしてもやる事は変わり無い。」
厳粛な雰囲気の中暫しの静寂が訪れアルティエナがアールドに声を掛ける
「陛下?まだ二つの可能性が残ってますわ。そうよね?ネイフェアちゃん?」
「はっ!一つは能力に目覚めた可能性…でございます。しかしながら私は個の武力のみでこの立場に就いた新人物故にもう一つの可能性がわかりませぬ。お聞かせ願えませぬでしょうか。アルティエナ様。」
「えぇ、良いわよ。一つはネイフィアちゃんの言ったのであってるわ。もう一つは…一人で軍隊を壊滅に追い込める程の人物がソフィアちゃんの味方についた場合…よ。」
「!?」
「ほう?興味深い。もし仮にその様な者が居たとしてこちらに取り込めるか?」
「えぇ、可能だと思いますわ。この短期間での共同戦線。その様な業者が居たとしたら外見だけでソフィアちゃんについたとしか思えませんもの。何人かの美女を…或いは一番下のリィズをあげるのはどうでしょう?」
「成る程。それで進めるとしよう。グルニス。見繕っておけ。ネイフィア、グルニス、引き続き見つけ次第奴を我が前に連れて来い。」
「「「「はっ(ははぁ)!」」」」
→一方のソフィアとルイン
「もうすぐ着くよ。」
「あぁ、見えてきたな。あれがそうか?」
「うん。あれが私の母国、自由を謳歌する国 レグルシスよ。」
「へー、自由、ね…。」
「取り敢えず検査を受けて中に入りましょ?」
「あぁ、わかっていると思うが…、」
「うん。私はネム。名前の無い辺境の村からあなた、ミルと一緒に冒険者の親を探しにやって来た旅人…って言う設定だよね?」
「あぁ、さっきも言ったが覚悟して置けよ?下手したらお前の想像している数倍も酷な物を目にするかも知れないからな。」
「うん…。」
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