第18話
父に呼び出された時は何事かと思っていたが、終わってみればなんてことはなかった。
……ただ、あんな誤解をされているとな。
とりあえず、父に心配されることはこれでなくなったし、使用人たちから変な目でみられることもなくなるだろう。
安堵の息を漏らしつつ、俺は女神様に声をかけた。
『今のレベルはいくつだ?』
『13まで上がりましたね』
……順調、ではあるな。
ただ、最初のように一気にレベルがあがるということはもうない。
HPも3500ほどまで上がっていて、サンダーとヒールではダメージを与えるのはもちろん、回復するのにも時間がかかってしまっている。
……どっちを優先するべきかは迷ったが、ひとまずは雷魔法のスキルボードを優先して獲得していこうか。
そもそもが、戦うために攻撃魔法の練習をしているんだしな。
レベルアップによってスキルポイントも手に入っているだろうし、俺はゲーム知識を思い出し、スキルを獲得していく。
いくつかのパッシブスキルを獲得し、ステータスの強化などをしていったあとに、次の雷魔法が手に入るはずだ。
……とれた、だろうか?
『大丈夫ですよー』
グッと親指を立ててくる。憎たらしい笑顔だぜ。ホログラムでなければ殴ってたね。
『あ、あれ? 褒めてくれないんですか?』
『そもそも、こんなことになってるのは誰のせいだ?』
『だ、誰でしょうね……』
すべてのスキルポイントを使ったつもりで、下級魔法、マグネットサンダーと中級魔法サンダーブレードを獲得した……と思う。
マグネットサンダーは、磁力場を作り出す魔法だ。
ゲームだと、雷魔法を無効化できる状態になるのと金属製武器による攻撃を喰らわなくなる、という効果だった。
別に使うことはないと思っているのだが、スキルボードを進めるために必要だから獲得した。
試しにマグネットサンダーを発動する。発動対象は右手。
効果を強めていくと、近くにあった剣を吸い寄せることができた。
……さらに、サンダーを自分に使用してみるが、ダメージを受けることもない。
衝撃は、あるが。
「……ゲームと違って、かなり利便性の高い魔法だな」
武器を持った相手の動きを鈍らせる効果や、無力化させることができそうだ。
マグネットサンダーの性能はだいぶ分かってきたので、次はサンダーブレードだ。
発動すると、雷の剣が出現する。それを敵に向けて振り抜くことで、雷と斬撃による攻撃が可能という魔法だ。
雷の剣を敵に投擲するようにして攻撃もできる。
ゲームだと、威力の倍率的にはサンダーの五倍ぐらいだったか。
サンダーで100ダメージ出せるなら、サンダーブレードは500くらいになる。
実際、魔法攻撃力なども上がっているので、全体的にもっとダメージは出せるだろう。
威力は申し分ないのだが、MP消費は多い。スキルボードでは、基本ステータスを強化することもできるのだが、俺は最速で魔法を獲得していきたいと思っているので、基本ステータスは日々の訓練で補う必要がある。
【ファイナルクエスト】の世界と違って、レベル上げは結構大変だからな……。
レベル上限がないとはいえ、こんな調子だとそこまでレベルは上げられない可能性もある。現状では、あまりあっちもこっちもスキルボードを広げると、器用貧乏になってしまう。
魔王と戦わないのならそれでもいいが、勇者の力なしで魔王を倒すというのなら、やはり特化する必要がある。
MPに関しては基礎訓練で補っていけるよう、魔法をバンバン使っていかないとな。
そんなことをぼんやりと考えながら、サンダーブレードを自分に放ち、ヒールを連発する。
……ヒールも、ちょっと心許ないな。
さっさとレベルを上げて、ハイヒールを取れるくらいまでスキルポイントも稼がないと。
サンダーブレード、ヒール、ヒール、ヒール。これらと走り込みを合わせていく。
もちろん、休憩も挟みつつだ。
体はめちゃくちゃ苦しいが、これが俺の考えた最高率の経験値獲得方法だ。
ある程度、体を動かしたら、午後は迷宮へと向かい、魔物狩りを行っていく。
……経験値効率は最悪だが、魔石も欲しいからな。
魔物を狩り、アイテムボックスに魔石をしまっていく、という感じだ。
今では、迷宮での探索も一人で行っているので、かなり自由に動けている。
おかげで、魔石も誰に疑われることもなく回収できていて、楽だ。
出現したゴブリンを、切り裂いて仕留めた。……剣術、はルーベストくん時代に教えられたが、今の俺でも使えるので体に刻み込まれているのだろう。
ただまあ、あまり技術がある方ではないのは自覚している。低い技術を、高ステータスでごり押ししているのが現状だ。
剣術マスタリーというスキルがあるので、そちらを獲得していけば剣の腕前が強化される可能性はあるのだが、今の俺のメインは魔法だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます