許さない過去

iwaaki

第1話

     1


[ お兄さん、お姉さん行ってらしゃい ]

  そう見送ってくれたのは

 弟のそうさだった。黒山種一は五人兄弟の長男だ。

   十一月二十九日

 玉一は明日十二月一日に

 誕生日を迎える弟

の誕生日プレゼントやケーキ、オードブルを買う為自宅の一軒家から

 街のショピングセンターに

 行くところだった。

 

 産まれてから七年

 今までは両親が買いに行っていたがたまには、種一が買いに行く事になった。

 ショピング街でケーキを買う。

 丸く大きいケーキ。弟達はこのケーキが大好きなのだ

 オードブルは色々入っている。ポテトにフランクフルト、サラダにウインナーまあ豪華な食品揃いだった。

 

  ショピング街から

 自宅に帰る。玉一は自転車で帰っていた。

 自宅の自転車置き場に自転車を置いて

 一軒家の扉を開けた。

 [ ただいま、戻ったよ ]

 と言ったが

 誰も返事がないのである。

 [ そうさ、お母さん、お父さん?]

 一階を探しても誰もいなかった。

 その時、長女の美佐里(みさり)が帰ってきた。

 美佐里は

 [ あれ、おにい早いじゃん]

 [ あっ、おかえり ]

 美佐里は中学一年生

 反抗期と思春期を迎えている為

 玉一に時々反抗する時がある。

 [ どうしたの? ]

 いつもと違う家の雰囲気に

 美佐里も感じとった

 [ お母さんとお父さん、そうさもいないんだよ ]

 [ え!私達が出かける前までいたのに… ]

 美佐里が言った。

 [ 出かけたかな? ]

 玉一がリビングにあるテーブルの椅子に座りながら言った。

 [ でしょう? 分からないけど]

 美佐里が言った。


 その日、父親母親、弟が帰ってくる事はなかった。

 種一、

 高校二年の冬の事だった。 

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