EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)44
クライングフリーマン
付加価値
======= この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。
南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。
大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。
足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。
河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。現在は休暇中。
久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。
小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。
和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。
中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。
海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。
来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。
愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。
本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。
大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。
神代チエ・・・京都府警の警視。京都府警からのEITO出向。『暴れん坊小町』の異名を持つが、総子には、忠誠を誓った。
芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。
芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。
芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。
小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。
佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。大阪府警テロ対策室勤務。
花菱綾人・・・南部興信所所員。元阿倍野署刑事。
指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。
用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。
幸田仙太郎所員・・・南部興信所所員。総子のことを「お嬢」と呼ぶ。
小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。
佐々一郎・・・元曽根崎署刑事。横山と同期。今は大阪府警テロ対策室勤務の警部。
真壁睦月・・・大阪府警テロ対策室勤務の巡査。
=====================================
= EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =
==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==
午前10時。EITO大阪支部。司令室。
マルチディスプレイには、東京本部の斉藤理事官が映っている。
「ええ?バトル自体が『陽動』やったんですか?」
「うむ。大文字君は既に2回死んでいる。戸籍は弄ってないけどね。葬式もあげたし、墓もある。墓碑銘は後で変更出来る。大文字邸が火事になった後、またあのマンションに住んでいるし、敵は「はなから」死んだと思っていない。でも、コンティニューが収集したデータを『虫食い』にしてくれたお陰で、大文字君の『肖像』が無かったのだろう。リスクを冒してまで隠しカメラで大文字君の姿を映して移送したのは、そのデータが欲しかったのだろう。いよいよ『最終決戦』だな、と我々は見ている。大阪も色々事件を抱えているかも知れんが、応援を依頼することもある。よろしくお願いいたします。」
「そんな、何言うテはるんですか。応援は当然です。」
「そうや。遠慮せんと呼んでや。」と横から総子は割り込んだ。」
「ところで、小町はどうなんだ?先日、急遽電動スクーターのグループの乱暴阻止作戦に加わった話は聞いているが。」
「それがな、オッチャン。あの子、私が叩いたら、土下座しよって、それから後、ぎんやジュンに『ぎんネエさん』とか『ジュンねえさん』とか言い出して、キショいねん。」
「キショいねん?ああ、豹変が気色悪いってことか。小柳君がやきもきしていたようだが。」
「お前、理事官に馴れ馴れしいぞ。戦力にはなる思います。ギクシャクせんように、当面は総子の直属にして、他の隊員たちとは少し離した方がいいかな?と思っているんですけど。」
理事官は、苦笑して、「まあ、采配は任せるとして、大前君も、なるべく前線に出ない時も用心してくれ。前線に参加するときは、EITOガーディアンズの格好をして。」と言った。
「了解しました。」理事官が画面から消えた。
「兄ちゃん、EITOガーディアンズの格好も似合うで。皆言うてる。」
「そ、そうか。格好ええか。」と、大前は照れ笑いをした。
「コマンダー。銀行強盗です。芦屋銀行千日前店、芦屋銀行堂島店、芦屋銀行長吉長原店。それで、大阪府警を通じてEITOに出動要請です。」と、ヘレンが言った。
「よっしゃ、各員に連絡。総子から編成を送信させる。」
大前の言葉に「兄ちゃん、取り敢えず3班体制で向かうわ。」と総子は言った。
午前11時。平野区の、芦屋銀行長吉長原店。
銀行前には、多くの人だかりが出来ていた。警察官が野次馬整理をしている。
少し離れた所で、幸田が待っていた。
「お嬢。芦屋グループだけ3件って、完全なテロやな。ウラに何かあるかもな。」と言った。
「それで、出入り口は?」「三美さんから図面が届いた。これ見てくれ。」と、幸田はスマホの店内見取図を広げた。
「さすがやな。秘密の出入り口がちゃんとある。支店によって場所を変えてあるそうや。」
幸田の説明に、「ホンマや。性善説があるから、他の銀行は正面入り口と従業員入り口しかない。セキュリティーも抜群やな。いずみ、小町。裏の田んぼから回るで。弥生はオスプレイに戻って待機。」と総子は手早く指示をした。
「合図したら、所轄の刑事に『気をそらす』ことしてくれ、って言っといて。」
「了解。」幸田は、普段は総子に偉そうにしているが、所長夫人としても、EITOチーフとしても『立てて』いる。
総子達は、銀行裏の畑のあぜ道を通って、銀行の裏手秘密出入り口に辿り着いた。
遠くから見ると、ただの壁だが、ちゃんと『取手』があった。
総子が取手を廻すと、暗証番号を入力するボックスが出てきた。
総子は、幸田に教えられた暗証番号を入力すると、中に入れた。
そこは、金庫室だった。貸金庫のコーナーだ。銀行員がいる。
「エマージェンシーガールズ!来てくれたんですね。」彼らは縛られてはいないが、現金を入れたケースと共に地べたに座っていた。
「EITOエンジェルズです。それで、賊は?」「3人組です。仲間がいるらしく連絡を取り合っています。金庫室を開けた後、我々は金をケースに詰め込まされ、ここに閉じ込められました。支店長は、彼らのすぐ側にいます。私は営業部長の田辺です。ここに転勤になった時、総帥に秘密の出入り口があることは聞いていました。今回のような場合は助けを待つ以外ありませんが、地震が起った場合は、自動的にそのドアが開きます。金庫室のドアもです。」
「成程。で、奴らは・・・あ、逃走経路か。」「はい。支店長を前に押し出しながら、外の警察官と交渉しています。警備員は外に出されました。」
午前11時。北区堂島の、芦屋銀行堂島店。
この支店は、隣接するホテルと地下で繋がっていた。
芦屋総帥は、『家賃』を払うことで、お互いの建物の非常用共用出入り口を設けていた。
ジュンは、真子、みゆき、あゆみ、稽古を引き連れ、ホテル裏口から侵入、ホテル支配人の案内で、地下道を通って銀行の方に出た。
銀行の配電室を通って行くと、警備員室に出た。ジュンは、あの光景を思い出した。芦屋グループの芦屋食品は、厨房裏口と警備員室が繋がっていた。
ここにいる警備員は、この通路を使って、先に入った為、表の犯人に見られていない。
警備員は言った。「犯人は3人組。外にいた警備員は閉め出されました。支店長や行員は、店内にいます。10名です。外の警察官と逃走用の車の交渉をしています。」
午前11時。中央区の芦屋銀行千日前店。
千日前店という名称だが、道頓堀川に面している支店だ。
ここにも、芦屋総帥は、万一の為の通路を設けていた。
外からは分かり難いが、道頓堀川から別れる水路があるのだ。『とんぼりリバークルーズ』のコースでもある船着き場から、程近い。大阪府警からチャーターした船は、銀行の地下部分に当たる船着き場に到着した。
二美とぎんは、祐子、悦子、真知子、今日子、真美を引き連れ、銀行に侵入した。ぎんがドアを開けると、駐車場になっており、1台のマイクロバスが駐車していた。ここも、災害時に脱出する為の設備があったのだ。ぎん達は、駐車場エレベーターで2階に到着した。そこは、会議室の秘密の出入り口だった。廊下をそっと進むと、吹き抜けの部分に出て、人質を見張っている犯人達が見えた。
「丸見えね。ぎん、自信ある?」「二美さん、笑われへんわ、この場面。もうオシッコチビってるけど。」「余裕ね。」と、二美は含み笑いをした。
正午。
長吉長原店の総子、堂島店のジュン、千日前店のぎんが、一斉に、外にいる警察官に合図した。この時間から15分以内に、中の様子がどうであろうと、警官隊が突入する。そういう取り決めをコマンダーこと大前が、小柳警視正を通じて、交渉人役の一美、真壁、佐々ヤンこと佐々一郎に伝えてあった。
無論、総子のアイディアだ。
午後0時30分。
各支店の銀行強盗は、EITOエンジェルズに制圧された。強盗達は、モデルガンを持っていて、トリガーは引かれていなかった。それを確認したEITOエンジェルズは、バトルスティックで、苦も無く倒した。何より、賊はそれぞれ3人組だ。
総子は、また『アルフィーズ』の模倣犯が出た、と思った。黒幕がいる筈だ。それと、それぞれの支店には『手引き役』がいた筈だ。従業員とは限らない。表の部分だけなら、常連客が1人いればいい。
午後3時。EITO大阪支部。会議室。
マルチディスプレイに小柳警視正が映った。
「黒幕は、中央区の今乃内教会だ。キリスト教の教会を装っているが、半グレだ。」
「了解しました。EITOエンジェルズ、出動!!」と、大前が言うより早く皆、出て行った。
「今、言うてるとこやん!もう!!」と大前が言うと、恋女房になった紀子が言った。
「目は口ほどにものを言う。あんたの指令を皆が分かったから、出て行ったのよ。」
「そ、そうか。上司思いの部下やな。」「うん。」
司令室で、やりとりを聞いていたヘレンが笑いを堪えていた。
午後5時。中央区。今乃内教会。
総子と小町が入って行くと、牧師っぽい服を着た男が出迎えた。
「懺悔に来られましたか?是非、日曜日にお越し下さい。」
「日曜日は、半グレは休業ですか?」と、小町が尋ねた。
「何?」2人は、さっさと外に出た。
近くの公園。
住宅地が多いが、共用の公園があった。
拳銃を持った男達が、血相を変えて2人を追って来た。
男達は、ホバーバイクに乗った、いずみ、弥生、用賀のウォーターガンで、拳銃を忽ち水浸しにされた。ホバーバイクとは、『宙に浮くバイク』で、民間が開発、EITOが採用、改造して戦闘や運搬に利用している。
ウォーターガンとは、文字通り水鉄砲だ。総子は、住宅街であることを考慮して、『後片付けが簡単』なウォーターガンを利用した。
着替えた総子と小町、そして、EITOエンジェルズが揃った。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」
総子が口上を終えると、EITOエンジェルズは一斉にバトルスティックとバトルロッドを使って、半グレ集団を倒して行った。
総子は、長波ホイッスルを吹こうとしたが、小町にやらせた。
数分後。佐々ヤンこと佐々一郎が率いる警官隊が、逮捕連行にやって来た。
「チーフ。また、模倣犯や。こいつら、『アルフィーズ』名乗って、ネットで募集したんや、銀行強盗犯のバイトを。何で失敗するって分からんのかと思ってたら、府警のサイバーセキュリティー班によると、ChotGPTで嘘の情報が出るよう仕組まれるらしい。捕まった場合の罪状が『軽犯罪』みたいに。思考回路がアメーバ並みやな。」
佐々は、そう言って、警官隊と去って行った。
近所の主婦が数人出てきた。
「あ。お構いなく。もう終わりましたよって。」小町はシレッと言った。
「大した新人やな。」「まったく。」と、ジュンとぎんは呆れた。
―完―
EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)44 クライングフリーマン @dansan01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
130越えたら死ぬんか?新作/クライングフリーマン
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
だからオワコンって呼ばれる/クライングフリーマン
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます