第41話 神社のお祭り
神社のお社にある賽銭箱にお賽銭を入れて、
ガラガラと鐘を鳴らした。
一礼二拍手一礼を丁寧にして、お願い事を目をつぶってしているとじっと見られてるのがわかった。
「ちょ、見ないで。」
朔斗は先に終わったらしく、梨花のことを見ていた。
集中できない。
「何、願い事していたのかなって
ずいぶん真剣だったから。」
「願い事は人に言ったら叶わないって
おばあちゃんが言ってたから絶対言わないよ。」
「へー、そう。」
そう言って、
朔斗は、梨花の右手をそっとにぎった。
「梨花、花火始まる前に何か買ってこよう。
りんご飴って好き?」
朔斗の好きの言葉に変にドキドキした。
いつもお祭りに行ったら、買うものは
りんご飴だった。
シャリシャリとしたりんごのまわりについてる
赤い飴が何とも言えない。
「うん。食べたいね。」
「買いに行こう。」
手を繋いだまま先に進む朔斗に着いて行った。
いつもミャーゴの話をするのに、
今日は一言も言っていない。
こと尚更、緊張して心臓の高鳴りが強まった。
恥ずかしさが増して、梨花の頬は赤かった。
夜で提灯のあかりでぼんやりしていたため、
朔斗にはわからなかった。
露店がならぶ通りに着いて、
ゆっくり歩いていると、反対側から見たことある
女子がいた。
「あれあれ?
梨花と朔斗くんじゃん。」
鳥居の近くには、仲良く隣同士の
恵麻と恵麻の彼氏がいた。
朔斗は繋いでいた手をパッと離した。
「恵麻!
気づかなかった。
浴衣かわいいね。ピンク色。」
「何をいうの。
梨花の方が大人っぽいじゃない。
いいね。その色。」
「ありがとう。」
「恵麻、だれ?」
「あ、ごめんごめん。
高校のクラスメイト。
栗原梨花と、水島朔斗くん。
こっちは、他校だけど、
恵麻が丁寧に紹介する。
嘉之がお辞儀すると、慌てて梨花もお辞儀する。
朔斗はそういうのは苦手そうに、黙っていた。
「よ、よろしくお願いします。」
「いつも、恵麻から話聞いてたよ。
これからも仲良くしてね。
恵麻をよろしく。」
「あ、はい。すいません。
なんか保護者みたいだね。」
「もう、嘉之が変なこというから。」
「あ、そうかな。ごめん。」
笑いあった。朔斗はなんとなく話題に入れず
ご不満そうだった。
手を振って別れを告げる。
早く手を繋ぎたくて仕方ない。
2人が立ち去ったのを見て、
朔斗は梨花の手を指一本一本からめて
繋いだ。
その仕草にどきっとした。
まだりんご飴も買ってないのに
この衝動は耐えられるだろうかと
心配になった。
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