第9話 ふたりでいると

おばあちゃんとまるが施設に入ることになりました。


そこは動物も一緒に暮らせるところでしたから

猫も犬も小鳥やうさぎもいました。


まるは初めてでしたからやっぱり警戒しました。

スタッフさんがそんなまるに声を掛けてくれました。

「まるちゃん、初めまして。

これから、宜しくね。仲良くしてね。」

優しいにおいがしました。


小さなお庭もありました。

動物達がのんびりしています。

まるは恐る恐る、そこへ行きました。


「ああ、新しい猫さんじゃね。

わしはタロと言うんじゃ。宜しくな。」

犬が挨拶をしてくれました。


「私は大福よ、ほら、色が白いから大福みたいだってねぇ、あこちゃんがつけてくれたの。

あこちゃんは、お母さんになってね、、、。

忙しいらしいんだ。それで、お母さん?いやおばあちゃんか、、。と一緒にここに来たのよ。」

うさぎが話してくれました。


よくよく見たら、ここの動物はみんな

歳をとっていました。

ニンゲンのおばあちゃんやおじいちゃんと

ゆったり暮らしています。


飼い主さんが亡くなった動物もいますが

他のおじいゃんがおばあちゃんが

ナデナデしてくれますから、サミシクありません。


スタッフさんも大切にしてくれます。


さて、まるのご飯はどうなったでしょう?

まるは、カリカリのご飯は食べた事がありません。

みんながカリカリやネトネトのご飯を

食べているのに驚きました。


「どうしよう!あんなご飯だったら、、。

おばあちゃん!」


「ふふ、まるちゃん、安心してね。

ほんとはね、ああいうご飯の方がいいんだって。

でも、まるちゃんは嫌でしょう?」


「うん。まるはおばあちゃんのご飯がいい。」


スタッフさんがまるのご飯を持ってきてくれました。

それは、

白いご飯におかか。

お魚のほぐした物でした。


「まるちゃんはコレが好きなんだって

教えてもらって作ったのよ?

お口に合うかしら?」


まるは一口食べました。

おばあちゃんの味でした。

まるはおばあちゃんの方を見ました。

ふたりはくすりと笑い合いました。







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