第29話 You can't stop.

 私の部屋はだいたい汚れている。


 はっきり言ってグシャグシャである。


 ゴミが散らばり、ホコリが舞い、パンツや靴下が散乱する。


 クローゼットの奥には食べかけのポテチまで置いてある。


 いつの物なのかは見るのが怖い・・・


 そういったモノが多々置いてある為、片すことができないでいる。




 ようするに人の住める環境ではない。




 普段はドアから入りベッドまで直行する。


 ベッドの上が唯一の安全圏だ。


 ホコリの被害も受けないし、なによりここなら部屋を暗くしていれば汚れた部屋も見ないで済む。


 が! しかしだ!!


 1年中汚れた部屋のままってわけにもいかない!!


 別に好きで汚してるワケじゃねえしな!!



 というわけで、せっかくの休日、睡眠時間を削ってまで私は掃除を開始した。



 とりあえず、掃除機だ。


 せっかく部屋を片付けても、こうホコリが舞っている状態では片付けたそばから汚れていきかねない。


 床に散らばった物をまずは床より上へ


 携帯、リモコン、ソファー、プレステ・・・


 ゴミでないものをベッドの上へ放り投げていく。


 そして、残った床の上に散らばるゴミの山


 私は床に散らばっているホコリやゴミを睨みつけ、掃除機をかけ始める。



 ゴーーーーーガチャ……チャ……ゴーーーーーーー……



 たまに違和感のある音がするのはお金を吸い込む音。


 500円玉ならともかく1円玉など別にいらん!


 吸い込まれてしまえばいい。


 さて、掃除機をかけ終えた。ソファーやプレステを元の位置に戻し、あとはゴミ捨てのみだ。


 昨今叫ばれてるゴミの分別、これが実に面倒だが……


 私はゴミの分別だけはちゃんとする。


 普段適当だからと言って、人様に迷惑をかけるようなマネはしない。


 タバコは……ビニールを剥ぎ取り箱とはちゃんと別々にする。


 ペットボトルは……ラベルをちゃんと取り、フタとペットボトルも別々に。




 ポテチの袋……燃えない!


 ポッキーの箱……燃える!


 テッシュ、テッシュ、テッシュ……燃える!


 チラシ……燃える!


 コンビニの袋……燃えない!


 テッシュ、テッシュ、テッシュ……燃える!


 テッシュ、テッシュ、テッシュ……燃える!


 テッシュ、テッシュ、テッシュ……燃える!


 テッシュ、テッシュ、テッシュ……燃える!


 こうして私は次々にゴミを分別していったのだが……


 ここで問題が……プリ〇グルスである。


 ご存知だろうか?


「開けたら最後。You can't stop.」でお馴染みの筒型の入れ物に入っているお菓子である。




 プリ〇グルス……燃え……!!


 プリ〇グルス! 大部分が紙なのに底だけスチール!


 プリ〇グルス!!


 コイツは参った……コレは燃える……ない! 燃えない?


 プリ〇グルス! 大部分が紙なのに底だけスチール!


 プリ〇グルス!!


 おま…なんで?なんでそんなことになってんの?


 しばらくどっちか悩んだあげく、軽いパニックに陥ってしまった私は


「うおーーーーー!!」


 入道雲が覆い被さった夏の青々とした空に……プリ〇グルスの空き箱を空高くへと放り投げた。

 

 



 

 ※ゴミはちゃんと分別しましょう。底のスチールは金属。他は燃えるぜ! 開口部からクルクルと紙を破いていくとキレイに分別出来るぞ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る