第8話 思考実験

 “トロッコ問題”


 ブレーキが壊れたトロッコが猛スピードで走っています。


 その先には5人の作業員が……


 大変、このままでは5人がはねられてしまいます。


 あなたが立っているのは、引き込み線のすぐそば。


 もしあなたが自らの手でポイントを切り替えれば、5人は助かります。


 しかし、切り替えたその先にも1人の作業員……。


 この時、選択肢は2つ。


 何もしないで5人を犠牲にするか


 ポイントを切り替えて1人を犠牲にするか?


 こんな問題を子どもに尋ねられたらあなたはどう教えますか?




 この問題の真意は置いといて『子供に教える』というくくりの中でならば……


 私、俄然自信ありますよ。


 というわけで、


 息子 しょうた(仮)(10)にトロッコ問題ついて尋ねられる私






「というわけなんだけど……パパ。パパならどうする?」


「うん? ははは……じゃあ、しょうたならどうする?」


「え? うーん……」


「ドーーーン! グチバチュ……ブチ、チュボーーーン!」


「!」


「はい、タイムアッープ! 全員轢かれて死んでしまいました……」


「う、うそ……全員? そ、そんなぁ……全員なの?」


「そう、全員! そんなに考えてるヒマがあるんなら全員助けられるだろう? 今しょうたが一生懸命考えてる間にもう一台トロッコがきて全員轢かれてしまいました……いいか? こういうことはな、迅速な判断が求められるんだよ、しょうた。」


「そっかー、ボクの判断は遅すぎたんだね、パパ」


「そういうことだ、しょうた」


「じゃ、じゃあ今度はパパの番だよ? いい? ……さあ! パパならどうするの!?」


「全員助ける」


「え? ぜ、全員? ダメだよパパ。どっちか選んでくれなきゃ……」


「いいか? しょうた……しょうたには、どっちか一方しか助けられないなんて……そんなクソみたいな『ルール』に縛られるような大人になって欲しくないんだよ。時には『ルール』を破ってでも人助けを……「ボクは全員助けるよ!」って言えるにようにならなきゃダメだ。パパはな……しょうたにそんな大人になって欲しいんだよ。分かるな?」


「そっかー……そうなんだ! 分かったよパパ!!」


「そうだぞ。っていうかな、しょうた。リアルにそんな状況に出くわしたとして『じゃあ、どっち見捨てるか』ってそんなヒマないからな。安心していいぞ」


「そうなんだー! さすがパパ!!」


「ははは! しょうたも分かってくれたことだし……よーし! 今日はお好み焼きでも食べに行くか!」


「やったー!! ねえ! ママも一緒だよね!」


「ママはいいんだ!! 黙ってろ、しょうた!!」


「なんで!? なんでママはもう帰ってこないんだよー! うわーーーーーーーん!」






 なんてね……


 なんか一時アホのようにこれメディアとかでもやってましたね。

 正解なぞない思考実験らしいんですが……

 私ならね、こう教えますよ!ニチアサのスーパーヒーローの思考と一緒!


まあ実際のところ、そんなんに出会したら


あ、あわわわわ…


って動揺するしか出来んよね?ね?

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