whole lotta love_胸いっぱいの愛を
きゃんでぃろっく
現実はとても眩い光を放ち 俺達のことをみつけるんだ どんな小さな罪もかくせないように
第1話告白
whOlE*lOttA*lOvE*whOlE*lOttA*lOvE*whOlE*lOttA*lOvE*
現実はとても眩い光を放ち
俺達のことをみつけるんだ
どんな小さな罪もかくせないように
whOlE*lOttA*lOvE*whOlE*lOttA*lOvE*whOlE*lOttA*lOvE*
経験、そう……あの頃の甘くキツイ経験が俺のことを染めた。
誰にも 話したくはない
誰かにだけは 話したい
そんな経験だ。
今でも 腹のソコが疼くよな記憶
今でも 叫びたくなるような衝動
もう二度と 味わえない甘い興奮
……こんな経験、きっと、誰にでもあるはずだよね?
ん……とね、俺、かなり早い時期から性に対して目覚めていたんだと思う。
幼い頃に親のSEXを見ちゃったからかな。訳のわからない興奮と衝撃、刺激というのかな、まだ幼稚園にも通っていなかったはず、でもね、『イケナイコト』らしい雰囲気だけはしっかりと感じとっていたよ。
親といったって彼等には棄てられていた訳で、偶然居合わせたときに見ちゃったから、ほとんど他人様の『イケナイコト』をノゾキミしたって感じかな。
で、俺ね、なぜかちっこい頃からよく痴漢にあったんだよね。ははは……笑いごとじゃないんだけどさ、思春期に入るとそういう目に合う自分の存在に悩んでみたりした。んでね、だんだん性に対して否定的というかとても不潔なものだと感じだして、特に女性に対してなんだけど、苦手意識を抱いたと同時に、俺は純潔を守ろうなんてことを考え始めちゃったんだ。
俺の中、ずっとおかしかったんだ、どこもかしこも
高1、クラスメイト達はとっくに性体験を終えていた。けれど、俺はただの傍観者になっていた。性的欲求に欠けていたというのかな。そんなに肉体的に追い詰められることもなかったから、傍観者でいることは自然体であったと言えるけどね。
奴等のことは『不潔だ』と思っていた。
だってね、男子校だったから会話も遠慮なんかいらないせいでエゲツナイんだよ、ことあるごとにSEXの話で盛り上がっていたからね。
下品な話に吐き気がしたな
目の前で飛び交う禁止ワード。心底厭だった、うんざりする時間を避けたくて俺は一人で過ごすことが多かった。
それなのに。
俺はある日告白されてしまう。手紙をもらったんだ、すぐに捨てちゃって内容は憶えていないけど、『スキだ』とはっきりと書かれてあった。そいつとはクラスメイトなだけだよ、よく話しかけてくんなって思ったことはあったけど、手紙のこともただの悪ふざけだろうと大して気にも留めなかった。
ところが、そいつは本気だったのか、こともあろうか他の奴等にも俺のことを話していて、数名はこの件を知ってしまっていたようだった。奴等が俺へ、わざと気づくように仕向けたりするから、手紙をくれた奴と授業中視線がよく合うようになったり、グループ単位の行動で一緒になることが増えたんだ。
俺は冗談ではないということを徐々に知ったけれど、迷ったんだけど、あえて返事を避けていた。そいつが気をまわして『NO』と受け取ってくれることを期待したんだ。
が、それは間違いだった。奴等だけじゃなくクラスの関係のない者達までが、俺のことをなにか変な眼で見るようになったんだ。冷やかされたり、わざとぶつかってきたり、訳の分からない絡み方をされるようになった。愉しんでいたな、奴等。そして、このままじゃもっとエスカレートするかもしれないと心配していた矢先、とうとう手紙の主が、今度は俺にキスをさせてくれと言ってきた。
休み時間、特別教室への移動前だった。
俺は自分のロッカーから教材を取り出していた。そいつは、俺の背後から声をかけてきた。俺は振り向きもせず教材を胸元に抱え込みながら準備を続けた。
「コウサカ、ね、聞いてほしんだけど」
「待って」
嫌な予感がしてドキドキした。
「なに」
準備は整った、観念して教材を抱えたままダイヤルをロックして振り向き、無機質な声で尋ねた俺。向こうで数名ががやがやと騒いでいる。やたらと騒がしい教室の端っこで、
「キスさせてよ」
と言う。
俺は顔面が真っ赤になるのをはっきりと自覚した。
そして、俺は完全に正気を無くしてしまう。無意識のまま奴の胸を押しのけ『近づくな』と警告した。そして、大声で、他の奴等の前でありったけの暴言で罵った。
それからクラスは、ぎこちなくなった。
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