第10話 そろそろ装備中
なんやかやで10階まで降りて来た。
そろそろオーガが現れてもおかしくない階層になったので、ここは石碑にタッチして帰ろう。
「本当に素手で10階まで来ちゃったんですね」
「これくらいは普通だろ?」
「普通じゃないって言われた事ないです?」
「兵士時代に褒められた事ないしなぁ、そこまで強く無いと思うぞ」
『プライドの塊みたいな貴族とその腰巾着みたいのしか居ないのよ、平民出身のショウの事絶対褒めないわよ』
「結局ゴーレムも乗れなくて前線から外させれたしな」
『ゴーレム乗らなくても前線で活躍しそうだから、そうなると今まで蔑ろにして来た貴族たちのメンツが潰れるから前線から外されたのよ』
「マリーさんが横から補足説明してくれるおかげで、凄く理解出来ました」
「どっちにしろ、前線行ってたらマリーに会えなかったしな!俺はこれで良かったって思ってるよ」
『私も出会えて良かったわ、こうやって魂だけでも存在していられてるし』
「すぐにホムンクルス作ってやんよ!」
10階に降りる途中で、ポアンも2人の経緯はすでに聞いている。
「私もお手伝い出来ると思います!」
「おう!頼りにしてるぞ!とりあえず、武器買えるとこ教えてくれ!」
「あ、それならお父さんのお店行きましょう!武器の鍛治師やってるんですよ!」
「そりゃちょうど良いな!さっそく行こうぜぇ!」
そうだ、そこでメイの分も装備買ってやって、少し鍛えてやるか。
そう思ってメイを見た時にふと思った。
「あれ?俺、メイの声聞いた事ないぞ?」
思わず口に出た言葉を聞きながら、メイは俺に向かってウンウンと頷いた。
「え!もしかしてお前って喋れないのか?」
んーって感じに首を傾げてから、うんと首を縦に振る。
「メイ、お前俺の少し前を歩け、お前って足音全然聞こえないから、喋れないなら誰かに連れ去られても分からん!」
コクンと頷いて俺の視界に入るくらいの位置に移動した。
そうして連れて来られた鍛冶屋は俺の想像の何倍もデカかった。
「これ、お前の家なのか?」
「うん、そうだよ」
そう言って中に入ると、そこは立派な武器屋だ防音設備もしっかりしてるんだろう、鍛治のカンッカンッという音が微かに聞こえる程度だ。
「お父さーん、パーティメンバー連れて来た!」
ポアンが、そう言いながら奥の方へと入っていく、おそらくそっちに鍛治工房があるんだろう。
少し待っていたら、いかにもドワーフという姿形をした髭もじゃな男が出て来た。
「おお!娘が世話になるらしいな!ギルマスの紹介なら問題ないだろう、ドアンだよろしくな!」
「ああ!よろしくな!それで武器を買いたいんだが、良いのあるか?」
そう言いながら、握手を求められたので、握手をする。
案の定、全力で握って来たので、こっちも全力で握り返す。
ま、脳筋のあいさつって、こういうもんだよな。
「どんな武器が好みだ?」
「ダンジョンで稼ぐつもりだからな、長物は扱い辛い、なんで斧だな」
「ほう、若いのに剣じゃないのか?珍しいな」
「俺は昔から斧派なんだ」
ドワーフがニヤリと笑う。
「片手か?両手か?」
「片手が良いな」
「ふーん…」
ドワーフが俺をジロジロと眺める。
「両刃か?片刃か?」
「片刃が良いな」
「これなんてどうだ?」
そういって大きめの片刃の斧を渡してくれる。
「え?お父さん?」
ポアンが何か言いたそうにしてるが、気にしないで俺は斧を受け取る。
「おお!良いなこれ!」
さすがはドワーフ!渡してくれた斧は手にもしっかり馴染むし、重さもちょうど良い、やっぱり鍛治師といえばドワーフだな!
「そうだろう、気に入ったなら娘とのパーティ結成祝いだ、その斧やるよ」
「マジか!ひゃっほーい、斧装備ゲットだぜー!」
「おう!ダンジョンでしっかり稼いでくれな!その両手斧で」
「おう!任してくれ!」
俺はタダで武器が手に入ってすっかりご満悦になった。
【後書き】
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