夜と、よると、ヨルとyoru 二十句

蛙鳴未明

夜と、よると、ヨルとyoru

くらやみの奥の奥の奥にみかん


まるまって静寂を聴く春間近


墨染の風に香った梅の花


からの部屋夜風招いてやっとはる


煌々と照る掲示板ぼく一人


だれひとりいない役場の誘蛾灯


宵の口群青に頬紅はたく月


ビルの森夜が刺身になっている


満月を頬張る地球は何歳児


天落ちる川面に変わるアスファルト


酒流るとつとつとつとつとくとくとくとく


黒魔術囁くあの子の頬の赤


偃月に精霊舟がついていく


二十四時プリクラはただ待っている


あとすこし大三角が沈むまで


夜光雲屋根と佇む鉄塔のスケッチ


夢見るや未明の空に蛙鳴く


瓶底のスパークリングの夜の明ける


五月病あさぼらけから目を背け


サイリウム花のかわりと活けてみる

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