ダンジョンあったから、別のファンタジー持って特攻した。

@Relax_Sheep

第一章 異世界からの帰還

第1話

「…帰って来たのか。ようやく……」


 俺の口からは誰しもが言うであろうテンプレの言葉が出ていた。

 それもそのはずなんとこの俺、水見渓(みずみけい)は只今異世界から帰還したのである!


「10年…10年だぞ…まあ実際もっと長い間はいたけどさぁ。よくラノベの異世界帰還者は帰った後、長かった長かった五月蝿いなぁ。って思ってたけど、当たり前だよなぁ。」


 百聞は一見に如かずとはよく言われるけど、実際こうやってその身に体験すると良く分かる。


「はぁぁ……..寿司食べたいなぁ…」


 無類の寿司好きだった俺は、異世界で辛かった時海辺の街に行って魚料理を食べていた。が、当然異世界はあまり発展しておらず、魚を生で食べる習慣のない街には寿司なんて物はない。


…いや、今は寿司の話は置いておこう。

 これからどうするか、を決めて行かなきゃいけないだろう…


ホワンホワ〜ン

自分その一「折角辛い辛い異世界から帰ったんだからテンプレ通りスローライフ送ろうぜぇ」


自分その二「いやいや、能力そのままなんだから現代無双しt」


自分&自分その一「「それは無い!!」」


自分そのニ「…だろうね。」


自分「何が悲しくて殺伐とした異世界から帰って来たのに使命も何もないこの現代で戦いに明け暮れないといかんのよ……」


その一・その二「ですよねぇ〜。」


自分「選択肢を用意しようか」


  「1.とりあえず外に出てみる。

   2.家で大人しくのんびりする。

   3.唐突にこの街一帯をサーチしてみる。」


その一「ん〜三種類とも無難に見えて地雷でもあるな。」


その二「いやいや、2番が一番無難だろう。1番はテンプレ通りならピンチのヒロイン助けなきゃだし3番はそう言う機関に何かしらのエネルギー観測とかでバレて、何かしらの理由で拘束されるんじゃないかな。」


自分&その一「「採用!!」」


その二「……聞くまでもなく決まってたやろ。」


はい!妄想終わり!

は〜疲れたとベッドに横になる。


 それにしても、自分がこんなベタな体験をするとは思わなかったなぁ。

帰って来て早々変な体験をしたくないから家に籠ることにしたけど、永遠にこの状態でいるわけにもいかないから明日には探索者にでもなって無難に稼ごうかな。


 あぁ、そうそうこの世界異世界転移する前からファンタジー代表のダンジョンが存在するんだよね。


 最初はなんかおかしいなって思っていたけど転移する前には慣れた。

ここまで言ってなんとなく分かるだろうが、実は俺は前世の記憶を持っている。


 それは、ファンタジー要素も何もない平凡で平和で生きづらいなんの変哲もない日本にいた記憶だ。

 何もやる気も起きず、目標もなく、ただただ親に迷惑かけただけの人生だった。


今思うのは、『努力が足りなかった』とだけ…


 だから今世は努力を続ける人間になりたいと、ファンタジーがある世界だと分かった時点で、魔力やらなんやらのエネルギーがあるのではと試行錯誤してみたり、腕立てやら腹筋やら親に隠れてできるトレーニングをしてみたり、と「バカは死んでも治らないかもだけど理解は出来るんだ。」と謎な事を思いながら頑張った。


(今思うと、何言ってんだ?としか思えないけど、謎にこの思いのお陰で頑張れたんだよな。この努力のお陰で異世界である程度、魔力チートで戦えたんだよなぁ)



 と感傷に浸っていると、玄関から声がした。

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