輪廻は廻る 〜異世界、アンジェの奮闘記〜
moca
第1部 子爵領幼女編
第1話 リスタートは女の子から
「きたきたきたきたぁー。」思わず口から出る言葉に周りを見渡す。
白い壁、綺麗なベッドで5歳の私は覚醒した。
もう、何回目かも分からない。
いつも5歳頃になると、前世だった頃の記憶がいくつも、頭にあれもこれもと流れ込んでくる。
いつもいつも、早かった。日本という国で、21歳だったが友人たちと遊んでいた時に川で流された。友人たちよスマンと思いながら、今の状況を確認しなければと我に返ると。
「・・・なんじゃこれは〜」
伸びた金色の髪(カッコイ〜)いやいや、「無いっ!」無かったのだ、あるはずの感覚が、服も女の子の物だ・・・
「えーっと、名前名前名前・・・おぅ、アンジェリカ。ここに来て、初だよ。性別も変わってるよ。」
なんてこったい!誰の悪戯だよ。
今までは、全部♂男性だったじゃん。と思いながら涙を流す。
ん〜と顎に手を当てながら思い出す。いつも何故か早死にしてしまう体質なのか?
古い記憶を少し思い出す、中世くらいだったが、戦争でガタイの良い奴に、剣で薙ぎ倒された。次も盗賊との戦いで槍の一突き、次は東洋民族みたいだったが、毒を盛られた。
近代化して、銃剣もって突撃したが玉砕と新しい記憶で、日本人で溺れた。どれもこれも、まともなものが無い。モブと言う奴だな。
いや日本人の流行りのチート、神様や女神様からの加護、転生特典なんて1つもないじゃん。
ただの一般人のモブ以下だよ。
これは、もう大変なご立腹な事案である。1人でブツブツとボヤいて、これからどうしようかと、思っていると『カチャ』と部屋に私と同じ金髪でキラキラしたお母様が入ってきた。(かあさんだ、ステフと言われている。)
「アンジェ、今日は何をしているの?」
ブツブツ呟いていた内容が聞かれてないかスーっと血の気が引く、そして、俺はわたしなのだ。心の中で涙を拭き、気を取り直して
「今、何をしようかと思っていたわ。」ニコッと笑顔になるお母様が、「でしたら、今日はお庭でお茶でもしましょう。」と私の手を両手で包み微笑んでくれた。「やったぁ~、お母様と一緒にいられるなんて、凄く楽しみだわ。」(脳内で、ゲロッゲロッゲロッと、母さんに言っている自分の言葉に精神的ダメージを受ける。わかっている、今は女の子なのだ。)
それを聞いた、侍女のアニーは、準備に取り掛かる。
天気もよく、手入れのゆき届いた庭の植物たち。
その、中央に白く丸い、テーブルには、お菓子が用意されていた。
そばで、アニーはお茶の用意をしている。
椅子にかけると、「お母様、いただきます。」するとお母様は、「アンジェ、どうしたの?」と不思議な様子でわたしの顔を見る。
あ~っ、ここでは(いただきます)も(ごちそうさま)なんて文化は無かった。
とっさに「いや、これは、全部いただいても良いのかと・・・。」変に汗を吹き出しながら、言い訳を口にする。
「当たり前じゃないの、せっかく用意したのだから。」とお母様が微笑むとアニーも続いて笑ってくれる。良しセーフ、モジモジ作戦成功だった。
お茶を飲みすぎたのか、あれがやって来た。プルプルプル、モジモジ、我慢の限界だった。「お母様、お花を積みに行ってきますわ〜。」(精神的ダメージ大である。)と館の奥にあるトイレに、トイレに『タッタッタッ』と駆け出す。
「はぁ、もうはしたないわ。」お母様の声が聞こえたがそれどころではない。(急げ〜、漏る漏る漏る。)
到ちゃーく、バタンとドアを閉めると、壺、ツボ、見たいなのが置いてある。下水は無いのかぁ。
アンジェの記憶から、使い方を思い出す。一段落とすませると、急いでお母様の下へ戻って行った。
夕方になると、仕事が終わったのか、父様(エドワードって言われている。)が食堂へやって来た。
父様と母様と俺と3人での食事だが、落ち着かない。料理長のアンスに侍女のアニーとミリーがいるからだ。
これまでで、1番待遇の良い生まれであるが、以前の俺とアンジェ(♀女の子)が混じってまだ、頭が追いつかない。
そんな中、家族揃っての食事が始まった。
「お父様、今日は何処に行ってらっしゃたの?」(見えない矢が一本胸に刺さる。)アンジェの問に、「領都の視察を兼ねて警備兵の労いや民の状況を確認してきたんだ。」
「私も、街へ行ってみたいわ。」と返事を返すと、「まだ、早い(わ)。」とお父様とお母様が揃って却下してきた。
ム〜っ、顔で表現してみた。(また、一本の矢が胸に刺さる。)
お父様から、「アンジェは、今日は何をしていたんだい?」、「お母様とお庭でお茶をしていたわ。花の香りがお茶とお菓子を美味しくしてくれたの。」(更に一本の矢が胸に刺さる。)
きょきょうはこれくらいで・・・。
晩餐を終えた私は部屋へ戻った。
アンジェは部屋のベットの上で、お昼の続きをしていた。
今まで、地球という星の何処かに生まれ変わり、西暦も進んでいったのに、ここは時代が中世程度のような気がする。
つまり、時代が逆戻りしている?
聞いたことのない国の名前に地方領とアンジェの記憶を引き出した。
エストラン王国?リヒタル領?
領主の娘が俺なのか「アンジェ」また、急に恥ずかしく嬉しくもあり、ニマニマと表情が緩みながらバタバタと足を動かす。
しかし、アンジェの頭には情報が無く、明日からはもっと情報収集をしなくちゃと思っていたら、『コンコン』とドアがなる。ミリーが入って来た。「お嬢様、お風呂の用意が出来ましたよ。今日は私がお手伝いさせて頂きます。さぁ、行きましょう。」(何か、イベントが発生したようだ。選択肢は2つだ。行くか行かない。)
悩んでいる俺の手を取りミリーは、「さぁ、早く。」と手を引かれ部屋を後にした。
服を脱がされていく、見たことの無い少女(幼女ではない。決して認めてはいけない。)の裸に目のやり場を探す。
見ても良いのか、自分の体なので問題ないけど、顔が熱い。
そーっと、目を開けペチペチと体を確認してみると、ミリーが「どうなされたのですか?」と聞いてくる。
私は、「いえ、何でもないわ。」と答えて周りを見ると、浸かれる程のお湯に鏡もある?
おかしい?頭の中の時代が混乱する。お風呂も鏡もあるのに下水は無いのか?鏡の前に座らせられ、石鹸で頭を洗い体を洗いお湯に浸かる。ミリーは濡れても良いように上を脱いだだけであった。(残念である。しかし、鏡に映る私は金髪に金の瞳だった。結構、美人さんかも。)ん、良く考えれば、お母様が弟を産まないと私は、婿取りしないと行けないのでわ。(どちらにしても、相手は男であることをふと考えた。)嗚呼、無理です。それだけは、出来そうにない。ゾッと寒気を感じながらお風呂を出ると、ミリーに頭も体を拭き上げられ、服を着せられ部屋へと戻った。
私はミリーに、「何か、温かい物が飲みたいわ。」とお願いすると、「では、ホットミルクでもお持ち致しましょう。」と言ってくれた。
ミリーは、ホットミルクを持って戻ると、「アンジェ様、飲み過ぎには注意ですよ。」と笑いながら話す。
「あ、アレはちょっと飲み過ぎただけで。」「いえいえ、食べ過ぎにも注意ですよ。」と追撃してきた。
「ミリーは、お節介ね。私だってもう、立派なレディなのよ。」とべッドに立ち言い返すが、「立派なレディは、そんな事言いません。」と返された。何のテンプレなのか、思考を停止し、明日に向けて眠ることにした。
「ミリー、おやすみなさい。また、明日ね。」「アンジェ様、おやすみなさいませ。」
こうして、新たな人生の始まりなのだが、女の子かぁ。戻れないのだから、人生楽しんで行かなきゃ。
切替えて行こう。
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