第14話 追求

ー推理開始ー

「今の登場人物は、4人、被害者の坂本彩菜。そして容疑者の天里玲央。奈良芯。吾妻勇作。」

煙管に火を灯し、3人を睨む。

小声で通話中の樋上君に声をかける。

「さぁ、樋上君。ショーの始まりだ。お膳立ては、任せなさい。君が推理してみな。君なら出来るはず。」

パチン、指を鳴らす。

「証拠は、3つ。壁に撃ち込まれた銃痕と被害者の命を奪ったであろう包丁そして銃痕があれば銃があるでしょ。その3つ。謎を解いていこうか。」

天里玲央を睨む。彼は、少し怯えている。

「君は、僕達に捜査許可を出した。それは、君がこの捜査で一番偉いからだ。だが君を捜査長に選ぶなら歴の長い奈良君にするかな。でも上は、天里君にした。これは、つまり能力が天里君の方が上ってことかな?」

挑発する。

奈良芯が口を開く。

「確かにこの中では、俺が一番歴が長い。だが俺には、子も妻もいる。捜査長になったら帰りが遅くなるだろう。この情勢だ。俺がいなきゃ家族が不安だろう。」

少し怒っているように見えた。

吾妻勇作が口を挟む。

「そうですよ。まず失礼極まりないですよ。能力とか警察と関係のないあなたが言う事じゃありません。」

そっちは、相当頭に来ているらしい。

スマホから声が聞こえる。樋上君からだ。

「あまり挑発しないでください。証言が少なくなりますよ。」

「すまない、すまない。いつもの癖だ。ところで訊いてほしい事は、あるかな?」

「あーそうですね、、、被害者との関係でも訊いてみてください。」

「任せてくれよ、ところで御三方。悲劇のヒロインとのご関係でも聞かせてもらおうか。」

天里が喋る。

「なんにも関係ありませんよ。見たこともないです。」

次に吾妻が口を開く。

「えっ、天里パイセン知らないんすか。この被害者、パン屋の看板娘でこの辺でも有名なんですよ。レジ打ちする姿からパン生地をこねてる姿まで全てが可愛いんすよ。いやーお嫁に貰いたいですよ。」

黙り込んでいた、奈良が喋った。

「そうだな、この辺をパトロールする時によく見かけるな。その位だ、知っているのは。」

「ありがとうございます。では次に、あなた達についてよく知りたいので質問します。」

ワトソン君が会話を遮る。

「犯人探ししています。お話しに来たのでは、ありませんよ。」

樋上君からの声が聞こえる。

「ホームズさん、揺さぶりですか。いいですね、探偵の力魅せてみてくださいよ。」

口元がニヤける。

「揺さぶりの後で答えを訊こうかな準備済ませなよ。」

ワトソン君の口を手で押さえる。

3人を睨む。

沈黙が流れた。蝉の啼く声だけが部屋を満たしている。

「奈良さん、妻がいるのに指輪は、しないんですか。」

奈良が喋る。

「今どき指輪をつけない夫婦もいるだろう。それだけだ。」

吾妻が不思議そうに尋ねる。

「あれ、いつも指輪つけてましたよね。」

ビンゴ

「あれ、おかしいですね指輪は、今日つけてない。まさか無くしたなんてことは、ないと思うんですけどね。」

更に強く揺さぶる。

奈良の額に脂汗が出ていた。




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