狂祖様

字極

第1話 普通

ゴンッ、バスケットボールがボードに当たり跳ね返ってくる。

「うわー、また外したわ〜。」

「おい〜これで何回目だよ〜」

「わりわり、次は決めっから任せろ。」

「言ったな?次、外したらジュース奢れよ〜」

体育の授業も終わりに差し掛かってきた頃、同じクラスの男子の声が初夏の風に乗って耳に入り込んでくる。

授業が終わり騒がしい更衣室で着替える。

「次昼休みじゃん!」

「うわー弁当忘れたー、購買一緒に行くやついない?」

「俺、行く」「俺も!」「急がなきゃなく無くなるぜ」

「わりー、すぐ行く。」

くだらない会話が更衣室内は、熱がこもっているのか余計うるさく耳にまとわりつく。

更衣室内が更に盛り上がる。

足早に更衣室から出て購買に先回りし、

人気がありそうなパン、おにぎりを買い占め購買の近くで座っていることにした。

さっきの奴らが来て、渋い顔をした。

「美味そうなのねぇー、今日ついてねー」

「まじじゃん」「最悪」とぐちぐち言っている。

ざまあみろ!と心の中で呟き、颯爽と美術室へ向かった。

美術室には、俺を慕い尊敬し、崇める奴らがいる。そいつらのために学校に来ている。

「樋上さん!」「樋上様!」「教祖様」と崇める声が聞こえる。

そうして俺は、大量のパンとおにぎりを美術室に居る奴らに配った。

そうだ、これだ、俺は普通と違う、きっと神の子というのだろうか。



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