天元突破の超越達〜白夜と世界〜

赤地 鎌

白夜 1話 クロとレナの出会い

 

 私は…捨てられた。

 お母様から、要らない。出来の悪い子は必要ない…と廃棄された。

「私なんて…」

 私を産んでくれたお母様に捨てられ…もう何処にも居場所はない。


 私は、永遠にひとりぼっちだ…。


 一人の少女が超越存在が作った過去の遺跡の中を進んでいく。

 巨大な人型兵器が通れる程の通路を進む。

 少女は、全身に武装の装甲を纏っている。

 少女は、果てしなく続く通路の先を進む。

 その先が見えない通路は今の少女の状態を示しているようだ。


 少女は進む、母親に捨てられて…居場所がない自分の…存在価値を探して


 ◇◇◇◇◇〜クロとの出会い〜


 少女、レナはかつて、この時空で栄華を極めた超越存在が残した遺跡、ダンジョンの中を進む。

 多くのハンターが遺跡に残る遺物を採取して生活しているが、レナは違う。

 レナは、母親の為に遺跡を探索して遺物を採取していた。

 だが、その母親に新たな…レナより高性能な娘が誕生した事で、レナを捨てた。


 レナは廃棄されて…一人孤独に生きるしかなくなった。


 捨てられたレナは、その日の生きる糧を得る為に、遺跡ダンジョンに入り探索していた。

 その矢先、レナがダンジョンの奥にいる筈の鋼の恐竜に遭遇してしまった。


 メタルドラゴン…普段は、ダンジョン奥部でダンジョンを守っているダンジョンの守護モンスターだが、そのメタルドラゴンが浅い階層まで来てしまった。


 レナは直ぐに身を隠してメタルドラゴンをやり過ごそうとする。

「どうして…最深層にしかいないメタルドラゴンが…」


 レナは小さくなってメタルドラゴンが去るのを待つが…

 メタルドラゴンがレナが隠れている部分を発見して、背中に背負うガトリングで攻撃する。

 レナが隠れる柱が破壊されて、レナは急いで飛び出しつつ妨害煙幕弾を発射して攪乱。

 金属粒子と白煙の妨害に包まれるメタルドラゴンだが、それを巨体で振り払ってレナへ突進する。

「避けないと!」

と、レナは一時的な加速、ブーストを発動して回避するが…メタルドラゴンが尻尾で追撃し、レナは防壁シールドを展開。

 尻尾が当たり防ぐもその勢いは殺せずレナは吹き飛ばされる。


 レナは様々な壁に衝突しつつ、とあるホールへ来る。

 そこは、深緑が覆い茂る自然区だった。


 レナは直ぐに起き上がって、その自然区に中へ逃れるも、メタルドラゴンは逃さず追ってくる。

 そして、レナの背中へアタックする。


 レナは吹き飛ばされて長い距離を転がり続ける。

 そして、辿り着いた場所は自然区の中心にある不思議な遺跡だ。


 レナは遺跡の中心にある円形の場の中心に倒れた。


 レナが吹き飛ばされた方向からメタルドラゴンが迫る。

 

 近づく地響きをレナは感じつつ起き上がろうとするが、力が入らない。

 レナは涙する。

 ここで、わたし…終わるんだ。

 何も無かった。お母様の為に頑張ったけど…

 わたし…誰かに愛して欲しかったなぁ…

 レナは涙を流しながら自分の最後を呪った。


 呼んだか?


 レナの脳裏に誰かの声がした瞬間、レナの倒れる遺跡が光を放つ。

 黄金の粒子を上に伸ばして、そこが黄金の空になる。


 メタルドラゴンが突然の事で戸惑い止まる。


 レナが黄金の空を見上げたそこから、黒い翼を伸ばした何かが降り立つ。


 レナの上にゆっくりと黒い翼の天使が着地する。

 黒い翼の天使、それは黒い装甲を纏う

「よう、呼んだか?」

 頭部のヘルメットが開いて顔が出る。

 男、黒髪で黒目、年齢的に四十代くらい。


 男はレナを抱えると

「ええ…アースガイヤ式魔導術だったかなぁ…」

”ヒール・オール”


 男を中心に幾何学模様の光の円陣が展開されて、抱えられるレナに光が降り注ぐと、レナのキズが回復する。


 男の腕の中にいるレナが

「アナタは…誰?」


 男が微笑み

「お前が呼んだんだろう…」


 レナが困惑していると、メタルドラゴンがレナと男に向かって牙を向ける。


 レナが身をすくめるが、男が余裕で

「アースガイヤ式魔導」

”レーザーカッター”

 男を中心に光の円陣が現れた次に、メタルドラゴンの前に無数に光が重なった光の格子が現れてメタルドラゴンへ走る。

 その光の格子に触れた瞬間、メタルドラゴンが細切れにされた。


 レナは瞬時にメタルドラゴンが倒された事に困惑する。


 男がレナに

「立てるか?」


 レナは頷き男に下ろして貰って立つ。

 男は百八十、レナは百四十だ。

 レナは男に

「アナタは…誰?」


 男が自分を指さして

「ええ…オレ? んん…名前…変な感じなんだよなぁ。そうだ!」

と、手を叩き合わせて

「お前が決めてくれよ。それでいい」


 レナは困惑するも、男の全身が黒い装甲と装甲翼に包まれているので

「ええ…クロ…黒いから」


 男が微笑み

「いいね! クロ、オレは今日からクロだ! お前は?」


 レナが自分を指さして

「わたし?」


 男が頷き

「ああ…名前は?」


 レナが戸惑いつつ

「レナ…」


 男…クロが手を差し向けて

「レナ、レナね。よろしく。オレはクロだ」


 レナがクロと握手して

「う、うん…」


 クロがレナと握手して微笑み

「さっそくだが、どういう状況なんだ?」

と、全体を見渡して倒したメタルドラゴンを見て

「この施設護衛用のドローンがレナを襲っていたが…」


 レナが首を傾げて

「施設護衛用のドローン? 何ソレ?」


 クロが細切れになったメタルドラゴンを指さして

「これは、施設護衛用の無人兵器、ドローンの一つ、T-REXだろう」


 レナが

「何を言っているの? これは遺跡ダンジョンにいるモンスターよ」


 クロがえ…という顔の後に考えるように顎を摩り

「今、この時空で何年だ?」


 レナが

「今は、アルテイル時空共和歴で1982年よ」


 クロが驚きの顔で

「アルテイル時空共和歴…ああ…」


 レナが首を傾げて

「どうしたの?」


 クロは頭を振って

「そうか…分かったよ。まあいい、とにかく…ここから出ようぜ」


 レナが頷き

「うん」


 こうして、レナとクロが出会った。


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