迷い道での恐怖!

天川裕司

迷い道での恐怖!

タイトル:(仮)迷い道での恐怖!いつも通ってる道から少し外れただけで、まるで異世界に紛れ込んだような恐怖が襲う…


1行要約:

迷路から異常な世界に紛れ込んだ男の恐怖


▼登場人物

●隆司(たかし):男性。25歳。働き始めたばかりのサラリーマン。バイクで通勤(バイクは何でもOKですが、原付がややリアルで良いかも知れません)。

●白い服の男:50歳くらい。その界隈の森林で自殺した男の霊。青白い顔と肌をしている。ずっと無表情。何の反応も無い。ずっと昔の人。

●若いカップル:20代のカップル。霊。このカップルも事情があって森林で自殺を遂げた。ずっと無表情。何の反応も無い。かなり昔に自殺していたカップル。

●女の生首:髪は短髪。青白い肌をしており、口の周りが血塗られたようになっている。隆司を見ながら嘲笑し、やがて空へと消えて行く。

●祖母:隆司の祖母。80歳。昔の事をよく知っている。少し認知症にも罹っている。


▼場所設定

●森林横の道:隆司がいつも通勤で使っている道。少し広い畦道の感じ。

●カスミが丘住宅地:郊外にあり、周りは田舎の感じ。隆司の自宅がある界隈。通路が大体5番の目になっており、普通はどこから辿っても自宅に着けるようになっている。

●紛れ込んだ迷路:カスミが丘住宅地の通路を走っている時、少しいつも通る道から外れて帰っていると紛れ込んでしまった。ずっと直線でお願いします。森林の中をずっと突っ切るような道の感じです。

●隆司の自宅:一般的な戸建て住宅のイメージで。


NAは隆司でよろしくお願いいたします。



オープニング~


エクソちゃん:ねぇデビルくん、デビルくんってこれまでにさぁ、道に迷っちゃって怖い体験した事ってある?

デビルくん:道に迷うだって?ハハ―ン俺はデビルだよ?俺にゃ体内コンパスってのがあってよ、絶っっ対に道に迷ったりなんかしない超能力が備わってんだよ♪

エクソちゃん:ふぅん。その割にはこの前、私が頼んだお菓子買いにコンビニ行ったとき簡単に迷ってたわよね?

デビルくん:あ、あれは迷ってたんじゃない!ちょっと道草喰ってたんだ!

エクソちゃん:まぁいーや♪今回のお話はね、いつも通ってる道からちょっと外れただけで簡単に迷い込んじゃった、迷路の恐怖体験に遭っちゃった人のお話なの。

エクソちゃん:迷う筈の無い道なのにどういう訳か迷い込んじゃってね、そこで世にも怖~い体験をしちゃったのよ…



メインシナリオ~

(メインシナリオのみ=4152字)


NA)

俺の名は隆司(25歳)。大学卒業後、パソコン関係の専門学校を卒業して、希望していたIT企業に入社する事が出来た。

でも社会に出て働き始めたばかりだから、やっぱまだまだ仕事に慣れず、人間関係も結構しんどい。


ト書き〈バイクに乗って通勤している様子〉


NA)

俺はいつもバイクに乗って通勤している。

自宅から会社へ行く途中、ちょっとした森林横の道を通る。

それは淀味(よどみ)公園の横手の道で、少し奥深くへ行くとすぐ森林になっている道なのだ。

比較的、郊外に住んでいる俺だから、学校へ通学していた時も結構こういうケモノ道的な通り・田舎の寂れた感じの道を通る事は多かった。


隆司)「ふんふーん♪」(ケモノ道や寂しい道でも快適にバイクで走る様子)


NA)

だから俺は昔からこういう道を通るのは慣れており、会社への往復路にも、この森林横の道を普通に採って通勤していた。


ト書き〈夕方、会社の帰り:違った道から自宅へ帰る〉


隆司)「今日は結構早く帰れたなぁ~♪快適快適♪」


NA)

俺はこの日、会社の仕事が早く終わった。

いつもより2時間ばかし早く帰る事が出来、気も心も快調だった。


ト書き〈トラックや車がいつもより多く通る〉


隆司)「ンだよ、今日、結構トラックとか他の車多いなぁ~」


NA)

この日はいつもより車の通りが多かった。

いつもなら2~3台走っている程度か、全く走らない…といった感じの寂れた道路。

その道を今日は数十台の車がびゅんびゅん走っていた。

俺はいつも通りに走っていたが、こんなに数の多い車が走る中でバイクを飛ばすのは慣れていなかった。

いつも右折する角へ来たとき急にトラックが後方から出て来たモンだから、俺は走りながら右折できず、そのまま真っすぐ走ってしまった。


隆司)「くっそう~、引き返そうか…」


NA)

引き返そうかどうか迷ってる内に結構そのまま走ってしまい、「まぁいいか、別の道からいつもの通りへ出ればいいや…」と考えてそのまま走って行った。


ト書き〈いつも走らない通りへ入る〉


隆司)「よし…確かこの道を入ればいつもの道へ出んだろ…」


NA)

俺が住むこの界隈の道は、だいたい通路はそれぞれ5番の目になっている。

結構直線が長い通りだが、ずっと走って行ってもその内どこかで曲がって通りを引き返せば、また元の道に戻れるのである。

俺はそのままジュンジュン直線を走って行き、1つ目の曲がり角で左に折れた。

そしてそのまままた道を引き返し、ずっと走って、さっき右折できなかった角を曲がって出られる道へと向かって行った。


隆司)「よし、まぁこれでいつもの道に帰れる…」


NA)

今走っているこの道も、実はこれまでに何度か走っていた。

でもいつも使う道じゃなかったからか、多少は公共物や舗装道路のあり方なんかが変わっていた。

気にせず俺はどんどん走って行った。


ト書き〈本格的に道に迷った事に気付く〉


隆司)「あれ…?っかしぃな。元の道に戻れる筈なのに…。どっかで道間違えちゃったかな…」


NA)

俺は一旦バイクを停めた。

辺りを見回してみると、いつも通って来た道の景色とは微妙に違って見えた。

確かに俺は昔から少し方向音痴の所があった。

でもそんなのは大人になるにつれ直ったものと思い込んでいた。


隆司)「くっそ~、俺自前の方向音痴が出たか~(汗)」


NA)

少しずつバイクを走らせて行くと、益々、周りの環境は見た事もないような風景に変わって行った。

郊外と言ってもそれなりに民家はある筈なのに、民家どころか道の標識もまるで無くなって来た。


隆司)「…こんなトコ、俺の家の界隈にあったっけ…?」


NA)

情けない事に、俺は自宅周辺の道なのに、本格的に道に迷ってしまった。

しかし「こんな事有り得ないだろ」と言う正直の方が強く、気持ちをしっかり持ってまたバイクを走らせて行った。


ト書き〈どんどん迷い込む〉


隆司)「…何だよコレ…一体いつになったら知ってる道に出るんだよ…いつ家に着くんだ…」


NA)

完全に道に迷い込んだ俺。いま俺は完全な森林奥に来ている。

何度か引き返したが、その度にまた迷ってしまうのだ。

仕方なく直感を便りに走っていると、いつの間にか腕の時計は夜20時を指していた。


ト書き〈人を見掛ける〉


隆司)「あ…人だ…!」


NA)

俺は少し前方に人を見付けた。

白い服を着た、背格好からしておそらく男の人だ。


隆司)「あの…ちょっといいですか?すいません。ここってどの辺なんでしょうか?僕、カスミが丘の住宅地に住んでる者なんですけど…」


NA)

俺はバイクを停めてその人に訊いてみた。

しかしその人は、足を止めただけで俺の方を見ず、ずっと前を見て無表情でいる。

おかしいな…と思いよくその人の顔を覗いて見ると、なにやら不気味な程に青白い顔をしていた。


隆司)「(な…なんだよコイツ…ヤバい奴か…)」


隆司)「あ…じゃ、もうイイです…!」


NA)

一瞬恐怖に駆られた俺はそう言って、すぐにまたバイクを走らせた。


隆司)「何だったよアレ…なんか…この世のモノじゃなかったような…。いやいや…そんな事ある筈ないか…」


NA)

俺はちょっと気持ちが混乱しつつも、とにかくいつもの自宅への道へ出ようと頑張った。

するとまた前方に、今度は若いカップルがいるのに気付いた。


隆司)「あ…また人だ。今度は大丈夫かな」


NA)

カップルが手を繋いで歩いていた。

またバイクを停めて声を掛けて道を訊こうとしたのだが、このとき俺の心にふと不安がよぎった。


隆司)「(…またさっきの奴みたいだったらどうしよう…)」


NA)

そう思った俺はやっぱり訊くのをやめて、そのままカップルの横を通り過ぎようとした。

でもその時ちょっと気になったので、カップルの横を通り過ぎる時に少し減速し、どんなカップルなのか、それを確かめようとした。まともな感じだったら道を訊こう…そう思ったのだ。

すると…


ト書き〈隆司がバイクで真横を走ったとたん足を止めるカップル、そしてさっきの白い服の男と同様に無表情で前方を向いて立っている〉


隆司)「う…!や…やっぱりだ…」


NA)

俺がちょうどカップルの真横をバイクで通り過ぎようとした瞬間、そのカップルはピタリと足を止め、不自然な感じで前方を見たまま立ち尽くした。顔は全くの無表情。肌は青白く、まるで死人のようだった。


ト書き〈大急ぎで逃げようとする隆司〉


隆司)「ヤバい…!オレ、知らない内に変な道に迷い込んじまったのか…!こ、こんな道…確かに見た事も無い通りだ…!絶対おかしい…!さっきのあの白い男とカップルの不自然な感じ、この世のモノとは思えないようなあの人相…!あれが既に入っちゃいけない空間に入ったのを証明してる…!」


NA)

俺はとにかく大急ぎでその通りから出ようと頑張った。

どんどんどんどんスピードを上げて走って行き、とにかく知ってるいつもの道へ出る事だけを考えた。

その時、サイドミラーに何か映った。


隆司)「…こ、今度は何だよ…!?」


NA)

さっきからチラッチラッ…と見える丸い何か…。

黒い影のようなものが、後方からどんどん追い着いて来るような感覚を受けていた。


隆司)「くっそー!…もうやめろよ!やめてくれよぅ!」


NA)

俺は必死にバイクを走らせ、その暗闇の道からなんとか抜け出る事だけ考えた。

時間がどんどん過ぎて、もう21時前になっている。


隆司)「せっかく早く帰れたのに…!ま、まさか…こんな事になるなんて…!」


NA)

余りの恐怖に俺はわざと日常の事を考えるようにし、なんとか気持ちを落ち着かせようとしていた。

すると…


隆司)「あ…あの標識…!」


NA)

遂に見覚えのある道路標識が、結構向こうの方に見えて来た!

俺はようやく救われた気がして、その標識目掛けてまたどんどん走って行った。

すると先ほどから気になっていたサイドミラーの「黒く丸い影のようなもの」が、急に猛スピードで近付いて来て、とうとう俺のバイクを右横から追い越した。

その時に見たものは…


隆司)「え…?…う!…うわゎわわあぁあぁあ!」


女の生首)「うははははあああぁあぁっはぁあぁ!」


NA)

女の生首だった。髪は短髪だった。

その首だけがひゅうひゅう宙を飛んでいる形で、バイクのライトにチラチラ照らされながら笑っている!

俺は思いきり悲鳴を上げ、思わず転倒しそうになった。

しかし「ここで転倒なんかすれば殺されるかも知れない!」と極度の恐怖が肩押し、なんとか踏ん張って、そのままバイクを延々走らせる事が出来た。

そのうち生首は、上空へ引き上げられるように消えていった…。その時も首は笑っていた…


ト書き〈いつもの道へ出て帰宅〉


隆司)「はぁはぁ…あ、あれは一体何だったんだ…」


NA)

いつもの道へ出た途端、さっきまで感じていた冷たい空気は無くなり、心にも落ち着きが戻って来た。

そして振り向いた瞬間…


隆司)「…あれ…?さっきまで走ってた道は…?」


NA)

俺がずっと走って来た迷路のようなその道は、跡形も無く消えていた。

ただ森林が目の前にあるだけだった。

俺はまた恐ろしくなり、すっ飛んで帰宅した。


ト書き〈自宅にて〉


隆司)「なぁ、ちょっと聞いてくれる…?」


NA)

俺の家は二世帯住宅。爺ちゃん婆ちゃんと一緒に住んでいる。

俺は帰宅後すぐに、リビングで寛いでいた婆ちゃんに、自分を襲ったさっきの恐怖体験の事を話した。

すると婆ちゃんは…


祖母)「ああ、あの場所なぁ…。あの森林には確かに昔、道が1本走っとったでなぁ。そやけどもう随分前に改装されたかなんかで、道はもう無くなったんじゃよ…」


祖母)「昔あの場所…森林では、沢山の人が死によったもんじゃ。何かの事情を抱えて自殺する人や、誰かに追いはぎにでも遭って死んじまう人…いろいろおったなぁ…」


NA)

祖母はもう80歳で、少し前から認知症も患っている。だけどずっと元気で、かなり昔の事もはっきり覚えているのだ。

その祖母によると、俺がバイクで通っていたあの界隈はその昔、自殺や他殺がよく起きた場所だという事で、その道は森林横の道が出来た事で無くなったらしい。

でも俺はその道をバイクで確かに走っていた。

俺が見たあの無表情で青白い肌をした男と若いカップル…そしてあの女の生首は、祖母が言う昔に死んだ霊だったのか…?

俺は翌日からバイクで走る時は必ず知った道を通る事、雨の日は電車で通勤する事、を心に決め、2度と「知らない道」を走るのだけはやめようと決めていた。



エンディング~


エクソちゃん:どうだった?やっぱ知らない道はおいそれと走らない方がいいかもね。

デビルくん:でもこの隆司ってのもマヌケだなぁ~。いつも走ってる界隈なのに道に迷ったってかぁ?

エクソちゃん:だから、今回のホラー譚はそこにあるんじゃない。いつも歩いてる・通勤に使ってるから安心…って思ってた道からちょっと外れただけで、異世界の道に迷い込んじゃったっていう…。つまり、いつでも簡単にそういう世界に人は迷い込める…ってのを裏付けてるような感じじゃない?

デビルくん:なぁるほどね。でもやっぱ、マヌケには違いねーなw

エクソちゃん:ンもう。まぁ今回の教訓は、いつも歩いてる所でももし知らない環境が広がり始めたら、ちょっと足を止めて辺りをよく確認してみるって事よね。

エクソちゃん:もしかしたら知らない間に異世界に迷い込んじゃってるかも知んないし、でももし迷い込んじゃっててもすぐ引き返せば、簡単にまた元も道に出られるかも知れないからねぇ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=gLNf1m_lbcg&t=76s

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