抜群に可愛い女の子が消えた瞬間…
天川裕司
抜群に可愛い女の子が消えた瞬間…
タイトル:(仮)抜群に可愛い女の子が消えた瞬間…
1行要約:
霊の女の子に会った男の末路
▼登場人物
●俊也(しゅんや):男性。25歳。フリーター。ナンパ師。
●本庄(ほんじょう)マヤ:女性。享年20歳。黒髪で清楚・可憐な感じ。抜群に可愛い。実際会って見ると無口で無表情な感じ。数年前、Aホテルで自殺していた。その後、霊となって街中を徘徊。
●従業員:男性。40代。Aホテルの従業員。Aホテルはラブホテルなのでフロントにはおらず、ホテル奥で待機している。一般的なイメージで。
●店員:女性。20代。レストランの店員。
●警察:男性。一般的なイメージで。
▼場所設定
●Aホテル:一般的なラブホテルのイメージで。フロントは無い。部屋内でカードを使い清算を済ませるシステム。防犯カメラが部屋の出入口に設置されている。
●天王橋(てんおうばし):ナンパのメッカとされる橋。若い男女が行き交う様子で。
●レストラン:ガストやファミレス等の一般的なイメージで。
NAは俊也でよろしくお願いいたします。
オープニング~
エクソちゃん:ねぇデビルくん、デビルくんって街中で女の子ナンパしたり、出会い系サイトで誰かと出会ったりした事ってある?
デビルくん:ナンパぁ?出会い系ぃ?ンなモン俺に必要なワケねーだろが!その気になりゃ俺ぁ誰の心にでもスッと入ってって、そいつをモノにしちまうんだからよ♪
エクソちゃん:ホント、あんたって存在そのものがイイ迷惑よね。
エクソちゃん:今回のお話はね、ナンパを楽しんでた或る男性にまつわるお話なんだ。或る日、偶然出会った女の子とランデブーするんだけど、その女の子ってのがちょっと変わった子でね。
デビルくん:ふむ。
エクソちゃん:一緒にいる内に段々ミステリアスって言うか、何だかワケわかんない展開になってくの。で、ラストは結構、衝撃的な展開になっちゃうんだ。ま、取り敢えず見てみよ。
(↑朗読動画の場合は無視して下さい↑)
メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=4326字)
NA)
俺は俊也(25歳)。
フリーターかつ稀代のナンパ師。
ト書き〈携帯を見ながら〉
俊也)「フンフーン♪さてさて、成果はと…。お、返信来てんじゃーん♪」
NA)
俺は人気の出会い系サイトを利用してる。
そこでは何人かの女の子が写真付きで紹介され、その中の気に入った子にダイレクトメールを送って交流を深めていくもの。
出会えるまでのステップが非常に早い♪
女の子の登録者もかなりいる。
俺は3日前、「マヤ」という子にメールを送った。
すると、かなり良い反応のメールが返って来たのだ。
ト書き〈マヤのメール〉
メールありがとうございます💛
とっても嬉しいです(^^♪
今日、天王橋の所で待ってます。
来てくれるまで、ずっと待ってます!
あたしは赤いワンピースと、白い麦わら帽みたいなのをかぶってます。
もしわかんなかったら、またメール下さい💛
愛するマヤより(^_-)-☆
俊也)「ぐっふっふ💛マ~ヤちゃん💛すぐ行くから待っててね~」
NA)
俺は早速、天王橋へ向かった。
天王橋と言えば、別名「ナンパ橋」とも呼ばれる男女のメッカ。
ト書き〈天王橋〉
俊也)「お…いたいた♪きっとあの子だな。…めちゃくちゃ可愛いじゃねーか」
NA)
赤いワンピースと麦わら帽は、橋へ着くとすぐに判った。
そこに立っていたのは、黒髪で清楚な美少女。
「ラッキー♪」と思いソッコーで駆け寄った。
俊也)「いやぁー待ったぁ?」
マヤ)「…」
NA)
俺は少し遅れて行った。
でもマヤは顔色1つ変えない。
文句も言わない。
マヤはかなり無口な子だった。
俺が口八丁手八丁で笑わせようとしても、マヤは真っ直ぐ前を見たまま。
やはり顔色1つ変えない。
俊也)「(ふぅ…。恥ずかしいのかな…)」
NA)
でも抜群に可愛いかったので俺はただウキウキしていた。
俊也)「あそーだ!お腹空いてない?なんか食べに行く?」
NA)
軍資金をたっぷり用意していたので、取り敢えず訊いてみた。
でもマヤはまた1言も言わない。
俊也)「(こんな可愛い子だ。多分サイトを利用したのは初めてだったんだろう。よし、ここは俺が優しくリードしてやるか)」
ト書き〈レストランにて〉
俊也)「すいませーん、オーダーお願いしまーす」
NA)
結局、俺はマヤを連れてレストランへ行った。
でもこのレストランで1つ、不思議に思う事があった。
店員)「ご注文はお決まりでしょうか?」
俊也)「えーとね、これとこれ、そんで…あ、マヤ、飲み物は何にする?」
NA)
そう訊いた時、マヤは黙ってメロンソーダを指さした。
俊也)「じゃメロンソーダで」
店員)「…?はい、かしこまりました…」
NA)
その時、店員が少しおかしな表情(かお)をしたのだ。
首をかしげ、そのまま店員はカウンターの奥へ消えて行った。
その従業員は、マヤのほうを全く見なかった。
俊也)「(なんか変だな…。…そう言えばここへ来るまでも、周りの奴ら俺のほうばかり見て全然マヤのほう見てなかったっけ…)」
NA)
橋からレストランへ来るまで、周りの男女は全くマヤのほうを見なかった。
それが何となく思い出された。
マヤは抜群の美人。
こんな美人を連れていれば、女はともかくとして、街中の男の1人や2人、必ずマヤのほうを見るだろう…。
でも見なかった。
ト書き〈ホテル街へ向かう〉
NA)
俺達は適当にレストランを出た。
そしてまた歩く内に、俺達は橋から最寄りのホテル街へ来た。
ト書き〈ホテル街〉
俊也)「な、なぁ、ちょっとどっかで休んでかないか?」
NA)
下心アリアリで訊いてみた。
その時、急にマヤは俺の袖をつかんだ。
そして猛ダッシュ。
俊也)「お…おいちょっと!どうしたんだよ?!マヤ?!」
NA)
そして着いた先は…
ト書き〈Aホテルの前〉
マヤ)「ここ…!」
俊也)「…え?」
NA)
マヤがこの日、初めてまともに口を利いた。
そう言ってマヤが指さしたのは、Aホテルだった。
俊也)「Aホテル…?」
マヤ)「…」(Aホテルの方をただ真っ直ぐ見詰めている)
NA)
でもその後、マヤはまた黙ったままだった。
ただずっとAホテルを見詰めている。
俊也)「…(ははぁん、なるほど。マヤはきっと初めから俺をホテルに誘う気だったんだ。それが恥ずかしくて今日、ずっとその事ばかり考えて無口でいたんだな…)」
NA)
俺は何となく合点が行った気がした。
マヤは初めから俺と一夜を明かす気でいた。
大抵の女にとってそう言うのは一大決心。
特にこの純情可憐なマヤだ。
その事ばかりを考え、橋でも街中でもレストランでもただずっとその事を考え、恥ずかしくなってただけなんだ。だから心ここにあらずって感じだった。
俊也)「(フッ、どこまでも可愛いヤツだ…💛)」
俊也)「よーっしゃ!今日はここで休んでこう💛もし帰りがしんどかったら、そのまま泊まってってもイイかもね~♪なーつってな💛ハハハ」
マヤ)「…」
NA)
俺は完全に有頂天。舞い上がっていた。
マヤは相変わらず無口。
でもきっと一夜を明かせばそんな調子もガラリと変わる。
俺にベタ惚れになるに違いない。
そんな風に思い込み、俺は早速マヤを連れてAホテルへ入って行った。
ト書き〈Aホテル内〉
NA)
ここは俺も知ってる。
以前に何度か来た事がある。
このホテルはフロントが無く、そのまま部屋へ直行。
部屋の中にカードキー専用の機械があり、そこでイン・アウトの時間を記録。
チェックアウト時はカードをまた差し込んで、その場で清算するのだ。
俊也)「ふぁ~♪快適快適♪やーっと君と2人きりになれたね💛」
NA)
そう言って俺は取り敢えずキスしようとした。
しかしマヤは…
俊也)「ん?お、おいどうしたんだよ…」
NA)
急に俺の手を振りほどき、マヤはタッタっとバスルームへ向かった。
俊也)「あ、なるほどね。先にシャワーってわけね」
NA)
純情娘にはよくあるパターン♪
覚悟決めてホテルに入っても、いざ男と2人きりになればちょっとビクつく。
そんな不安を掻き消す為に、シャワーでも浴びてもう1度決意を固める…。
以前に別の子から聞いた、男には分からない乙女の事情ってヤツだ。
俊也)「いいぜいいぜ♪俺ずーっとここで待ってるからよ💛ったく、ホント、可愛いヤツだぜ💛」
NA)
マヤはもしかすると、ホテルへ来たのも初めてなのか。
そんな空想が心をよぎる。
このホテルではバスルーム横に脱衣所があり、ベッドのある部屋とはドアで完全に仕切られる。
だから俺が今いる部屋からは、脱衣所・浴室が一切見えない感じになる。
俺は一服した。
そしてマヤが上がって来るのを、ゾクゾクしながら待っていた。
ト書き〈シャワーの音がする〉
NA)
浴室からシャワーの音がし始める。
俊也)「むふふ💛この音すら興奮させるぜ…」
NA)
俺はよっぽど自分も一緒に入ろうかとしたが、ここは堪えて待っていた。
マヤがいま俺の為に体を奇麗にしている。
更にこの一夜への覚悟を決めようとしている時。
それを邪魔したくない。
下手に邪魔して、また変にへそでも曲げられたら困るから。
ト書き〈30分経過〉
NA)
しかしそれから30分が経過した。
俊也)「…んだよ…まだかよ…?」
NA)
ずっと「シャーー」と言う音だけが聞こえている。
マヤは一向に出て来ない。
この時から少し妙な気がし始めた。
俊也)「…あいつ、いま何やってんだろ…?」
NA)
頭や体を洗う時、必ずその音が聴こえて来る筈。
でも浴室からはシャワーから水の出る音がするだけ。
その他の音が何もしないのだ。
俺は不安から少し、恐怖のようなものを感じ始めた。
そしてつい浴室を覗きに行った。
すると…
ト書き〈浴室内〉
俊也)「う…!うわぁぁあぁ!」
NA)
浴室には、血まみれになって倒れているマヤがいた。
見ると両手首に深い切り傷があり、そこから多量の出血をしている。
俊也)「き…救急…救急車…!」
NA)
思わず救急車を呼ぼうとした時。
浴室の床に倒れているマヤの体がフッと消えた。
俊也)「え…えぇ?!」
NA)
俺は訳が解らなかった。
更にパニくりながら、気付くと俺は部屋から既に跳び出していた。
そしてすぐ従業員を呼びに行った。
ト書き〈警察込みで従業員と浴室にいる〉
警察)「ここに、女の子が倒れてたんですね?血まみれで…」
俊也)「え、ええ…そうです…」
NA)
従業員に事情を話した直後、すぐに警察も呼んだ。
警察、従業員込みで俺達は、さっきまでマヤがいた浴室にいる。
でも…
警察)「ふぅむ、死体が無いんなら事件を立証する事は出来ませんねぇ…。本当にあなた、ここにそのマヤさんという女性と一緒に入られたんですか?」
NA)
マヤの死体は無い。
事件として立証出来ない。
これは当たり前の事。
でも確実に俺はマヤと部屋へ入った。
それを立証する為、ホテルの部屋前に設置された防犯カメラを確認した。
俊也)「え…?なんでぇ…!?」
NA)
防犯カメラには確かに俺の姿が写っていた。
だが、マヤの姿がどこにも無い。
何度見返しても、マヤの姿はどこにも写っていなかった。
呆気に取られている俺の様子を見、従業員がポツリと呟き出した。
ト書き〈自殺のエピソード〉
従業員)「…実は昔、まだホテルが改装する前の話なんですけど、丁度この部屋で、1人の女性がリストカットして自殺した事があったんです…」
NA)
この部屋で自殺があった。
これに警察も反応し、その事情を詳しく訊いた。
既に1度事件として警察に通報されていたものらしい。
だから警察としては再確認する形になった。
警察)「あ、あの事件の事ですか」
NA)
ホテルはその自殺が過去にあったのち、1度営業を停止していた。
そして改装し、また新しく営業再開となったのだ。
そんな事情を俺は何も知らなかった。
警察が署に問い合わせた。
その時の事件をもう1度確認した所、驚くべき事実が判った。
俊也)「ま…まさか…」
NA)
自殺した女性の名前は本庄マヤ。
ちょうど彼女が20歳の頃、恋人と一緒にこの部屋に来た。
そして彼女はその恋人に捨てられた。
恋人が去ったのち、持参したカッターで手首を切り、浴室で亡くなっていた。
もう数年前の事だった。
俊也)「じ…じゃあ俺と一緒にいたのは…」
NA)
俺がこれまで一緒にいたマヤは、そのとき自殺していた本庄マヤだったのだ。
警察が取り寄せた事件書類の写真を確認させて貰った所、そこに写っていたのは、さっきまで俺と一緒にいた彼女の顔だった。
その事実を知った途端、俺は奥行きすら見えない恐怖を知った。
俺が引き連れていたのはマヤの霊。
だからマヤはもう、この世に存在しない。
街中でもレストランでも、彼女の姿が周りの奴らに見えなかったのはそう言う訳だ。見ようとしても、彼女の姿は誰にも見えなかった。
マヤの姿は俺にしか見えていなかったのだ。
きっと周りの奴には、俺が独り芝居をしてるようにでも見えていたのか。
でもなぜ俺にだけ見えたのか?今でもその謎は全く判らない。
ただそれから俺は、Aホテルと、あのサイトを利用するのをやめてしまった。
エンディング~
エクソちゃん:また今回も怖いお話だったねぇ~。こんな経験しちゃうと、やっぱ出会い系サイトとかそのホテルを利用しようって気は暫く失せるよね。
デビルくん:なんでよ?おもしれぇじゃん♪生き人・死に人問わずと付き合えるなんてよ♪
エクソちゃん:だからアンタ目線で考えるのやめなさいって!相手、人間よ?誰だってこんな経験すれば怖くなるに決まってんじゃない!
エクソちゃん:でもアレよねぇ。過去のエピソードがこんな感じで現在に影響するってお話、結構多いよねぇ。ホテルとか電車とかバスとかタクシーの中とかさ、いつ誰がどこでどんなエピソードを経験していたかなんて、やっぱ誰にも分かんないもんね。
デビルくん:まぁな。その場所に残された怨念のようなモンが、その後にその場所を訪れたヤツに取り憑くって話は未だによく聞くなぁ。
エクソちゃん:公共の施設っていろんな人が使うから、その人数分の過去がそこに凝縮されるのよね。旅館とかロッジとかもそうだけど、そう言う場所へ行く時は、やっぱちょっと気を付けといたほうがいいかもね…
(↑朗読動画の場合は無視して下さい↑)
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=nVWzZyB0vpw&t=84s
抜群に可愛い女の子が消えた瞬間… 天川裕司 @tenkawayuji
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