夢の中で夢を見る

天川裕司

夢の中で夢を見る

タイトル:夢の中で夢を見る



イントロ〜


神様はアダムのためにエバを創られた。

それは男に女が必要だからと言うことで

男の支えになるために女が創られたと言うこと。

だったらこの現実でも、現代人に同じことが言えるのでは?

今回は、その辺りに悩み尽くした

或る男性にまつわる不思議なお話。



メインシナリオ〜


ト書き〈カクテルバー〉


俺の名前は日取常雄(ひとり つねお)。

今年で50歳になる独身サラリーマン。


本当は20代後半から30代で結婚するはずだった。

でもそんな人は1人も居なかった。俺の前には現れず、別の人の前に現れた。


常雄「ふぅ。まぁこれが現実なんだろうな…」


もうこんなことで何度も悩んできたが、

俺はいっときから悩むのをやめた。

悩んだって仕方がない。考えることをやめた、というのが正解だ。


そんな時、まるで俺の最後を看取るかのようにして、ある女が俺の前に現れたのだ。


華菜絵「お1人ですか?よければご一緒しませんか?」


見ると結構きれいな人だった。名前は正真華菜絵(しょうま かなえ)さん。

でも不思議と、俺は彼女に何の恋愛感情もわかなかった。


その代わり「昔どこかでいちど会ったことのある人?」という印象だけが漂い、

そのせいか、俺はなぜだか彼女に自分の悩みを打ち明けようと必死になった。

これは少し不思議な体験だった。


華菜絵「ずっと独り身で生きてきたのは一体なぜなのか?どうして自分の元には、運命の人が現れなかったか。そんなことで悩まれているんですね?」


常雄「ええ。お恥ずかしいことですが。でももう僕は悩むのをやめたんですよ。いくら悩んだって仕方がない。1人に1人、運命の人が居ると言うのは、あれは嘘ですねw」


すると彼女は俺を嗜めてからこう言った。


華菜絵「いいえそんなことありません。あなたは結婚相手にだけその人を望んでいるから、そうなるのでしょう。運命の人と言うのは、いろんな場所に現れるものですよ?」


常雄「え?」


華菜絵「ほら、こうして私と会っていることだって、あなたにとってはその運命の人…になってるんじゃありません?」


おかしなことを言う。でも一理あるとも思った。しかし感情が…


常雄「いや僕は、結婚相手のことを話してるんですよ?伴侶のことです」


と少し反発してみせた。納得してそう言ったのだ。


華菜絵「…そうですか、あなたの今のお気持ちはよくわかりました。では、あなたのその感情に合わせて、望みを叶えて差し上げましょうか?」


「は?」とも思ったが、彼女はそんな俺を尻目にし

持っていたバッグから1本の液体薬のようなものを取り出し、

それを俺に勧めて次にこう言った。


華菜絵「どうぞ、お飲みなさい。それであなたの夢は叶えられます。あなたに合った形で叶えられるでしょうから」


ここで2つ目の、彼女が持っている魅力に気づく。

それは他の人に言われたって信じないことでも、

彼女に言われると不思議と信じてしまうこと。

俺はその場でそれを受け取り、一気に飲み干していた。


ト書き〈自宅〉


静恵「やっと会えたね♪これからどうぞよろしくね。私たち、ずっとこれから一緒だから」


常雄「あ、ああ♪君みたいな人に出会えるなんて、この歳で…俺は本当に幸せもんだよ…!」


信じられないことが起きたのだ。なんとこの俺に、運命の人が現れた。

50年間、本当にそんな人とは出会ってこなかったのに、今ここにおいてその人に出会うことができた。


それもこれも、あの時バーで出会った、華菜絵さんのお陰だったのか。


(ベッドで眠り続ける常雄を見ながら)


華菜絵「フフ、よく眠ってるわね。また笑って…よほど楽しい夢でも見てるのかしら」


華菜絵「私は、常雄の孤独と夢から生まれた生霊。その夢を叶えるためだけに現れた」


華菜絵「私があのとき液体薬をあなたに勧め、そしてこう成った事の意味が分かるわね?そう、あなたにとって、運命の人なんてこの世には居なかったのよ」


華菜絵「生涯を独身で通す人も居る。あなたはそちら側の人間だったの。もし本当にその運命の人が1人に1人ついて居るなら、独身者は初めからこの世に居ない」


華菜絵「あなたに見合った形でと言ったのは、それは夢の中。文字通り夢の中で、その夢を掴みなさい」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=78G9vYhJ-Uo&t=59s

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夢の中で夢を見る 天川裕司 @tenkawayuji

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