夢のヒカリ
天川裕司
夢のヒカリ
タイトル:夢のヒカリ
イントロ〜
あなたは本の中の誰かに恋したことがありますか?
ドラマの中や映画の中でも構いません。
でもいずれにしても、そんな創作物の中の誰かに恋すると言うのは、
現実に疲れているから、現実が嫌になっているから、
と言った、現実逃避の姿に他ならない…
と言う見方もあるようです。
ですがその現実逃避がその人に、幸せをもたらすかどうかは、
その時になってみないとわかりませんね。
メインシナリオ〜
ト書き〈公園〉
私の名前は夢野(ゆめの)ヒカリ。私はいつもこの公園に来て本を読んでいる。小説だ。
恋愛小説で、小学校の頃からずっとこんな小説を読むのが大好きな私だった。
今でもそれは続いていて、幼少の頃よりさらに今の方が、その恋愛小説に集中する度合いが大きくなっている。
理由はやっぱり、現実の恋に乏しいからだ。
つまり現実で恋愛するのが嫌になり、億劫になり、
こんな架空の恋愛の方が自分に向いてる…と思ってしまったから。
そしていつものようにこの公園で小説を読んでいると…
虹子「フフ、さっきから集中して読んでますね?なんて本ですか?」
と声をかけてくる女の人がいた。
彼女の名前は虹子(にじこ)さんと言い、
都内で女流作家をしていると言う。
「ええ?作家さんなんですか?」から話が始まり、
私はなぜか今の自分の悩みを全部彼女に打ち明けていた。
不思議と彼女には、私をそうさせる魅力のようなものがあったのだ。
現実の恋に疲れている。架空の恋愛こそ私に向いてる。
私も小説の中の人のように恋がしたい、結婚がしたい。
そんなことをずっとしゃべり続けた。
これまであまり考えないようにしてきたけど、私はブスなのだ。
それはもう紛れもないようなブス。
だからこそ、現実の恋愛なんかとてもじゃないけど、絶対向かない。できるわけない。
そんな大前提の宿命のようなものがあったので、
私は昔からこんな風になってしまったんだろう。
虹子「そうですか。でも人間、やっぱり中身ですよ?あなただって良いところが沢山あるんだし、必ずそれを認めてくれる男性が現れますよ。その運命を待ってみては?」
と言ってくれたが、そんなこと今まで何度も考えてきた。
虹子さんは私より綺麗。可愛らしい。そんな人に私の事なんてやっぱりわからないのかな。
そう思いながらも、やっぱり彼女の魅力に引き込まれ、
私のこの悩みを何とかして欲しい…!そう思わされ続けた。
虹子「そうですか、わかりました。ここでこうしてお会いできたのも何かのご縁でしょう。私がその望みを叶えて差し上げましょうか?」
「え?」と思いながらも見ていると、彼女は持っていたバッグから錠剤のようなものを取り出し、
それを私に勧めてきてこう言った。
虹子「それを飲んでごらんなさい。あなたの夢は瞬く間にして叶うことでしょう。ただそれまでの生活を失うことにはなりますが、その覚悟があるのならどうぞ」
少し怖いことを言ってきたが、私はこれまでの自分の悲惨を全部一掃したく、
彼女の言うがまま、その錠剤を受け取り飲んでいた。
虹子「おめでとう。これであなたの夢は叶えられたわ」
彼女がそう言ったのを聞いた後、私の目の前で、それまで読んでいた小説がパタンと閉じ、
それを見届けた後、私の意識は一旦飛んで、一瞬の暗闇を通り抜け、御殿のような、素晴らしい光の中に舞い降りていた。
その御殿は丁度この小説の中で、ずっと恋焦がれてきた1人の少女が、ずっと想い続けた貴公子の男の人と結ばれ合う…
そんなクライマックスの場面に出てきた御殿である。
ト書き〈小説を手に取って〉
虹子「あなたは本の中の住人になった。これからはこの世界の中で、自分の幸せを存分に掴み取るのよ。もう誰も邪魔する者は居ないし、あなたを悲観する人も居ない」
虹子「もしかして、気づいてたかしら?私はヒカリの夢と欲望から生まれた生霊。その夢を叶える為だけに現れたのよ。架空も信じれば現実になる。そう、あなたの中でね…」
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=Qw3PeXVizM0&t=59s
夢のヒカリ 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます