光の下
猫又大統領
友
「ちょっと、ここであってるの? 何ここ?」彼女は早口で言った。
同じ学校の同性の友達だからって、夜更けに呼ばれたら怖いはずだ。おまけに、こんな雑木林の中。不安になるのは当然。
「あってるよ。足元気を付けて。もう少しだから」そういって私はスマホのライトで地面に光を当てる。彼女を早く安心させてあげたい。
「よし、付いた。目をつぶってて」私がそういうと彼女は目を隠しながら「ねえ。目を開けた時、いなくなってたら怒るからね!」そう彼女は早口でいった。
私が無言で作業をしていると「まだ? ねえ? いるよね? 返事してよ」と彼女は言い続ける。
「いるから。大丈夫。よし! 目開けていいよ!」私は地面に挿したポール形状のガーデンライトの明かりをつけた。
青く淡い光が私と彼女を足元から包み込む。
「目開けるよ!」「うん。どうぞ」
目を開けた途端、彼女の表情は明るく輝く。
「わあ……綺麗」そういった後、彼女は笑った。
「綺麗でしょ?」
「あんまりにも綺麗でさあ。笑えてくるよ。これ高そう。どうしたのこのライト?」
「この地面に刺さってるライトはワンコインで買えるやつ。買い物上手さんなんだよ私」そういって私は、彼女にピースサインをした。
「でも、なんで、こんなこと……」
「最近学校で暗かったっから。何かできることあるじゃないかって思ってさ」
「……ありがとう。気分転換になった。私のことを考えてくれてる人がいる。世界には一人くらいはいたんだってわかって嬉しい」そういい終わると彼女の頬を光る水滴が流れた。「私、親のことで色々あったから……さあ」彼女はそう続ける。
「大丈夫。私が付いてる。もう大丈夫だよ」
「ありがとう……」
心配しないで。
もう心配しなくていいの。あなたが苦しむことはないの。
だって、苦しみは光の下へ埋めたから。
光の下 猫又大統領 @arigatou
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