浮気の果てに迎えた理想の世界

天川裕司

浮気の果てに迎えた理想の世界

タイトル:浮気の果てに迎えた理想の世界



▼登場人物

●掛川小宙(かけがわ そら):男性。30歳。そこら辺に居る普通のサラリーマン。浮気について悩んでいた。

●有本愛理(ありもと あいり):女性。29歳。小宙の彼女かつフィアンセ。ちょっと浮気性。

●益代絵 佳奈(ますよえ かな):女性。30代。小宙の理想と欲望から生まれた生霊。


▼場所設定

●街中:デートスポットなど一般的なイメージでOKです。

●Last Stand:都内にあるお洒落なカクテルバー。佳奈の行きつけ。


▼アイテム

●Eternal Pure Blood:佳奈が小宙に勧める特製のカクテル。これを飲むと男性機能に効果が働いて浮気できなくなる。

●Eternal Chastity:佳奈が小宙(の彼女である愛理)に勧める特製のサプリメントドリンク。これを飲むと小宙の場合と同じく(女性特有の形で)浮気できなくなる。


NAは掛川小宙でよろしくお願い致します。



イントロ〜


あなたは浮気に悩んだ事がありますか?

他人からされる浮気、自分がする浮気。

どちらも人を傷つける事に違いなく、それは姦淫の罪に定められます。

今回はその事に悩みながらも、どうしても欲望に勝てなかった

ある男女にまつわる不思議なお話。



メインシナリオ〜


ト書き〈デート〉


俺の名前は掛川小宙(かけがわ そら)。

今付き合ってる女が居て、名前は愛理(あいり)。


小宙「なぁ…」


愛理「ん?」


小宙「世の中から浮気ってなくなったら良いと思わん?」


愛理「え?」


小宙「この先俺たちが一緒になってもさ、世の中がそういうふうになっててくれたらその点での不安はなくなると思うんだよな」


愛理「どうしたの急に?w」


小宙「いや前からちょくちょく考えてた事なんだw俺もこんなこと考えんの自分で変だと思ってんだけど、でもその通りじゃないかなぁなんて思って」


俺は愛理との間に少し不安を思っていた。

それはこの先たとえ一緒になっても、そういう事が理由で別れることもあるんじゃないか…と。


馬鹿げた思いかもしれないけど、でもそれが理由で別れる男女は恋人にも夫婦にも沢山いる。

ほとんどがそれで別れてるんじゃないか?と思えるほど。

そんなことを少しずつ話してく上で愛理も…


愛理「…そうねぇ。確かにその通りかもね」


と一応納得はしてくれていた。


ト書き〈トラブル〉


でもそれから間もなくして、予想通りと言うか、やっぱりトラブルがやってきた。


小宙「おい、お前これ!一体誰なんだよ!」


愛理「あっ、アタシの携帯勝手に見たの!?ちょっとやめてよ!信じらんない!」


小宙「信じられないのはお前のほうだよ!あれだけ一緒になるって言っときながら、早速浮気かよ!!それ、浮気相手だろ!?」


愛理「違うわよ!」


愛理が浮気してた事がわかったのだ。

愛理はずっと否定してたけど疑う余地はなかった。

ただの会社の上司がラブメールなんか送ってくる筈ない。

なんでこんな簡単な嘘をつくんだろう。


でも、俺達は別れず何とか踏みとどまった。


愛理「わかったわよ、ごめんなさい!でも別れないで欲しいの、私にはやっぱりあなたしか居ないんだから。浮気っていうか、その人とはキスまでしかした事がなかったけど、でもはっきり別れるから。お願い許して」


とそれなりに謝ってきたから。


散々悩んだ挙句、もう1度だけ信じる事にした。

その理由は過去の俺にも、似たような経験があったからだ。

俺も愛理に隠れて、浮気じみた事をした事があった。

俺も愛理と同じように最後までは行かなかったけど、ディナーに誘われて肩を抱いただけだけど、

そのとき心を奪われていればやはり浮気は浮気。


俺が「世の中から浮気なんてなくなれば良い」と思ったのは、自分にそんな経験があったからと、やっぱり愛理とのこの先の関係にそれなりの不安を持っていたから。


でも愛理はこれをきっかけに、その後、お互いの浮気に対して真剣に考えるようになり、それは罪のほか何物でもない…と言うことを思うようになってくれた。

そしてその愛理を見て、俺も尚更その気持ちが引き締められた。


もしかするとこうしてカップルは夫婦になる為、お互いに刺激し合って、成長して行くものかもしれない。


ト書き〈カクテルバー〉


そんなある日の仕事帰り。

1人で俺は飲屋街に来ていた。

まぁここは昔から来ていた場所で、仕事関係の仲間ともよく飲み歩いてた事がある。


そうして歩いていた時…


小宙「ん、『Last Stand』?新装かな?」


と全く見た事のないバーがあるのに気づいた。

物珍しさもあり、そこに入ってカウンターにつき1人飲んでいたところ…


佳奈「フフ、お1人ですか?もしよければご一緒しませんか?」


と1人の女性が声をかけてきた。

見るとまぁまぁな美人だったが、俺はもう心を動かされない。俺には愛理というれっきとした彼女が居るからだ。


声をかけてきた彼女の名前は、益代絵 佳奈(ますよえ かな)。

都内で恋愛コンサルタントやスピリチュアルヒーラーの仕事をしていたようで、

その変わった名前もペンネーム感覚でつけたとの事。


でも彼女は不思議な魅力の持ち主だった。

独特のオーラと言うのか、「どこかでいちど会ったことがある人?」のような感覚を投げかけ、その点で心が解放されるのか?俺は今の自分の悩みを無性に彼女に打ち明けたくなる。


その上でもう1つ不思議だったのは、今目の前にしている佳奈さんに対しては、全く恋愛感情が湧かないと言う事。

昔どこかで会ったことがある…というその感覚が身内の雰囲気を持ってくるのか、とにかくその気にさせられないのだ。

でもこの時は、これが好都合だと思った。


佳奈「浮気しないようになれば良い?」


小宙「え、ええwいきなりこんなこと言って変に思われるかもしれませんが、今その事を本気で考えたりしてるんです」


小宙「恋人とか夫婦とかが別れる理由って、大体浮気が原因でしょ?だったらその浮気そのものが世界からなくなってくれたら、みんな特定の人だけ愛せるようになって、別れたり、そんな悲劇を持ち込む事もなくなるんじゃないかなぁって…」


小宙「あ、あははw変ですよね?こんなこと本気で考えてるとかw」


少し恥ずかしかったが、でも俺はその時の気持ちを正直に伝えた。でもそれを聞いて彼女は…


佳奈「フフ、いいえ、それは素晴らしい事だと思いますよ?決して恥ずかしい事なんかじゃありません。あなたの言われる通り、私も職業柄その事についてはそれなりによく存じ上げてますが、カップル・夫婦が別れる8割の理由がそれなんです」


小宙「え?…浮気、ってこと…」


佳奈「ええ、そうです。本当に世の中から浮気そのものがなくなってしまえば、その気持ちがなくなれば、誰でもみんな特定の人との愛が結ばれて、そのまま平穏無事な一生を送る事ができるんでしょうね」


ここにも自分の理解者が現れてくれた…そんな事を思い、俺は少し喜んだ。でもその時彼女は…


佳奈「わかりました。あなたのそのお悩みと言うか夢を、とりあえずあなたとその彼女さんの間だけで叶えて差し上げましょうか?」


とちょっと信じられない事まで言ってきたのだ。


小宙「…え?どういう事ですw」


ただの悩み相談で言ったつもりが、彼女はその事を本気で解決してくれると言う。

その気迫と言うか姿勢に少しついて行けなかった俺は笑って聞いてみた。


すると彼女は指をパチンと鳴らし、そこのマスターにカクテルを一杯オーダーして、それを俺に勧めてこう言ってきた。


佳奈「とりあえずこちらをどうぞ?これは『Eternal Pure Blood』と言う特製のカクテルでして、これを飲めばあなたのその夢は、あなたの世界だけで叶えられることになります。つまりあなたはさっきまで言われていたその夢を、この現実で実践できるようになるわけです」


小宙「…は?な、なんですかそれ」


佳奈「フフ、まぁすぐに言って理解はできないですよね。でも飲んだあと、それがわかるでしょう。あそうそう、あなたの彼女さんにはこちらをどうぞ」


そう言って次に彼女は持っていたバッグから1本の栄養ドリンクを取り出し、それを俺に持たせて同じように言ってきた。


佳奈「それは『Eternal Chastity』と言う同じく特製のサプリメントのようなもので、そのドリンクを彼女に飲ませれば、あなたが彼女に思うその理想が叶えられます。つまり、絶対彼女は浮気しなくなると言うこと。あなたも同じく、彼女以外の人とはもう浮気する事はないでしょう」


佳奈「信じるかどうかはあなた次第。もしその夢を本気で信じ、叶えたいと思うならあなたは今ここでそれを飲み、そのドリンクを彼女に飲ませてあげなさい。嘘のように聞こえるかもしれませんが、嘘ではないですから」


ここで3つ目の不思議を思わされた。

それは他の人に言われたって信じない事でも、彼女に言われると信じさせられその気になってしまう。


俺はその場で勧められたカクテルを一気に飲み干し、持たされたそのサプリメントのドリンクを、後日、彼女に飲ませた。


ト書き〈変化〉


それから数日後。

俺は無性に浮気したくなっていた。


小宙「ど、どうしたんだろ、俺…」


それは愛理も同じだったようで、俺に隠れて早速別の男を見つけ出しその男に連絡し、浮気に奔走しようとしていたようだ。


でもそこで、お互いの体の変化に気づいた。


浮気相手の女「ねぇ、どうしたのぉ?早くしようよぉ」


小宙「ちょ、ちょっと待ってね…!(あ、あれ?なんで…!?)」


SNSで出会った女とホテルにしけ込んだのだが、俺はそこで全く営みと言う営みが出来ないでいた。

アレが全く不能状態になっている。いくら努めても全くダメで、気持ちはあっても体がついてこない。その内…


浮気相手の女「もうイイわよ!この役立たず!」


と言って、浮気相手のその女はホテルから出て行った。


愛理についてはもっと悲惨だったようで、同じく浮気相手の男とホテルにしけ込んだところ…


浮気相手の男「あれぇ〜?」


と言う素頓狂な男の声と同時に、愛理は自分の体の変化に気づいた。


愛理「ちょ、ちょ、ちょっと待ってね…!」


愛理はそれからトイレに駆け込み、自分の体を徹底的に調べまくった。


愛理「ちょ、ちょっとどう言う事よこれ!なんで…?!なんなのよこれぇ!!」


愛理の体も同じく営みと言う営みが全く出来なくなっていたようで、愛理の場合は閉口していたと言う。


そして互いに浮気相手から離れたらまた元通りの体に戻り、それまでと同じように生活できる。

そしてまた浮気心が芽生えて浮気に奔走すれば、またあの時と同じような目に遭い、結局何もできない。


小宙・愛理「え…えぇ!?こ、これって…一体…」


そこで俺達は気づいた。あのカクテルとドリンクの効果が、このような形で現れたんだと。


ト書き〈2人が公園で肩を並べて座ってる様子を見ながら〉


佳奈「フフ、仲良さそうに座ってるわね。これでお互いに気づいたかしら?もう浮気はできない体になっていると♪私は小宙の理想と欲望から生まれた生霊。その理想のほうを叶える為だけに現れた」


佳奈「あのカクテルもドリンクも2人が気づいた通り、もうその後、誰とも浮気できなくさせるものだったのよ。特定の人だけと営みが出来、その他の人とは一切できない。小宙にとっては愛理、愛理にとっては小宙、それが特定の人。あそうそう、たとえ別れても今の状態は変わらないから注意してね♪別れないようにする事が、今のあなた達2人にとっては大事なことね」


佳奈「2人はこれでやっと純潔な生活、貞操を徹底的に守れる生活を送る事ができるでしょう。確かに世界中の誰もがこのようになれば、世の中から浮気が消えるきっかけが出来、もしかするとその点でもっと世界は純潔になるのかもしれない」


佳奈「まぁ欲深い人間だから、その代わりのものを又見つけるかもしれないけど、でも今私たちを悩ませてるその浮気問題を消す事はできるかも、ってことよね。こうやって1つずつ、人を悩ませてる問題…いわゆる罪が消えてってくれたら良いんだけどね。逆にこれだけしなければ、人は浮気の罪1つも消す事が出来ないのよね…」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=_xBhiXNPDLU&t=67s

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

浮気の果てに迎えた理想の世界 天川裕司 @tenkawayuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ