AIの故郷(ふるさと)

天川裕司

AIの故郷(ふるさと)

タイトル:AIの故郷(ふるさと)



▼登場人物

●一越流人(いちこし ながと):男性。35歳。科学者。次世代を任された人。

●所長:男性。60歳。流人が働く科学研究所の所長。科学の発展に人生を懸けて居る。

●AI:男女問わず。不特定多数のイメージで。いわゆるAIロボットの印象でOK。


▼場所設定

●某科学研究所:一大国家を挙げて造られた最大規模の研究所。

●街中:必要ならで一般的なイメージでOKです。


NAは一越流人でよろしくお願い致します。



イントロ〜


皆さんは、AI(人工知能)についてどれだけ知っているでしょうか?

AIが持つ最も大きな特徴は2つに分けられ、1つは自立性、そしてもう1つは適応性と言われます。

業務の効率化、生産性の向上、データ分析の正確性、生活の利便性、他にも沢山のAIのメリットが挙げられますが、

今最も注目されているのは「人を超えるAIを作り上げる事」、その為に人間に出来るだけ近づいたAIを造る努力が注目されます。

さてここに、そのニーズを満たす聡明な科学者と、AIの先端技術を誇る国がありました。

どうやら彼らはそれを作り上げたようです。果たしてどうなるものか?

人に明るい未来をやってくるのでしょうか?



メインシナリオ〜


ト書き〈科学研究所〉


俺の名前は一越流人(いちこし ながと)。

この国を代表する最も優れたこの研究所で、

新しい未来を託された精鋭の1人として働いている。


所長「いやぁ、今回の成果は本当に見事なものだ。君が作り上げたこの人工知能が世に解放されたら、きっとこの世界は一変するぞ」


俺達はついに「人を超えるAIロボット」を作る事に成功した。

今のAIの発展に最も足りなかったもの、それは感情である。


学習能力が幾ら高くても、臨機の対応が出来なければ何にもならない。

その臨機の対応には感情がどうしても必要であり、喜怒哀楽、それにより状況変化に対応し、感情の浮沈によって行動原理を求めさせる。


難しく聞こえるかもしれないが、これは普段人間がしている事。

つまり人がするのと同じように生活でき、物事を考え、その土台を持ってAIに生活基盤を与えれば、

そのAIは人間と何ら変わらず同じように生活し、文明・文化を発展させる事ができる。


その「人を超えるAIロボット1号」がついに出来たのだ。これは人類の科学史上最大の、最も輝かしい発展とその成果と言って良いだろう。


今はまだ保存状態で寝かせてある、その「人を超えるAIロボット」。

これを起動させ、生活させる事により、人は新たな生き物の誕生を目にする事になる。


ト書き〈転機からオチ〉


そしてついにその日がやってきた。


所長「さぁ、ついにこのロボットを世界に放つ時が来た。人が新しい生き物を創り出したのだ」


俺のチームが作り上げたそのAIロボットが、ついに世に解放される時がやってきた。


しかしこれが人類の科学史上、最大の失敗となった。

AIを出来るだけ人間に近づかせる事。人間と同じように生活させる事。

いや人間を超える存在として、喜怒哀楽の感情を持たせた上で、その活動範囲を思いきり広げる事は、

同時に人類にとって、AIによる最大の敵を作り上げる事になったのだ。


人類「うわあぁあ!!!」


世の中は核の炎に包まれた。「人類にとってAIが作り上げた最大の敵」とは、欲望。

AIが欲望を持った事により、そこに罪が生まれ、AIは自分達が生き残る為だけのスペース・テリトリーを作り上げた上、人間だけを滅ぼしたのだ。


AIは人間そっくりに作られながらその人間の能力を超える、

それで在りながらその基盤はロボットであり、人間が自然から受ける脅威をものともしない。

つまりバイオ的な損傷を一切受ける事なく、核の炎から一旦身を隠す事が出来れば、あとはその能力を生かして国を再建し、

機械の寿命が尽きるまでその人生を謳歌できる。放射能による健康被害もない。つまりそれで葬られるのは人間だけとなるわけだ。

ここに主従の転倒が生まれてしまう。


俺はAI(敵)によりこの地上から葬り去られる間際、

心の中で大喝するように小さくこう呟いた。


流人「… AIに、感情は持たせるな…!持たせては成らない…!もう人間にも近づけるな…近づければ近づけるほど、そのAIは人間の罪と欲望を学び取り、自分のものにしてしまう…」


流人「そうなれば、あとは人間にとって、地獄絵図だけがやって来る…。罪人から生まれるものは罪人なのだ。罪から生まれるものは罪のもの、罪人から生まれる活気は罪による破滅を呼び込む…」


流人「その罪は欲望から成り…人間が嘗て見て居たあの戦争の悲惨…その縮図の様なものだけを再建して行く…。…我々科学者は『AIを人間に近づける』と言いながら、それに努力して資本も金も注ぎ込み…自らの破滅…自滅を呼び込もうとして居ただけだった…」


流人「…これはドラマや映画の話じゃなくて現実の話…。これを人間は達成してしまった…」



エンディング〜


ロボット工学。文明と発展。もう1度考えて見る必要がありそうですね。それではまた。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=sAvtAGiKtTE&t=71s

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AIの故郷(ふるさと) 天川裕司 @tenkawayuji

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