たまにはこんな依頼も
さて時計の針は13時を回り、
小料理屋アコの昼営業は終了になろうとしていた。最後のお客が会計を済ませて店を後にする
客一【ごちそうさ~ん、
また来るわ~】
広志【ありがとうございました~
またどうぞ~】
アコ【ありがとうございました~】
お客が見えなくなるまで見送る
そんな時珍しい人が来訪した…
坂元【ごめんください!】と店のドアを
開ける
広志【はい!…社長さん久々ですね~
どうしたんですか…
まぁどうぞ】と椅子を差し出す
アコ【あらっ坂元社長さん
どうされたのですか?
珍しい~】と言いながら
お茶をテーブルの上に置く
暖簾(のれん)を下げて店に入れるアコ
札も休憩中に代えて、入口のカギを閉める
坂元【すまないね!終わった所
に伺ってしまって】と
お茶を一口すする
広志【それで今日はどういった
事でしょうか…】
坂元【いや~実はな会社の食堂の
厨房機器が故障して
しまってな…今業者が
修理してもうすぐ
終わるんだけどな
それでその間しばらくは
仕出し弁当を頼んでたん
だけどな~最初の頃は
みんな美味しく食べてた
んだけどさ、段々似たり
寄ったりで飽きてきてな】
広志【それでウチに相談という
事は何かやってくれって
話ですね!】
坂元【ズバリ!1日だけでいいんで
頼めないかなと】
アコ【あなた!何とかしてあげま
しょうよ】と視線を広志に送る
広志【分かりました!
そういう事なら、ウチで
お役に立てるならば、
やりましょう】
坂元【ありがとう本当に助かる】
と頭を下げる
広志【ただ、いけるのは土曜の
昼しか出来ないんですが】
と頭を掻きながら
アコ【そうね~それにメニュー
だって考えないと…】
広志【食べ物にアレルギーの
ある人はいますか?】
坂元【ウチの会社はいないな~
多少好き嫌いはある奴も
いるけどな】
広志【まぁ何とかしますよ】
坂元【すまないね~助かるよ~
恩に着る!
それではそろそろ失礼
するよ、ありがとう!】と
一礼して店を後にした
広志が調理場の後片付けしながら、
皿洗いをしていると
広志【今日も忙しかったな~
思わぬ依頼もあったけど】
アコ【話は3兄弟から聞いて
いたんですけどね~】と
テーブルに残ったお皿や
コップを集めて片付けたり
拭いたりしている
広志【メニュー考えなくてはな】
アコ【それよりもまずは、
私達も早く片付けて
お昼食べましょう、
もうお腹ペコペコよ!】
広志【はいはい】
さて、二人は賄いである今日の
日替わりを食べている時のやり取り
広志【今日もさすがだな~俺】
アコ【自画自賛ですか…】
広志【出張メニュー考えないと】
アコ【そうですね~】
広志【がっつり系の方がいいん
だろうけど健康管理も
あるだろうさ】
アコ【どうします?】
広志【アコ~白菜漬けを頼む
アクセントに丁度いい】
アコ【分かりました!】
広志【後は何にするかね~】
アコ【良いのが浮かんでるん
じゃないですか?】
広志【う~ん、これっていう
決めてがなくてな】
アコ【丼物とかはどうですか?】
広志【それは今日の夜の
日替わりだよ!】
アコ【あらら…】
広志【まぁ何とかするよ】
広志【さてと少し仮眠とるかね…】
アコ【そうですね、休まないと
身体が持ちませんものね】
広志【でもその前に電話しない
といけないな】と電話機の場所
にいき受話器を持ち上げて
おもむろにプッシュボタンを
押して電話をかける…プルルル
少しすると
丸井【はい!もしもし】
広志【女将!もしもし飯塚です
すみません急に】
丸井【どうされました?】
広志【申し訳ないのですが
明日鶏のモモとむね肉
をそれぞれ35㎏ずつ
もらえますか?】
丸井【分かりました!何か
イベントですか?】
広志【急にある人の依頼で
出張する事になって
使う事になりましてね】
丸井【分かりました準備して
おきます!】
広志【お願いします助かります】
と言って電話を切る…
その後すぐ別の所にかけ直す…
八百【もしもし?】
広志【もしもし大将?飯塚です】
八百【どうした?】
広志【申し訳ないのですが
明日長ネギを10ケース
お願いします】
八百【いつもの倍かい】
広志【急に出張で使う事に
なりましてね】
八百【分かった!何とかするよ】
広志【お願いします助かります】
と言って電話をきる
そして二人は夕方の営業に備えて、
つかの間の休息に入ったのでした
今回の登場人物ーーーーーーーーーー
坂元 聖一(さかもと せいいち)…43歳
坂元鉄工所社長、高校卒業後は
サラリーマンをしていたが
二十歳の時に先代の体調不良により
入社し5年前より社長就任
家族は先代夫婦と
妻と大学生の息子と高校生の娘がいる
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