雪月の淡々とショートショート

雪月

毒を食らわば文字まで

 僕には共感覚というやつがある。

 共感覚っていうのは、例えば音に色がついて『聞こえるみえる』とか逆に色が『見えるきこえる』とか。


 脳の中で情報と情報が結び付いて起こる現象らしい。


 僕の場合は、文章だ。

 文章を読むと『匂い』と『味』を感じるんだ。


 昔は良かった。

 面白い本を読めば、同時に極上の酒を飲んだような感覚になれた。


 だというのに、最近の小説といったらどうだ?

 どいつもこいつも腐ったような味しかしない!


 小説投稿サイトは玉石混淆とは言え、ランキング上位の作品や書籍化を謳った作品まで、下水のような匂いがする。

 

 本屋大賞だという本を読んでみればどぎつい香水をぶちまけたような匂いと薄めたウィスキーのようなつまらない味がした。


 かつて読んだヴィンテージワインのような芳醇な味わいの作品はなんといっただろうか?

 記憶が曖昧で思い出せない。


 きっともう僕が愉しめる作品に出会うことはないんだ、そう思うと血錆のような感覚が口の中に広がった。


 ふと、読んでいた小説投稿サイトのトップ画面を見ると何かコンテストのようなものをやると告知があった。


 そうか、無いなら書けばいいじゃないか。

 僕が愉しめる極上の作品を。


 さて書き出しはどうしてやろうか?

 僕は病室のベッドの上に広げたラップトップのキーボードを叩き始めた。



                   ーFin



昨日Discordで話してたネタから。

やらないといったな?

あれは嘘です!


ジャックさん、やばめな主人公のモデルにしちゃいましたぁ!?

すいませーん!


ネタとしては共感覚持ちの主人公が、脳梗塞を発症。昔と脳の感覚が変わってしまい……という感じです。


さて彼が書き上げる作品はどんな作品でしょうか?


『ドグラマグラ』という小説を読むと精神に異常をきたす……という話。

聞いたことありませんか?

高校生の頃、なら読んでやろうと友人と一緒に読みましたが、訳が分かんなかったですねー




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