生け捕りにされた魔王が勇者に〇される話
くまぃっさ
魔王視点(がっつりR-18の♡喘ぎアリ注意)
意識は冷たい寝台の上で戻ってきた。
肩が、首が、両手が痛い。
視界が少しずつ輪郭を持ち、つま先の向こうに縦縞が見えた。ああ、自分は虜囚の身になったのだったか。
自分が転がっている場所は牢の中で、肩が痛むのは手枷が嵌っていたせいだった。
「負けたんだもんね、私達」
口にしてみれば簡単なことだ。自分は多種族を抱えた国の王で、王位とともに終盤に差し掛かった戦争を継いだ。それでも自国の領土を少しでも奪わせまいと抵抗し、最後は自分の首と引き換えに戦争の終結を掴み取った。終戦後の魔族の立場を考えて、諸悪の根源は私達の王家であり、私が彼らを無理やり戦わせていた、という筋書きにしたのだったか。ならば、私がここにいるのはパフォーマンスとして人間たちの国で衆人環視の処刑台に立つためか。もちろん、そんなことできっと魔族と人間の確執は消えないだろう。それでもなにか一つ、少しでも私が民を守れることがあるのなら、その手を使わない理由はない。
「あれ、でもどうして私、ここに入れられるまでのことを覚えてないんだろ……」
頭が痛い。家臣たちを逃し、人間の勇者たちと一人で戦ったことは覚えている。のに、その先が思い出せない。虜囚の身としてここに連れてこられること自体には納得しているのだから、私が抵抗して殴られて記憶を失った、なんてことはなさそうなのに。
「おっ、起きてる起きてる」
ぶつぶつと思考を整理していたところに、聞き慣れない声が入ってきた。顔をあげると、鉄格子の外に金髪碧眼の偉丈夫が立っている。私と同じ、戦争を引き継がされた者。私と違って、英雄という職を全うした者。この時代の勇者だった。
「そなたは勇者か」
「そうだよ、魔王だった人」
「暴動は起きていないか。我らが民は虐殺などされていないか。すべて我が王家のために奴らを使い潰したにすぎぬ。彼らは…」
「それを考えるのは「魔王」だよ。お前はもう違う」
容赦のないことを言いながら、勇者は何やら私の牢から見えない場所にある仕掛けをギイギイと動かし始めた。金属が擦れぶつかる音がしたかと思うと、私の両手首が天井に向けて引き上げられる。どうやら手枷につながる鎖を巻き取るものがあるらしい。
「わっ、我は魔王だ!魔王でなくてはならぬ。魔王が処刑されるからこそ意味があるのではないか」
「チッ…そういうところだよ」
勇者は苦々しい表情を浮かべて私の鎖を巻き取るのをやめた。私は両腕を上に吊るされた格好で寝台に座り、がらがらと牢の戸を開けて入ってくる勇者を迎えた。
「俺は生まれで人生を決められて、それに応えた。命かけて終戦を勝ち取った」
「知っているとも」
「だからな、褒美になんでも手に入れていいことになってんだ」
「まさか貴様、魔族の国を…」
「あ?違えよ面倒くせえ。あんたの国の処遇だとかそういうのはあんたら魔王の一族が代々人質にしてたウチの姫さんが決める。俺が王からぶん取ってやったのはそこにいるお前だよ、元魔王」
ずかずかと近寄り、私の顔を乱暴に掴む勇者の声は苛立ちを帯びていた。
「ずっと手に入れてやるって決めてたんだぜ、おひいさま」
まっすぐにこちらを見据える男の目にどす黒いものが宿った。背筋が一気に冷える。それは私が久しく忘れていた、恐怖だった。
「痛っ…」
直後、鋭く突き刺すような痛みが手首に走った。見上げれば少し焦げ臭い匂いがする。一瞬だが手枷が私の肉を焼くような熱をもったのだろう。
「へえ、大人しく敗戦を受け入れたお前でも、俺を攻撃しようとはするんだな」
「攻撃……?」
「自覚がなかったのか。ソレは仮にも魔族の最強種を捉える拘束具だ。魔力の放出はその拘束の内側に跳ね返る。お前、魔族の最強種の肌をも焼くような力を外に向けようとしたんだろ」
どうやら、私は恐怖して勇者を攻撃しようとしたようだ。
小動物のように、怯えた相手に牙を剥く。そんな弱々しい真似をするほど、私は彼に恐怖してしまったらしい。
「逃げられるとでも思ったのか?」
耳元で勇者の低い声が響く。
「敗軍の将に何を望む。言っておくが、我が一族の心臓を喰らったとて、そなたらの種は力を得られん。我が価値は今や終戦のための首級にしかならぬ」
「声、震えてんな。必死にはぐらかしてどうしたんだ?」
耳に彼の頬が触れる。気づけば勇者は私の身体を包むように抱きしめていた。密着してはじめて理解させられる。部下も魔法も使えない私はただの小娘で、剣も鎧も無い勇者はそれでも精強な偉丈夫なのだということを。
「手首の傷はすぐ治っていくみたいだな。さすがの魔力と回復力だ」
手枷と手首の隙間に男の指が入り込むのを感じる。私の傷をあらためているのだ。
先のやりとりがなければただモノとして扱われただけだ、と大人しく虜囚の身の上を今一度受け入れるだけだった。けれど、勇者が私を見たあの目は、敵だとか、奴隷だとか死刑囚だとか、そんなものに向けるようなものとは全く違う、見たことのないナニカで……
「落ち着けよ。治るとはいえ、俺はあんたが傷つくとこなんか見たくない」
手首からするすると男の手が降りて、私の髪を撫でている。
怖い。
「大人しくしろよ。別にもうお前の首なんていらないし、その力だって欲しくもない」
ぶっきらぼうだった勇者の声が、優しく宥めるような声色に変わる。
やめて。離れて。
「やっとこうして直接触れ合えたんだ……」
私の頬と耳に彼が頬ずりしたのを感じて、ぞくりと鳥肌が立つ。
なんで怖いのかわからない。何が怖いのかわからない。けれど、泣きじゃくりたくなるくらいに、この男が、怖い。
「ああ、怯えてんのか。お前、もしかして男が怖いのか?」
「っみ、耳元で話すな。こそばゆい」
「可愛らしい震え声が出てくるもんだな、おひいさま」
「誰が姫か。我は」
「言ってたぞ、お前んとこのが」
「それをどこで聞いた!」
「落ち着け。全く……また手首が灼けちまってる」
彼は本気で焦った様子で私を抱きしめ直した。この状況で、この男は心から私の身を案じている。それがまた不気味で仕方がなかった。勇者はそのまま私の髪をそっと撫でてから抱きしめていた腕を離し、お互いの顔が見えるように相対する。
「お前、俺たちに負けて膝をついただろ?それでお前の意識をブッ飛ばして攫って行こうとした時に、よぼよぼのが「おひいさま!」って柱の陰から出てきたんだよ」
「そなた、その者はどうした」
「ただの下っ端召使いだったよ。心配すんな。脇に避けて押し通っただけだ、殺しちゃいない。あのジジイ、泣きながら跪いてお前の命乞いをしてたっけな」
「無駄なことを……」
きっと小さな頃から私の面倒を見てくれていた者の一人だ。戦いになるから逃げておけと厳命していたのに、強情に残っていたのか。そして私一人を悪者にしろという命令も、あの者は守らなかったようだ。
「下っ端にまで大切に思われていたお姫様だったんだな、お前は」
頬を勇者の親指が撫でる。
「これからは俺のものだ」
勇者の顔は表情こそ穏やかだが、その双眸は獰猛な色を宿したままだ。
「お前は安心して俺だけのお姫様になればいい」
「ヒッ…」
両腕を天井から吊るされて、寝台の上に座り込んでいることしかできないただの女は、たった一人の男に対してあまりに無力だった。
同じ寝台に上がり、再び肌が触れ合う距離に近づいて来る。その状態に堪えきれず、無意識に後ずさってしまう。
「まずは身体からじっくりわからせてやるよ」
「やっ…やめて…」
「やめない」
耳朶に勇者の歯が立てられる。吐息と甘咬みの刺激がぞくりと脳髄を犯した。ずるずると耳の中を男の舌が犯す音が鼓膜を震わせる。敵だった男から与えられる甘い蹂躙は、私の理性や倫理を緩慢に破壊し始めた。
「ぁ、はぁっ…お、お前っ…敵の首魁を、ぅあっ…って、手籠めにする、などと…んっ…野、蛮なっ…」
「もともとお前らから見た異種族なんてみんな蛮族なんだろ」
「違ぁっ…そんな、風に、思って…なんかっ…ひぅっ…」
「お前こそ、敵に囚われて縛り上げられながら感じる、なんて随分と下賤な趣味だな?」
「っ…はーっ…はーっ…はーっ…」
呼吸を整えながら男を睨むことしかできない。されるがままの脆弱な身体とはこんなに恐ろしい思いをしなくてはいけないのか。
「処刑する前に涜してしまう、のは…そなたの威信にも関わろうよ」
「だからそういうところだよ」
勇者の態度に最初の苛立ちが混ざった。今度は身体を密着させられた状態で向き合わされる。武器も持たないただの人間が、こんなに怖い。人間の娘はどうやって生きているのだろうか。こんな、圧倒的に力の差がある相手と番うのが普通だなんて。
「お前は魔王じゃねえ。俺が、お前を貰い受けた。お前はもうただの、俺の女だ」
「離せ!ヒトの男の慰み物になってたまるか!我は、我は王だ!」
「違うね、その立場は俺が奪ってやった」
「敗軍の将の努めはまだ残っている!」
「奪った、つってんだろ!」
きしむような力で両腕を掴まれる。至近距離で浴びせられる怒鳴り声は、今の私を黙らせるには十分すぎた。
「…やらない」
「……え?」
「死なせてなんて、やらない。お前が死ぬ理由はもう俺が奪った」
ひどく据わった目でこちらを睨んでいる。跪いて剣先を向けられたときよりも怖い。
「死神にだって渡さねえ。お前は、絶対に、逃さない」
勇者は目を見開いて淡々と言葉を紡ぐ。
「じたばた暴れて、喚いてくれやがって。まずは立場がわかるように躾けてやらなきゃいけなかったみたいだな」
片手で顔をあげさせられ、そのまま暴力的に口付けられる。舌を噛んでやろうとしたが、彼の口づけはそんな考えさえかき消されるような容赦のないものだった。
接吻とは恋人同士の甘やかなものだと思っていた。快楽は思い合う者同士が心を昂らせるからあるのだと思っていた。
口の中に性感帯があるだなんて知らなかった。舌を絡め取られれば相手と自分の境がわからなくなるなんて知りたくなかった。口付けるだけで人は人を凌辱できるなんて、知らなかった。
「ぷはっ…はぁっ…はぁっ…どうし、て…」
「泣きそうな顔して睨んでんじゃしょうがねえなあ」
「最低…っ…」
「そう言うなよ、お姫様」
「ヒッ…」
そっと勇者の親指が頬を撫ぜる。もう一度同じことをされるのが怖くて、首に力が入った。そんな反応さえ彼は慈しむように微笑んで、私の耳元に唇を寄せる。
「愛してるんだよ。お前が愛おしくて、仕方がない」
人間の男とは、力で屈服させ、捕らえ、無力化した上で拘束した女に、こんなにも甘く蜂蜜で溺れさせるような声で睦言を吐けるものなのか。滾るような熱を持った愛の告白は、冷たい牢の中であまりにも残酷に響いた。
「い、いや…やめて、ゆるして」
「どれくらい愛しているかわからせてから、だな」
口の中に男の指が入れられて、舌を引きずり出される。勇者の口が開き、糸引く真っ赤な舌が私のそれに近づけられ
「まずは味わえ」
暴力的に絡み合った。無防備になっていた口内は容赦なく責め立てられ、抵抗だとか命乞いだとか、おおよそ理性に属するものはすべてかき消された。
犯されている。それだけがはっきりとわかる。初めて味わう暴力のような快楽が酸欠の脳みそを蕩かしていく。響く水音は接吻の音なのか私の心が融解してこぼれ落ちる音なのか、わからない。
「はっ…はぁっ…はーっ…はーっ…」
「いい顔だ。はっ、ははっ…可愛い…愛おしい…これからまだまだお前を乱してやれるなんて…っ…たまらないなあ…!」
「っ…やっ…やあ…」
勇者が不穏なことを言っている。私には弱々しくかぶりを振ることしかできなかった。
「やめない♡」
耳の中で水音が響く。耳の裏、首筋、耳の中、耳朶、その全てを丹念に汚される。犯される。直に音が響いてくるこの凌辱は、口の中にされたときと違い、脳髄を直に犯されると錯覚してしまう。
「ぁぁああぁっ…は、離せっ…!や、やめろっ…あぁああぁぁぁぁっ…あた、あたまのなか、おかされっ…!」
「まだまだ足りねえなあ…全部、しっかり汚し尽くして…」
「はぁぁうっ…!」
言葉と吐息が熱く濡れそぼった耳にかかり、意志に反して体がビクつく。
「俺のことしか考えられなくしてやる」
「んっ!んんんん〜〜〜〜〜っ!!」
大きな手のひらで口を塞がれ、耳をさらに引き寄せられて蹂躙が再開される。同時に片手で胸の頂を撫で回されて、腰がガクガクと痙攣した。
「ん〜?気持ちいいいってか?あはっ、俺もだよ。こんなにじっくり触れ合って、可愛がってやれるなんて…っ…たまんねえ…」
「むぐっ…んんんっ!!〜〜〜っ!!!」
口をふさがれて言葉が出ないというだけで、こんなにも無力感が増すものなのか。言葉での抵抗はおろか、嬌声も悲鳴もあげられない。叫び声を上げることもまた快楽を逃がす手段だったのだと今更知った。
「んぐっ…んっ…んん…」
「はははははははっ、泣きそうな顔。こいつは反対側もしっかり可愛がってやらねえと…あはっ…じっくりヤろうな…?」
勇者の唇が耳を離れる頃には、私の顔を濡らしているのが汗なのか涙なのか、判別がつかないほど蕩かされていた。
「はぅっ…ぁっ…はぁっ…」
開放された口から絶え絶えの呼吸を整える。どんな微風も耳をかすめるだけでもう腰が言うことを聞かなくなってしまう。こんな状態の私を、勇者はなおも「楽しむ」つもりだ。今すぐにでも膝を抱えて丸まって、隣に添う捕食者から体を守りたいのに、無様に両腕を上げさせられた格好では次の責めを従順に待つことしかできない。脇腹を撫でる男の手のひらがいっそ剣だったら、死ぬだけで終わりだったのに。
「お前らも人間と同じ責め方でイきまくるってのはよく知ってるよ」
「っさ…最、低…」
「そう言うなよ、お前が気持ちよくなれるように、練習してきたんだから」
「ヒッ…最低っ…!最低…!お、女の敵…!」
「その「最低な女の敵」に良いようにされてよがってるのが今のお前だよ」
「ひぅぅっ!ぁあぁあぁぁんっ♡」
首筋に舌を這わされながら胸を嬲るように責められ、一気に仰け反って果ててしまう。こんな、同族の女たちを練習台にしてきたような最低男を相手に。
「ほら、イッた」
「ぐぅっ…っは、はぁっ…はぁっ…さ、刺されてしまえっ…!い、市場で女に刺されてっ…衆目に晒されながら無様に腑分けされるが良い!」
「ああ?お前になら構わねえ。お前になら刺殺されて腑分けされて良い」
のぼせた顔をした勇者が前髪をかきあげて、獰猛な声で私の罵倒を受け入れる。何を言っているのかとあっけに取られる私を、彼はそのまま強く抱きしめ直した。
「俺が守らなくてもお前がただの女としてその後幸せに生きていけるなら、俺がお前の殺す最後の人間になってやる」
「な、なんでっ…」
貪るように勇者は再び私に口づけてから続ける。
「好きな女の最後の男になるために命かけてきたんだ。英雄、ナメんな」
怒りさえ籠もった真剣な声に、口づけで息の上がった私はなにも返せなかった。わからない。頭も回らない。何年も敵として動向を見続けた男が何を考えているのか、私には何一つ理解ができない。
降参するように両手を無様に上げて、呼吸を整えるだけの私は、再び眼の前の男のおもちゃにされる。下着はとうに引き剥がされ、今は舌で口内を侵されながら指で下肢を解されている。水音が口から聞こえるものなのか、下から聞こえるものなのかわからない。もう、はやく満足して開放してほしかった。
「ナカだと…ここを押されるのがイイみたいだな?ん?」
「ひぅっ…イ、イった。イキまひた。ソ、ソコおおひゅのやめ、やめてくらしゃ…あんっ♡」
「息も絶え絶えで、震えた声で、そんなにそそること言われてやめてもらえるわけ、ねぇっ…だろ…♡」
「〜〜〜〜〜!!!!」
「まだまだ終わんねえよ。中イキの感覚を体で覚えさせてやる。俺が入ったときイキまくれるように、なっ!」
「お゙っ…奥っ‥♡もお許ひてえっ♡」
「うん?ああ、もう一回イッたら指で責めるのはやめてやろうか」
「やらぁぁっ…もおずっとイッて…あぁぁあぁぁぁあぁっ♡」
「外から子宮をぎゅ〜っと押さえられるのも、たまんねえだろ。甘イキし続けてるところに強引にイイの貰って…ガクガクビクビクすげーイき様♡」
「っ…ぁっ…♡は、あっ…はぁっ…はぁっ…」
「やっとだ、やっと食べごろ♡」
「ぁ…や、やだ…ごめんなさい、ゆるして。許してくらしゃい…い、今それ挿入ったら壊れひゃ…あぐっ…!」
「あっ♡ っ、あぁ…やっと…お前と一つに…」
「っ…〜〜〜〜っ!」
「グチャグチャになるまで慣らして…ぁ、ははっ…トロトロだ♡あっ…♡はぁっ♡やべえ、止まらねえ♡あっ…たまん、ないっ♡」
「はにゃしてぇっ♡やらやらやらぁ♡またイクッ♡イッちゃ…ぁああぁっぁあっぁぁあぁああっ♡もおずっとイッてりゅぅ♡イッてまひゅぅぅうぅ♡」
「腰っ…引いてんじゃねぇっ…よ♡」
「ぁぐっ!ぅぁああぁっ♡あうっ♡やっ♡んっ♡」
「はぁっ…はぁっ…逃さねえ…っ…!全部、俺のっ♡ぁっ…ぐっ♡…はぁっ♡はぁっ♡♡すごいっ…♡腰、止まんないっ♡もっと♡もっとほしい…っ♡」
「ごめ、なしゃっ…やっ♡あっ♡ゆるひっ♡やらやらやらもぉはげしいのらめぇ♡らめらのぉっ♡おっ、奥っ♡壊れひゃあぁぁあぁぁぁぁっ♡」
「はっ…んっ♡まだまだ♡もっともっと♡お前に注いで、っ♡」
「あっ♡あ…っ♡」
「返事ももう無理か?ん?ほら、ここを揺さぶって…♡」
「っ〜〜〜〜〜!♡」
「ははははっ、意識無いままイッた♡かーわいっ♡俺が満足するまで…たっぷり出しておくな?」
私はそのまま気絶してしまったらしく、疲れ切った身体で目を覚ました時に勇者はもういなかった。代わりに真新しいドロワーズとシュミーズを纏わされ、牢の寝台に似合ぬ上質な毛布をかけられている。両手首にそれぞれ嵌った手枷を繋げる鉄輪が真っ二つに割られていたが、これはあの男がシュミーズを着せるときに面倒くさがって斬ったのだろう。私から魔力封じが外されることはあり得ない。
「…けほっ」
喉が枯れている。あれほど喘がされたのだ。当然だろう。受けた仕打ちが脳内を駆け巡る。誰にも助けてもらえない。自力で脱出することはできない。そんな絶望の中、私は勇者の凌辱を受け続けた。あの恐怖と無力感と、理性をかき消すほどの快楽がごちゃまぜになって、感情がおかしくなる。
「ころして、よお…」
気絶から一旦目覚めただけの身体はまだまだ休みたがっている。毛布に強くくるまり、涙で端を濡らしながら再び私は眠りについた。
地下牢に時間感覚はない。だから次の日が来たことを知らせたのは、勇者の鉄靴の音だった。
「おはようさん、よく眠れた…わけねえよな」
「ヒッ…」
「しおらしくなってまあ…おい、心配はいらない。今のこいつはもう無力なお姫様だ」
勇者の合図で何人もの足音が入ってきた。何をされるのだろう。昨日のように、今度は何人もの雑兵に辱められるのだろうか。つい毛布を強く引き寄せて丸まってしまう。
「さて、下着姿は見せたくねえし…」
他の者達に先んじて牢に入ってきた勇者は手に大きめの布を持っている。縮こまっていると、彼の両手が私の肩をそっと包んだ。
「ベッドから降りて、コイツ羽織ってくれ。他の奴らにお前の下着は晒したくない。俺が影になってるから、ほら」
どうやらフードのついたローブらしい。当たり前のように私を見下ろす勇者は逆光に加え、マントがかかっていることで一層威圧感があった。昨日の今日で勇者に逆らう意志はとうに砕けている。大人しくローブを纏うと、彼は私の肩を抱き寄せて牢の外で待つ兵たちの前へ歩み出た。
「大人しいものだろう。もう魔王でも何でもないが、育ちの良いご令嬢だ。ふさわしい扱いをする。いいな」
兵士たちはフードを被ってうつむく私を見てなにやらざわついている。魔王、の偶像から大きくかけ離れたものが目の前にあるからだろう。当然だ。彼らは知らないのだろうが、彼らを率いる勇者は女の心を折るすべをよく知っている。
「わかったら移動だ。不埒者がコイツに傷一つつけてみろ、うちの姫さんの信用が地に落ちる」
凌辱したお前はどうなんだ。強い嫌悪感が走り、思わず勇者を睨みつけそうになったが、私の肩を掴む腕に力が籠もったのを感じ、再びうつむいた。あれだけわからされたじゃないか、私はこの男相手には何の権利も尊厳もない木端なのだと。
黙って移送された先は、外側からしか施錠ができない以外はまともな貴人の部屋だった。王族ほど豪奢でなくとも、捕虜や平民を眠らせるような部屋では決してない。私が部屋に入ったのを確認してから、兵士たちは持ち場に戻らされ、私は勇者と二人きりになった。勇者は人の目がなくなるだけで一気に表情が粗暴なものになる。
「もういいだろ、脱げ。そのローブ」
ぶっきらぼうに顎で指図してくる彼は、もう昨日の牢に入ってきたときの勇者だった。怖くてすくんでしまうが、彼は私に遠慮というものをもたない。
「いいから脱げよ」
「ゆるして…」
魔王だとか立場だとか、そんなものはもうわからない。私はただの一人の女として、純粋に彼に恐怖していることを認める他ない。
「こわい、こわいです。ごめんなさい、わたしに怖いこと、しないで」
「っ…」
「たすけて…たすけて、お父様」
「うるさい。お前の父親はもういない。俺だ、俺がお前を守る。お前を愛して良いのはもう俺だけだ」
「やだっ…!こないで、こないで!」
「もうどこにも逃げ場なんてないんだよ!もう俺のものだろうが!俺のものになるしかないんだよ!」
もう魔王だった姫君は言葉を発さなかった。勇者の腕の中で、縮こまってすすり泣く声だけがかすかに空気を震わせている。
「お前、俺に犯された後も、泣いたんだな」
彼女の身体を包み込むように抱きしめる勇者の手もまた、震えていた。
「でもどんなに泣かれたって、お前を手放すことだけは御免なんだよ」
掠れた声で勇者はつぶやく。そこに宿る感情を魔王だった姫は推し量れない。
「っこ、こんなことをして、何のつもりなの」
勇者は黙って姫の、いや、魔王でも姫でもない少女のフードを背中側におろした。
「お前を、愛したい」
少女の目に涙が溜まり、カッと頬が熱くなる。怯えていた瞳は怒りに潤み、手足は強張った。
「人の男は愛する者へあんな所業に及ぶのか!」
勇者は黙って彼女の目を見返した。
「一度嬲りものにしたと思ったら、こんな部屋を用意してッ…これが人のやり方か!」
「お前が!」
勇者の顔に、あの日地下牢で魔王に向いた苛立ちが宿る。
「お前が俺に、助けを請わなかった」
「何を言っている?」
「お前が俺に命乞いをしなかったから。お前を地下牢に置き続けても無意味だとわかった」
「そなた、私に無様に命乞いさせるためだけに愛だの何だのと…」
「違う!」
勇者の両手が少女の両肩を包む。それは地下牢で彼女を黙らせたときと同じ格好になったが、その手と声から滲むのは懇願するような必死さだった。
「愛する人に、生きたいと言わせたかった。お前が、お前が「魔王」という立場を貫くから…ただの、ただの女にしてやりたかった」
男の腕に、少女を閉じ込めるような力は込められない。拒まれることを勇者は受け入れていた。
「この…外道」
少女はただ身を固くするのみだった。言葉や心でどれほど相手を拒絶しようとも、刻まれた恐怖は内側から彼女を抑え込む。勇者はそれに気づき、自嘲する。
「いいよ、まずは身体から俺のものにしてやるから」
少女の髪を慈しむように撫でてから、彼はそっと身体を離した。
「けど今日は何もしない。ただ着替えさせるだけだ。いいな?」
「…侍女の真似事か?」
「他の奴らにお前の身体を晒さないためなら、それでいい」
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