まろと僕
@gingingin
第1話
いざ本当に仕事に行かないとなると、心穏やかに過ごすとは真逆で、焦りの気持ちに襲われますます病んでいっている。あれだけいつも仕事休みたいって思っていたはずなのに。
─これからどうやって生きていくんだろう。
そのことばかり考えてしまい、どんどん気が滅入ってしまう。でも、だからといって動き出せる訳でもなく、何もしていない自分がますます嫌になってしまう。そんな気持ちを相談できる人間なんて僕の周りにはいない。
で、とりあえず……パチンコ屋へスロット打ちに行って気晴らしをする毎日。改めて最低だなって自分でもわかっている。けど、一時的な現実逃避と刺激を味わうことはできる。とても高いお金を毎日払ってはいるけれど。
正社員でもないんだし、別に今の仕事なんていつ辞めても良いって思っていた。コールセンターの仕事なんて山ほどあるし。てか、次は絶対コールセンターなんかで働かないし。顔が見えないからって好き勝手言ってきやがって。こっちはお前の名前も住所も知ってるんだぞ!っていろいろ問題になるから止めておこう。
いくら強がってみても、そんな対応の積み重ねで心を病んでしまったのは自分の方だった。その結果、仕事へ行くのが怖くなってしまった。吐気や呼吸困難にも襲われた。そして、診断書を会社へ提出して長期休務となって約一ヶ月になる。
「ずる休みしてるんじゃないんだよ」
そうパチンコ屋の騒音の中で小声で叫んで、なんとか平静を保っている。だいぶやばいって自分でもわかっている。そもそも貯金はほとんどなくて、傷病手当金でスロット打ってる時点でもう……。両親も既に亡くなった四十前の人間がやることではない自覚は十分ある。
でも、転職のことを考えても、復職のことを考えても、とにかく自分にはどちらも出来る気が今はしない。ただ現実から逃げていたい、それだけの日々。
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