負け主人公の俺が真の青春を謳歌する
えもやん
プロローグ
僕には好きな人がいた。
その子は昔からの付き合いでいわゆる幼馴染と言うやつだ。
とは言え、最初から好きだった訳では無い。
中学に入ってからだっただろうか。
その子の体は如何にも女性らしくなっており、急に多くの男子がその子に告白するようになった。
そんな中、気づけば俺もその子を好きになっていた。
だが、それと同時に俺も男だからか、それとも好きバレしたのか、彼女と自然と距離が空くようになっていた。
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「好きです。付き合ってください」
だからと言って、この胸に抱えた思いを残したままにできる訳もなくわけもなく、中学校の卒業式の前日、桜の花びらが微妙に舞う中、1人の少年が自分の思いを伝えるために、勇気を振り絞ってその言葉を口にした。
そんな中、1人の少女は目を丸くして少年を見つめ、なんと答えたらいいか逡巡している。
そんな彼女の名前は秋月明日香(アキヅキ アスカ)。
彼と彼女は幼稚園からの仲で、いわゆる幼馴染というやつである。
彼女は誰に対しても優しく、頭もいい、少し口は悪いが、俗に言う容姿端麗、高嶺の花というやつだ。
そんな彼女に少年は中学当初の頃から、心を奪われていた。
少年はそれから、約3年の間、アプローチをし続け、そして今に至る。
2人の間に沈黙が流れる。少年は不安と期待を胸に明日香を見ると、明日香が口を開く。
「はぁっ!? 誰があんた見たいな気持ち悪いやつと付き合うか!」
そう、普段は優しい彼女だが、異性から告白されると、急に冷たくなることで有名だった。
「えっ!? ごめん、今なんて言った?」
さすがの少年も長い付き合いである彼女に冷たく対応されるとは思っていなかったのだろう。
反射的に聞き返してしまう。
「だから、あんた見たいなキモイやつとは付き合わないって言ったの」
予想外の言葉に一瞬、少年の思考が止まった。
その一瞬で走馬灯のように今まで、明日香と過ごしてきた思い出が脳裏に流れた。
すると明日香が追い討ちをかけるように、
「て言うか、あんた見たいなキモイやつが私と付き合うとかどの口が言ってんのよ」
少年の中の何が砕ける音がした
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