おまけ(オリヴィア)

本話はオリヴィア目線で話を進めます。少し短いですので手軽に読んでください。


◆◇◆◇◆

(オリヴィア視点)


私は物心付いた時から1人だった。

別に愛情がなかった訳ではない。

遊んでくれるお父さん、面倒を見てくれるお母さん。2人からの愛情で溺れてしまいそうだった。

なのに…なんで。こんなに寂しんだろ?


私の隣に居るべき人がいない様な……儚さが寂しさが消えない。


【はやく、会いたい】


私が4歳になり、1人で遊んでる時に友達が欲しいと思った。

これは私の心の奥にある謎の寂しさと言うモヤを晴らす為にであった。


お母さんに友達を作りたいと言うと広場に連れて行ってもらった。

そこには私と同じ年ぐらいの子達が沢山いた。

すぐに数人に友達が出来た。


友達と遊ぶのは楽しかったし気持ちも満たされた。

でも……それでも…どの友達も私の空しさを埋める事はできなかった。


私の隣で純粋無垢な笑顔を向けてくれる子がいる気がする。

その気持ちを頼りに隣を振り向くもそこにあるのは空白だった。


【いつになったら会えるんだろう?】


そして私が5歳の時、友達に弟が出来た。その話を聞いていると私の心の奥にある謎の空しさが大きくなるのを感じた。


この時に私は“妹”が欲しいと思う様になった。

弟ではなくなぜか妹を欲しいと思った。

これは弟が嫌だとかそんな気持ちではなく、何故か私には弟ではなく妹が来る気がしていた。


私はお母さんとお父さんに赤ちゃんってどうやって出来るのか聞いた。


その時の両親の説明に困った顔で笑っていた事を今でも忘れない。

今だから分かるあの時は申し訳ない事をしたと。


【いつまで待てばいいんだろう。】


そのまま妹が欲しい願望を持った状態で1年ちょっと過ぎた。


あの日は雨で友達と遊ぶ事が出来ないでいた。

そんな私を見かねたお母さんとお父さんは私と家の中で遊んでくれた。


お父さんは店を締めてまで私と遊んでくれた。幸せな気持ちが私の心を満たした…それでもやっぱり、心の奥にある謎の空しさは消える事はなかったら。


そんな時、私と遊ぶお母さんとお父さんが急に真剣な表情になって私に話かけて来た。


今思えばこの話をする為にお父さんは店を閉めて私と遊んでくれたんだと思う


「オリヴィア…いや、にはお母さん達から話があるの。」

「う〜ん。なに?」

「……ぬいぐるみをお手から離してお母さん達のお話し聞いてくれない?」

「もぅ、分かったよ。なに?」

「なに?」

「…

「もぅ、だからなによ?さっきからお姉ちゃん。お姉ちゃんってまるで私がお姉ちゃんになった見たいな言い方して。」

「…」

「………え?お姉ちゃん?」

「うん、オリヴィアはお姉ちゃんになるのよ!」


【私がお姉ちゃんになる】と知った瞬間に私の心の奥にある謎の存在がスゥ〜と消えて行くのが分かった。


「お母さん!妹はいつ生まれるの?」

「妹って…まだ性別は分からないよ弟かもしれない」

「ううん。分かるのこの子は女の子。私の妹だよ。」


この予言はピタリと当たった。

お母さん達は当時の事を怖い程的中させて子供って本当に不思議な力を持っていると言っていた。


【もうすぐで、会えるね。】


それからは早かった。

毎日お母さんのお腹に耳を当てて音を聞いたり、話しかけたりしていたら。

1日、3日、一週間、一カ月…と時が経つに連れドンドンとお腹が大きくなる、それが私は凄く嬉しかったのを今でも覚えている。


そして、大きくなるたびに、私もお腹に話し掛ける頻度が増えた。

お腹を触って初めて蹴られた時は返事をして貰った様な気がして舞い上がった。


そして私が7歳になって二ヶ月が過ぎた時の事。


ついにその時がやってきた。

初めて妹を見た時の感激は今も忘れない。


その日は部屋の外で助産師の人と一緒に生まれるのを待っていた。

陣痛が始まって

1時間、3時間、5時間と過ぎて私も眠たくなってウトウトし初めた頃。

部屋の中から大きな産声が聞こえた。


私の意識が再覚醒すると部屋の中からもう1人の助産師の人が出てきて部屋の中に入った。


中にはベットに寝たお母さんと隣の椅子に腰掛けるお父さんがいた。

私はお父さんとお母さんのベットの隣に歩むとまだ小さく少し生えた淡いピンクの髪の毛の赤ちゃんがお母さんの胸の中にいた。


「お母さん…私も抱っこしたい。」

「あはは、そう言うと思っていたわ。」


お母さんが笑いながら言うとゆっくりと私の方に生まれたばかりの赤ちゃんを私に託す。


柔らかく。暖かく、少し力を入れてしまえば壊れてしまいそうな儚さがあり、緊張感が抜ける事なく大切に抱き抱える。


【ようやく、会えた。】


「その子の名前はって言うの……今後はお姉ちゃんとしてユウリのことを頼んでいいかしら?」

「うん。任せて。私はユウリのお姉ちゃんとして頑張る……よろしくね。ユウリ!」


私の言葉に返事する様にユウリが笑った。

その笑顔を見た瞬間に私は気づいた。

私の心にあった謎のモヤの様な正体を


謎のモヤの正体はユウリに会えない空しさだったのだと。

ユウリが生まれる前から私はユウリをずっと待っていたんだ。


私はユウリのお姉ちゃんになる事を心の底から望んでいたのだろう。

何かわからないスピリチュアル的な概念でユウリが私の妹になると分かっていたのかもしてない。


……え?なんでそんな事を思ったのかだって?


それはね。


「ねぇね!みてみて!」

「なぁ〜に?」

「えへへ、綺麗なお花だよ!ねぇねに似合うよ。」


この笑顔は私がずっと探し求めていた私に足りなかった空白だったから。

だから…私は…


ユウリのお姉ちゃんになれて本当に幸せだと言い切るんだ。


【何があっても、ユウリは私の妹なんだ。】
















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