第9話 後始末4
ここは、北方戦線、連邦国軍第一特別機動連隊野営地第三ブロック。エリー機兵大隊ベースキャンプ設置5日目夜。
エリー大隊は、帝国特殊部隊の襲撃を受けてから20時間ほど経過していた。
エリーは、食堂テントで遅めの夕食のパスタを一人、食べていた。(エマさんは、首都国軍中央病院に、入院する事になりましたけど、いつ頃、復帰できるかしら?)
エリーのテーブルへ、油で薄汚れた白い整備繋ぎ服の男が近いて来る。ボビー技術大尉である。
「嬢ちゃん! こっちに顔出せやな! 愛機レンベルをほったらかしか?」
そう言って、エリーの反対側の席に座った。
「いいえ、違いますよ! 色々やる事があって遅れただけです!」
エリーはボビーの顔見て疲れた表情をする。ボビーはエリーを見てちょっと真剣な顔つきになる。
「わかってるって、冗談だって!」
「ボビーさん、お疲れ様でした! ずっと作業してたのでしょう、顔に疲れが見えます、休んだ方が良いですよ」
エリーはボビーに労いの言葉を掛けた。
「ありがとうよ! お互い様だ嬢ちゃんだって疲れてるだろ!」
エリーが笑みを浮かべ、ボビーを見る。
「ボビーさん、優しいね、お父さんみたいだよ」
「お父さんはないだろう! 俺そんな歳か?」
「私のお父様は、39才だよ! 超イケメンだけどね」
「へ・・・・・・ 、俺とそんなにかわんねな、まあ、娘みたいなもんか俺は結構イケてると思うが!」
エリーはボビーを見てちょっと嫌な顔をする。「アナさんから聞きましたよ、セレーナ大尉、セレーナ大尉て騒いでいたって」
「あゝそれか、事実だからしょうがない、セレーナ大尉がいなかったら、間違いなく俺はここに居ない」
「あの後、確認をとったんだ。国軍にはセレーナ大尉らしき人物がいなて事だ。俺の予想だと連邦国、暗部の特能者じゃないかと思うだがな」
「とにかく、強さが異常だった、ライフル銃が通用しないなんて、敵兵に同情したくなるレベルだったぜ。一方的に敵兵が一蹴されて行く、ほんと、味方で良かったと思うぜ!」
ボビーは更に言葉を続ける。
「それに、セレーナ大尉は凄くいい女だった、ゾッとするほど冷たい表情をしていたがな、そして驚く事は俺の名前を知っていたことだろうな!」
エリーは夕食の濃厚ソースのパスタを口に運びながらボビーの話を聞いている。
「セレーナさんて凄かったんだね」
エリーがそっけなく答える。
(セレーナの時の記憶が曖昧でハッキリ憶えていないのよね、ボビーさんの名前呼んだんだ?)
エリーは、コップを持って水をコックコックと飲み干す。
「私と比べて、どうでした?」エリーがボビーの瞳を見つめて質問した。
「え・・・・・・? 何を?」
ボビーが驚いた様な表情をしてエリーに聞き返した。
「だからですね! セレーナ大尉と私を比べてですよ!」エリーが少し機嫌悪そうにボビーを見る。ボビーはうんて顔をする。
「嬢ちゃんは嬢ちゃんだろ! セレーナ大尉わセレーナ大尉! 比べてどうする?」
エリーは変な顔になる。(同一人物なのに? そんなに違うのか!)
「まあ、どうでもいいけど! ボビーさんもひと段落着いたのなら、適当に休んで下さいね」そう言うと、エリーは食器トレーを持って椅子から立ち上がった。
「嬢ちゃん、今からどうするんだい?」
ボビーがエリー見上げて寂しそうな顔をする。
「ボビーさん、わかりました! 整備ブロックへ一緒に行きましょう!」
エリーは若干嫌そうな顔をして言った。
ボビーが嬉しそうな顔をして立ち上がる。「じゃあ行こうか!」
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