全部、彼女のせいだ

天川裕司

全部、彼女のせいだ

タイトル:全部、彼女のせいだ



▼登場人物

●裏藻手 志那雄(うらもて しなお):;男性。35歳。独身サラリーマン。

●弓川優香里(ゆみかわ ゆかり):女性。32歳。志那雄のフィアンセ。

●小田穂乃果(おだ ほのか):女性。33歳。提携先で働いている。かなりの美人。

●警察:一般的なイメージでOKです。


▼場所設定

●某会社:志那雄が働いている。一般的なIT企業のイメージで。

●優香里の引っ越し先:都内にあるセキュリティのしっかりしたマンション。

●街中:ランチ先や公園横の道などこちらも一般的なイメージでOKです。


NAは裏藻手 志那雄でよろしくお願い致します。



イントロ〜


あなたは今誰かと付き合ってますか?

その相手との関係は良好でしょうか?

もしかして、恨まれるような事はしてませんか?

どれだけ親しい関係でも相手の心は見えません。

信頼がそこから崩れることもあります。

今回は、あるカップルに起きた見えない悲劇。

いや、その結末まで気づけなかった悲劇についてのエピソード。



メインシナリオ〜


俺は裏藻手 志那雄(うらもて しなお)。

今年35歳になる独身サラリーマンで、今都内のIT企業で働いている。


俺には彼女が居て、名前は優香里。

俺達の関係は良好で、そのうち結婚しようなんて約束もしていた。


でもそんな俺のもとに、ある日、転機が訪れた。


ト書き〈会社〉


提携先での仕事に行った時、そこに超絶美人が居たのだ。

彼女の名前は穂乃果さんと言い、歳は俺より3つほど若かったが独身で、

ここしばらく彼氏も居なかったと言う。


俺は久々に心を騒がされた。

確かに優香里は優しくて、気立ても良くて、誠実で、

俺には勿体ないぐらい申し分のない彼女。


でもその器量から言えば穂乃果さんのほうが数段上で、

何より俺のもろタイプの人だったのだ。


ト書き〈トラブル?〉


そんな心の中のトラブルはやがて表面にも現れるもの。

どんなに隠していてもそれは優香里にとってすぐ気づけものだったらしく…


優香里「ねぇちょっと、あなた最近、何か私に隠してることない?」


なんて疑問から始まり…


優香里「もしかして浮気してるんじゃないでしょうね?」


なんて確信めいた疑惑になり変わった。


支那雄「そんな事ある筈ないだろ。なんだよ、俺を信じられないのかよ!?」


あんまりしつこく疑ってくるので俺もつい声を荒らげてしまい、

たびたび喧嘩するようにもなってしまった。


本当はこんな事したくないのに仕方がない。

彼女のほうがそうして疑ってくるんだから。


始めはそんな気持ちでいたのだが、

彼女の疑い方があまりにひどかったので

俺はだんだん彼女の事がウザくなり始めていた。


こんな調子で結婚しても、果たして上手くやっていけるだろうか?

そんな疑問もある事ながら、少し心の中で

彼女のことを邪魔に思い始めていたのだ。


ト書き〈後悔〉


でもそれから少しして、俺は自分のことを悔い改めるようになっていた。

それだけ嫉妬してくれること、疑いをもって責めてくると言う事は、

それだけ彼女が俺のことを大事に思い、愛してくれていると言うこと。


それに気づくように思い直し、俺はまた優香里のことをまっすぐ見つめるようになった。

これは良いことだったと思う。


ト書き〈第2のトラブル〉


でもそうしている時、第2のトラブルがやってきた。


(会社)


穂乃果「あ、確か裏藻手さん、でしたよね?」


支那雄「あ、はい…」


穂乃果「もしよかったら一緒にランチでも行きませんか?おごりますよ?」


いつものように会社で働いていた時、その休憩時間。

いつしか我が社やってきていたあの穂乃果さんから

俺はそう言ってランチに誘われたのだ。


本当にびっくりした。

まさか彼女のほうから誘ってくるなんて!


男と言うのはこういう時、やっぱり少し心が揺れるもの。

まぁこれは女も同じだろうが、ついそっちに心がなびき

ランチぐらい良いだろう…

ディナーぐらい良いだろう…

街中を一緒に歩くにしたって心の中でそれをデートと思わなければ良いだろう…

そんな形に正当化してその「気になる人」ととにかく一緒に居たい、

少しでも時間を共有してみたい…そんなふうに思わされるもの。


俺もついその時その気にさせられてしまい、

彼女に誘われるままその日、一緒にランチへ行った。


でもそれで終わらなかった。

女がこうして誘ってくる時と言うのは、

必ずその裏に本心が隠されているもの。


その本心とは俺のことが好きと言うその正直で、

その気持ちがたとえ一瞬で冷めるものだったにせよ、

ひとつの大きなトラブルを招く結果を生ませる。

簡単に言えば浮気である。


ランチの後、またディナーへも行き、そのあと更にお酒も飲んで、

「今日帰りたくない、一緒に居て…」

なんて言葉で彼女は俺をホテルに誘ってきたのだ。


そんな大胆な人だったとは思わなかったので俺も少し躊躇して、

しばらく返事に困る。


でも訳が分からなくなるようなその気持ちの中で、

俺は優香里のことを思い出し、その気持ちを大切にした。


ト書き〈第3のトラブル〉


そしてその後、やっぱり第3のトラブルがやってきた。


優香里「これなに!?やっぱりあなた誰かと会ってたんじゃ…?女の人!?」


支那雄「え?!それ、どっから…!?」


ある日、俺の仕事が早く終わっていつものように、

優香里が働く会社に迎えに行った時のことだった。


スーツのままで車に乗り込み迎えに行った時、

そのスーツの胸ポケットの中からハンカチが出てきた。

それは俺の物じゃなく、あの穂乃果さんの物。


少し思い出した。

久しぶりに飲み慣れない酒を飲んだ後、俺は公園横の道で吐いていた。

その時ハンカチをそっと差し出してくれた穂乃果さんは、

俺を介抱しながら近くにあったホテルに誘ってきたのだ。

確か休憩の為に、と。

俺の酔い方があまりにひどかったからかもしれない。


でもそんなことでホテルに誘うと言うのは彼女の下心もあったとは思うが、

今はそんなことを言ってる場合でもない。


支那雄「いや違う!それは…」


この慌てふためきが余計に彼女を怒らせた。


優香里「信じてたのに…」


ト書き〈引っ越しから事件〉


それから優香里はマンションを引っ越した。

でも関係は切らなかった。

俺がその内また改心して、自分の元に戻ってくると信じてくれていたからだろう。


でもその直後、事件が起きた。


警察「大人しくしろ!」


支那雄「違う!俺はやってない!」


優香里がマンションの自宅で死んでいた。

その遺体の横に俺の毛髪が残されていた。


俺は様々なトラブルの末、また喧嘩の末に

確かに優香里のことを邪魔に思っていた。

怨恨と我欲による犯罪。

警察はそう見て俺を捕まえていた。


でも俺には決定的な証拠がある。

優香里の引っ越したばかりのマンションの部屋には

優香里以外、誰も入った痕跡は無い。これは警察の調べで判った事。

そして後日、事件当時の俺のアリバイが立証された。



解説〜


ストーリーから優香里が引っ越した先のマンションの部屋には優香里以外、誰も入って居ない。

そこに支那雄の毛髪が置かれていた事から犯人は…?

支那雄のアリバイが立証された事が極めつけ。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=szLAG2mh6Kg&t=103s

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全部、彼女のせいだ 天川裕司 @tenkawayuji

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