ワケありの恋奈（れんな）

第1話

「どうも、三海恋奈です。三つの海と書きます。

世界一の罪人です。どうぞ皆さんの手で

罰をお与えください。甘んじてお受けします」

転校挨拶はざわついた。

女の子たちは男受けする挨拶ね、と冷ややかな

視線を送り、男どもはなんて神秘的で

美しい女性だと目はハートマークで

のぼせあがるし、大変な朝の始まりだったの。

わたしは岬高校一年、桜岡美人（みひと）。

びじんじゃなくてみひとと呼ぶのよ。

覚えてね。

「どうぞ、恋奈さん、ここあいてます」

と、恋奈に席をゆずった真正のバカが

わたしのボーイフレンド葉矢島慧（さとし）。

まっ、ときたま許容範囲を超えるけどね。

「ありがとう。わたしには誰にもわからない

秘密があるのよ。あててみて」

恋奈がまた寝ぼけたことをぬかしやがった。

わたしは鉛筆を三本重ねて叩き折ってやったわ。