ぐでんぐでん

 夫が飲んで帰宅してきた。

 出来上がった親父だが騒ぐわけでも無し、リビングで背広のままにビールを開けて飲んでいる。いつもは発泡酒で休日に楽しむビールだが、平日にとは珍しい。


「平日にビールなんて珍しいわね」


「弔い酒だよ」


 そう言って泣きながら飲んでいるので、しばらく近くで座って夫を見ていた。


 後日、夫婦揃って葬儀に参列した。


 夫の高校からの悪友が逝ってしまったのだ。


 結婚式の前日に2人して飲みまくって、ぐでんぐでんになったのを迎えに行った思い出が蘇った。


「コイツをお願いしますね、奥さん」


 そう言って笑っていた笑顔が思い出される。


「任せろ、夫は私が連れて行く」


 そう言って2人並んで焼香を済ませた。

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