3-5.決戦準備

基本的に魔王への攻撃手段はセーナが頼りだ。



私も魔法少女装備が揃ったことで

魔王に対する切り札はあるが、これは最後の手段だ。


一撃で倒せる可能性は十分あるが、

連発できるようなものではないし、確実に当てるには条件も厳しい。




セーナの火力をあげるために、私の魔力増幅の指輪をセーナに渡す事にした。

ただ、それだけでは私の魔力が足りなくなりかねないので、

セーナから魔力回復の指輪を返してもらうことにした。


今まで断固として返してくれなかったのに、

この提案をしたら上機嫌で指輪を返してくれた。


何を企んでいるんだろう?

魔力増幅の指輪がそんなに欲しかったのかな?

セーナは脳筋なところがあるから、

一発の火力を上げられるこれが羨ましかったのかもしれない。


「ふふふ、指輪交換~」



ついには鼻歌まで歌いだして有頂天だ。



ともかく、慣れ親しんだ装備を変えたこともあり、

その後もより一層訓練に励んだ。








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そして、遂にセーナの誕生日であり、

魔王復活の日でもある運命の日が訪れた。



私とセーナ、レオン王子達攻略組で魔王の復活したダンジョンに挑む。


ゲームの様に王国軍が無駄死にすることは無かった。

まあ、勝てないと分かってるのに派遣したりしないよね。


騎士団は王都に残り防衛する。

魔王復活により各地の魔物も活性化するので、

これはこれで重要な役目だ。


あの騎士団長達なら問題ないだろう。





魔王のダンジョンはこれまで挑んだどのダンジョンよりも厳しかった。

幸い広さはそうでもないので、十分な余力を残すことはできるだろう。



王子達も今まで長い時間をかけて訓練を繰り返して来たこともあり、

魔王ダンジョンの魔物達とも十分渡り合えている。




基本的には王子達近接組を先頭に、

後衛に砲撃役のセーナ、遊撃役の私と続く。



セーナの光魔法は魔王のダンジョンの魔物には効果抜群だった。

復活したばかりなのに、早くも魔王は魔物を生み出しているらしい。

ここに出てくる魔物には魔王の特徴が色濃く現れている。



そういえば、ゲームだとよく最終決戦の前に

いくら宿屋で時間を使っても一向にラスボスは動き出さないけど、

この世界でそんな事をすれば瞬く間に強力な魔物が溢れかえるだろう。


騎士団がいくら強いとはいえ、光属性が使えない以上

こんなに効率良く戦えなかったはずだ。

いつかは力尽き、国は滅びていた。



魔王に対抗するには勇者の力が必要不可欠だ。

セーナがここまで強くなってくれたのは心強い。



本来のゲームの流れでは、とても間に合わなかっただろう。

私の転生が無ければ、幼少期にセーナと出会えなければ、

婚約破棄イベントが本来のタイミングで発生していれば。

(魔王は運が悪いな)



いくつもの幸運の上に今があるのだと実感し、

きっと魔王との戦いも大丈夫と活をいれる。


私の決心を感じ取ったのか、

隣を歩くセーナが手を握って笑いかけてくれる。


胸いっぱいに温かい気持ちが溢れ出す。


セーナの手を握り返しながらきっと大丈夫と笑いかける。




そして遂に、魔王の間に到達した。

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