2-7.学院生活

結局入学前と変わらないんだけど!




バラ色の学院生活を期待していたのに、

学院での生活は入学前と殆ど変わっていなかった。

なんなら、殆ど学院なんか行ってない!

もうクラスメイトの顔なんて忘れたわよ!




説明会はざっくりしたものだった。

君たちどうせ強いんでしょ?って感じで特に腕試しや戦闘時の注意などもなく、

討伐指示をどうやって受けるのか

報告はどの様にするのか

そんな基本的な事を説明されただけだった。


(学院内には冒険者ギルドみたいな建物があり、生徒たちはそこで討伐指示を受け、報告する。)




それからは、指示された場所に向かい、

魔物を狩り、報告し、帰宅し、日中出来なかった勉強を屋敷でさせられ、夜遅くに眠りにつく。


のローテーションの日々だった。

入学前と変わったのは、勉強と戦闘の順番が変わった事と、

倒す魔物が弱くなった事くらいだ。



入学前からダンジョンに潜っていた私達に、

ダンジョン外の野良魔物は雑魚でしか無かった。

(主に戦ってるのはセーナだけど)



とはいえ、いくらなんでもこき使いすぎだと思う。

勇者がこの国に見切りをつけて逃亡したらどうするつもりなのか。

そんな事はありえないけど、それを知っているのは私達だけだ。




毎日のように魔物を退治しているのに、いくらでも湧いてくる。

この世界の人間いつか滅びるんじゃない?




というか、ゲームでは普通に学院パートあったはずなんだけど!

そんなもの存在しないんだけど!

セーナの恋物語はどうしてくれるの!



言うべき相手もいないため、私の叫びは心の内だけに留める。

いっそ王様に直談判する?意味があるとも思えないけど・・・




セーナのレベル上げをしていた時とは違い、上から命令された作業を淡々とこなす日々に私はストレスを貯めていく。



もういっそ、セーナを連れてこの国見限ってやろうかしら

世界中旅すれば称号とか関係無く、強くなる方法くらいあるかもしれない。

そうでなければこんな世界とっくに滅びているはずだ。



とはいえ流石に、少ないながらも大切な人達がいるこの国が滅びてもいいとは思えない。

両親やレオン王子、屋敷の皆・・・あれ?もういなくない?私ってボッチ?


ま、まあ、箱入り娘だったのだからしょうがない。しょっちゅう抜け出してたけど。




我が頭脳(セーナ)よ!いい案プリーズ!


「別にいいじゃない。強くなれることに変わりないんだし。」



頼りにならない脳筋(セーナ)だった。


なんで貴方はそんなに充実した顔してるの?

まさか雑魚狩りでストレス発散を!?

痛い痛い暴力反対!ごめんなさい!






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じゃれ合いながらローテションを繰り返す内に、

あっという間に夏季休暇に入った。



私達は試験無いの?やったー!

え!?夏季休暇も無し?なんで!?



流石に憐れに思ったお父様が温情をかけてくれたので、

夏季休暇中の勉強は免除された。



さらにこの頃から遠方の討伐指示も出るようになった。

飛行魔法で時間短縮できるのを良いことに、

討伐後、帰る前にダンジョンに寄って深部を目指すようになった。


うん?結局拘束時間伸びてない?

ワーカホリック気味な相方を持つと大変ねぇ~





せっかくなら海とか行きたいな~


かき氷も作ってみようかな

セーナが水魔法で氷を出して、私の風魔法で削ればいけそう。

シロップはどうしよう?砂糖水でもかければいいのかな?


ネットが恋しい・・・

使っていた記憶は無いのに気持ちだけは残ってる不思議。




海を知らなかったセーナに海水浴について詳しく説明すると、

サボりの提案なのに珍しく乗り気になった。


今度王都に戻ったら買い物に行こう。

水着とかあるかしら?

いっそ海辺の町に行って探した方が良いのかも?


海辺の町に行くなら新鮮なお魚食べたい!



どんどん脱線していく思考。


なんだかんだと夏季休暇を楽しむリリィだった。


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