2-4.入学前
セーナのレベルが上がりづらくなってきた。
これ以上はダンジョンの深部までいかないと難しいだろう。
残念ながら数日間屋敷を離れる許可は、セーナですら取れないらしい。
まあ、魔王を倒す前に勇者になにかあったら一族郎党処刑されてもおかしくないし。
これ以上は学院入学後にすることにして、
一旦レベル上げを切り上げた。
今は、急激に上昇した能力を使いこなせるように訓練している。
自分の魔法で自滅しましたとか笑い話にもならない。
セーナの光魔法は相変わらず強力だ。
爆撃魔法って火属性じゃなかったの?
光属性版があるの?ゲームに無かったよ?
未だにセーナは攻撃魔法があまり得意ではない。
障壁や探知、回復等は直ぐに使いこなしてしまったのに、
攻撃魔法だけは力を込めすぎてしまう。
何が原因なんだろう?
細かい作業が苦手なわけでもないのに不思議だ。
なにか、心の奥底に全てを壊してしまいたい!的な感情が眠っているんだろうか。
ストレスたまってそうだもんね。主に私のせいで。ごめんて。
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王様から貰った国宝魔道具は「快癒(カイユ)の指輪」だった
やったぜ!回復じゃん!
と喜んだのだが、この魔道具とんだ欠陥品だった!
つけている限り自動で傷を癒やしてくれるのだが、
魔力消費量が半端じゃない。
しかも制御できないので勝手に吸い尽くされる!
さらに傷を負っていなくても常時発動してる!
今の私では1分もつけていられないだろう。
やっぱり魔力回復の指輪返してくれませんかセーナ様?
嫌?そうですか。
あれ、この世界に一個しか存在しないはずなんだよな・・・
レベルを上げて魔力量が増えれば、自前の魔力の回復量も増えるはずなので、
いつかは実戦使用もできるかもしれない。
というか、こんな危険物なんで王様は私にくれたのだろう?
普通の人がつければ一瞬で昏睡状態間違いなしなのに。
効果知らなければただの呪いの指輪ですよ?
名前が知られてるのだから効果も知っていたのだろうけど、
リスクは知られていなかったのだろうか。
私を謀殺してセーナを取り上げようとした?
天使として祭り上げておいてそんな事はしないか。
むしろ天使として祭り上げちゃったからこそ、搦手が必要になった?
なにかきな臭い感じもするが、
お偉い方々の企みなど私に見破れるはずもない。
その手の難しい事はセーナに任せてしまえばいいのだ!
ごめんて、怒らないで。
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昔ダンジョンで回収したガラクタ達は
殆ど私の部屋で眠ったままになっているが、
二つだけ素晴らしいお宝があった。
一つは、手のひらサイズの小箱の形をしていていわゆるアイテムボックスだった!
しかし、入口が小さいので大したものは入れられない。
しかも容量も殆ど入らない。時間停止機能もない。
絶妙ながっかり加減だった。
快癒の指輪は普段ここに入れて持ち運ぶ事にした。
もう一つは球状のバリアを張る指輪だ。
物理的には全く効果がないのだが、魔法だけを防いでくれる。
魔力を込めれば瞬時に発動し、少ない魔力でも初級魔法の一発程度なら完全に防いでくれる。
まあ、セーナに取られたけどね!
あなた自前のがあるじゃない!と思ったけど、
光魔法の障壁は魔力消費量が多い。
物理攻撃も防げることが影響しているんだろうか。
私は上空から一方的に攻撃できるし、
最悪、魔法少女の服のインチキ耐久で耐えられる。
そもそも、私の判断速度では適切に障壁を張ることが出来ない。
などと、セーナに言いくるめられてしまった。
快癒の指輪はいらない?そうですか。
ということで、結局風の繭の改良は続けている。
私には常時発動できる類のものしか使いこなせないだろう。ぐすん。
そんなこんなで、忙しい時間はあっという間に過ぎ去り、
入学の日が近づいてきた。
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