第7話 治療費用

 シェレンはやっと治療費用の話に入る。そのため、資料をエリザベスの前に広げた。

「とりあえず、内訳を説明しよう。健康診断と遺伝子検査までは、保険が効くので無料だ。遺伝子操作方法の決定と、実際の遺伝子操作に金がかかる」

 シェレンは資料を指差すとエリザベスはそこを見る。

「遺伝子操作の方法の決定には、五十万~百万ぐらいだ」

「なるほど。でも、どうして金額に幅があるんだ」

「遺伝子検査の結果によって、遺伝子操作方法の結論が複数出ることも考えられるのでな」

「なるほど~」

「そして、実際の遺伝子操作に金がかかる。遺伝子操作は、一日当たり百万かかる。そして九日間ぐらい治療にかかるので九百万だ」

「な、なんで一日百万もかかるんだよ」

「遺伝子操作をする為の施術ポットの使用量が一日百万ぐらいするんだ。装置自体がとても高価であることもあるが、装置を稼働させるのもかなり高コストなんだ」

「実際には、一時間当たりで費用を算出するから安心しろ」

「はあ」

 明らかにエリザベスは理解していない。

「人体には六十兆個の細胞が存在する。それらの細胞全部の遺伝子を書き換えるのだ。精密且つ素早い動作が必要な装置だ。どれだけ大変なものかわかるだろ?」

「な、なんとなくわかった」

 エリザベスは額から汗を流しながら答えた。シェレンは理解していないとわかったが、とりあえずツッコミは入れない。

「治療方針には、理解してもらえたかな」

 シェレンが確認の為聞く。

「ああ、とにかく頼むぜ」

「それなら、次はどうする?」

 シェレンが聞く。

「次って?」

「遺伝子検査をいつするかと言う意味だ」

「来週はダメか?」

 シェレンはこける。

「遺伝子検査から遺伝子操作までの間は時間が空けられないと言っただろう。金はいつ頃たまりそうなんだ」

 エリザベスは腕組みをする。

「そ、そうだな、地球の性転換手術で必要な五百万クレジットを貯金している。五百万エルフ円ぐらいに換金できるだろう」

 エリザベスが言った。

「ならあと四百万じゃないか。一年はまるまる我慢した方が良いな」

「一年で済めば良いが、こっちは結構物価が高いから、一年で四百万も貯金できるとは思えないんだが」

 エリザベスが言った。

「確かにどんなに倹約しても一年は無理です。一年目の年収は四百七十万なんですから、そこから税金がひかれるんですよ。手取りだけでも四百万に足りません」

 サクラが言った。

「そうですね。一年目の手取りを三百万だとして、給料の七十パーセントで生活することにして、残りを貯金したと仮定します。すると九十万貯まる。まあ、がんばっても一年目は百万貯めるのが限界でしょうね」

 エリザベスは額から汗を流す。

「二年目も同様な計算をすると百十万ぐらいか。単純計算では四年ぐらいは見た方が良いわね」

 サクラは淡々と言った。

「よ、四年も我慢しないとならないのかよ」

 エリザベスがショックを受けて言った。

「やるしかあるまい」

 シェレンは励ます。

 エリザベスは、給料の七十パーセントで生活するようにして、残りを貯金することにした。そして四年以内に資金を貯めることにする。

お金が貯まったら、再度続きをするという事でまとまった。

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