転生したら死んだ一年後だった。いつもバカにしてきた女子が俺が生きてると知ったらヤンデレ化した
匿名(tokuna)
第1話
「あ、先輩、来たんですね。」
俺が鞄を持っていつもと同じような時間に登校すると、学年が違うのにも関わらず教室の前で一人後輩が今日も相変わらず待ち伏せしていた。
「お前暇なのか?」
俺は若干呆れながら言った。こいつは岩坂明梨。毎日俺に話しかけようと教室で待ち伏せしている。元々部活で一緒だった事で知り合った仲だが、もう俺は部活を辞めたのでなんの関わりも無いはずだが、いつもこうやって会いに来る。そして彼女の容姿はショートの髪に一年後輩ということもあって身長は低めだが、それにあいまった少し幼なげな可愛らしい顔。それだけ聞いたら羨ましいものであるが、実際は———
「はあ?こんな可愛い後輩が毎日話しかけてあげてるのに、感謝もなしですか?だから先輩は彼女もいなければ友達もいないんですよ。」
言動がクソウザいのである。彼女と話す内容の9割ほどが俺への罵倒だ。教室に待ち伏せするようになってからずっとこういう会話ばかり続けていて、もはやよく飽きないなと感心できるほどだ。まあその会話につきあっている俺も俺なのだが……
「俺にも友達ぐらいいるわ。」
「へえ、誰ですか?」
俺が負けじと言い返すと岩坂はニヤリと笑って聞いてきた。意地の悪いやつだ。おおかた俺がいつもクラスで誰とも話してないのを分かってて聞いてきたのだろう。
「紗希とか……」
「へえ、友達なんだ。」
俺がかろうじていつも関わっている女子を挙げたら後ろから声がした。ふと後ろを見ると、いつも岩坂に便乗してバカにしてくるもう一人の女子で昔からの幼馴染、浅輪紗希が、整った顔に面白そうとでも言いたいような表情を浮かべてセミロングの髪を揺らしながら立っていた。
「あ、ああ紗希、いたのか。」
「私達はただの幼馴染じゃない?」
紗希が俺の顔を見ながらそんな事を言ってきた。10数年話し合っていたのに俺らは友達じゃなかったのか……そしたら距離感おかしいだろ。
「お前も岩坂に付き合わなくていいから。」
「何が?私はただ『知り合いの』修也に訂正してあげただけだから。というか修也そのキーホルダー、正直言ってクソダサいからやめたほうが良いよ。」
「…………そうかよ。」
俺は紗希に言われた鞄のファスナーに付けていたキーホルダーを見る。なんとなくオシャレそうだからと付けてみた物だが、俺には合っていなかったのだろうか。
「というか、何それ?どうせ誰も見ないんだから付けても意味ないよ。それとも誰かにそれ付けてること触れてもらえると思ったの?自意識過剰だよ。」
紗希はバカにするように半笑いのまま言った。コイツも小さい頃は普通の可愛い女の子だったんだが、どんどん成長していくと同時に俺への当たりも強くなっていき、終いにはこのようにキーホルダー一個でボロクソに言われる始末である。
「………あれ?紗希ちゃん達だ。もしかしてまた辰野君がやらかしたんですか?」
……また面倒なやつが来た。嫌な予感がしながら、教室のドアから出てきた少女を見ると、案の定俺をいつもバカにしている三人組の最後の一人、黒髪ロングの見た目だけで言えば清楚系の美少女、日岡時雨が教室から出てきた。
「聞いてください、日岡先輩。辰野先輩が今更友達作ろうと必死になってるみたいですよ。」
「へえ、辰野君が……いつも教室で携帯見ながら楽しそうに学園生活を送ってると思ったけどそれじゃ足りなかったみたいですね。まあボッチどころか、周りの人には見向きもされていないと思うほどにいつも空気のような存在ですからね。好きの反対は無関心という言葉もありますし、辰野君がこれから仲良くなれる友達はいないんじゃないですかね?」
何気にいつもコイツの攻撃力が一番強いような気もする。にしてもこの三人、マジで暇なのか?いつも俺を見つけては俺の行動一つに十の文句を返してくる。一体何がしたいのだろうか。三人とも見た目はいいので学校内のほぼ全員に人気だが、そのストレスを俺にぶつける事で発散しているのだろうか、だとしたら迷惑この上ないが。
「そういえば、修也のお母さんが言ってたけど、明日家族でキャンプに行くらしいね。」
紗希がキーホルダーの話題に飽きたのか突然話題を変えて聞いてきた。コイツは小さい頃から一緒にいるだけあって俺の親とも仲が良い。親がコイツの本性を知っていたら良かったのだが、そんなヘマは紗希がするはずもなかった。
「へえ、キャンプですか。先輩、料理も出来なさそうなのに大丈夫なんですか?」
「まあ実際、修也は料理できないからね。いつもクソまずい料理しか作れないから呆れるばかり。」
「辰野君は確かに料理どころか、テントを立てることもできなさそうな軟弱な体ですからね。いつも体育で一番最初に倒れそうになってますし。」
「よっわ。」
三人とも笑いながら俺に向かって次々と馬鹿にされ続ける毎日、そんな日々が何ヶ月も続いて俺も少し耐えられそうになくなってきた。美少女に罵倒されるなんてご褒美だろとか言う特殊性癖の方とは違うので俺もコイツらとは長い付き合いだが、そろそろ距離を置くべきなのかと悩んでいる。
とりあえず、いつか飽きてくれるのを待つしかないか…………
◇◆◇
「修也、ちょっと燃えやすそうな木の棒でも探してきてくれないか?湿ってるのとかじゃなくてちゃんと乾いてるのを。」
「分かったよ、父さん。」
「お兄ちゃん任せた。」
「お前は働け。」
次の日、俺は近くの山に家族でキャンプに来ていた。食材を確認する母親、着々と準備を進める父、椅子に座って動かない妹。働け妹。
とりあえず俺は木の生えている近くのところまで行った。途中途中で木の棒を拾いながら奥まで歩いていく。そのまま歩いていたら、急な崖のところで止まった。
「うお!危な。ここ崖か。じゃあ、そろそろ戻るか。これぐらいありゃ十分だろ。」
俺は溢れるほどの量の木の棒を持ちながら向きを変えて歩き出そうとした。しかし、木の棒を大量に持っていたせいか、一本木の棒が落ちた。しかし、俺は足元が見えなくなっており、そのまま進もうとした時、右足で落とした木の棒を踏んで体勢を崩した、それも後ろに。
つまり何が言いたいかって、端的に言おう。後ろから崖へとダイブする事になった。
そうはならんやろ………なっとるやろがい!
真っ逆さまになって落ちている時、特に俺の脳内には走馬灯とやらは駆け巡ってこなかった。ただ、思ったのは。
あ、やばい。これ、死—————
そうして俺は真下の地面に高さ数十メートルを頭から落っこちて衝突した。当然助かるわけもなく、俺は何もできずに死んだ。
そうして俺はあの三人にも何も言えないまま生涯を終え、その人生の幕を閉じた。
………………はずだった。
——————————————————————————————————————
本当はこれ出すつもりなかった。でも、お茶濁しで出した。
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