他の誰よりきみが好き

霜月 識

第1話 月とスッポン

 「っはあぁ~…ねっむ…。」

 そんな間抜け面をしながら歩いていると

 「でっっ!!」

 電柱にぶつかってしまった。

 「いててて…」

 俺の名前は周防 諒。今日から高校2年生だ。朝から電柱にぶつかってみっともない姿をさらしてしまったことは忘れてくれ。

 「朝までゲームしなきゃよかった…」

 そんなため息をつきながら少し歩いていると、

 「はぁ…着いちゃったなぁ…」

 俺が陽キャの次に苦手なもの。それが学校である。

 なんで将来使いもしない数学や理科などをわざわざ教えてくるのか。そして成績が悪かったら強制的に補修って…。

 まぁ、そんなこんなで俺は学校が苦手だ。

 今年もただ退屈な毎日が続くだけ。

 クラスに入ると、もう友達どうしで固まっているところもあった。俺は自分の席に着くと

「始業式終わったら…何しよ。」

 まだ全然先のことを考えていた。すると誰かがでけぇ声で

 「おい!このクラスに転校生来るってよ!!」

 まさかの急な転校生くるぞ問題。まぁ学園ドラマでありありな設定だが、俺は他人事のように考えていた。

 始業式が終わり、いよいよその転校生のお披露目となった。

 「皆さんこんにちは。入江 月と申します。一年間どうぞよろしくお願いします。」

 そのクラスにいた担任以外の全員が固まって、その転校生に釘付けだった。

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