救出劇は折返し地点

 ねんされたセキュリティシステムは、強化されたからくりおんいたいおんの前では無力だった。あまりにもあっさりと破られたそれに、出番のなかったせいは生気のけた目をしている。

「そりゃ、そうなるっすね。うちのたいがいなセキュリティシステムも秒殺してましたもんね。そんな相手が強化されりゃ、人間にはどうにもできないっすよ。ねえおれ、ついてきた意味ありました?」

「備えあればうれいなしって言うじゃん! 帰りにも何か起こるかもしれないし」

 だんであれば大いにからかうあまですら、思わずなぐさめてしまうほどのふさみっぷりである。

「このまま何事もなく帰れたら良いのですけれど」

 のんあまに同意し、りょうようばいようそうのぞんだ。

「難しそうですね。ここからおんを出すには、時間がかりそうです。まだ、これごと持って行った方が早いと思います」

 たんそくするのんの判断を受け、そくに、本来なら備え付けられているはずの非常用バッテリーをかくにんするあませいえの早さは当然のこと、何しろここは、敵地のド真ん中なのだから。

 ほう改造されたりょうようばいようそうであったが、さいわいなことにきんきゅうなん用の備品は一通りそろえられているようであった。一通りどころか、小旅行に出られるくらいの予備バッテリーが積まれていたり、外付けの車輪がすでに取り付けられていたりと、もしかしたら組織は近々きょてんを移すつもりであったのかもしれない。

わたりに船と言うべきか、かんいっぱつと言うべきか」

 警報装置が作動しないよう、念を入れながらも、のんつぶやかずにはいられない。

「何だって良いじゃん、ちゃっちゃと出発だ!」

 あまの言うことももっともなので、のんおんに、出発することを告げる。りょうようばいようそうの中のおんはピクリとも動かなかったが、このしゅんかん、ザイオンサーバーは全ての業務をだいたいぎ、活動を停止した。

 一連の動作をかくにんしたのんあまうなずき、せいが護衛に指示を出す。救出劇もいよいよおおめ、だっしゅつしてかんするまでが作戦なのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る