現状把握

 のんの大改修にさんげつかったからには、あまの方も、短く見積もってすら、おそらく同程度かるだろうというのが、みないっした見解だった。

のんちゃんの時は、プログラムのくせあくするのに時間けたっすけど、あまの兄ちゃんの場合は、バグを探さないといけないっすからね」

 せいの言うことは、もっともである。

「この指示書、全部その通りにやるんですかね?」

「やるしかあるまい。やらなかったとしても、ぐに判明するだろう?」

 今までにもあまの点検を手伝ってきたはずののんが、あまの指示書を見てしりみしている。おんの方も、あきらめろと口では言いながら、げんなりとした表情だ。

 のんは、ふと気付いたようにおんを見た。

「私とあま兄さんがこれだけ部品こうかんするのに、おん兄さんは何も無しですか」

「そういうわけでもないのだがな」

 口ごもるおんの代わりに、としてふうが語ったところによると、おんの方もへいこうして部品の大半をこうかんされており、後は、のんによる思考用プログラムの最終チェック待ちとのこと。

「すっごく楽しそうですね?」

「楽しいわよ! 最先端技術を見学し放題だなんて、これほどき肉おどることはめっにないわ!」

 はしゃぐふうだが、かのじょもしっかりと担当分以上の仕事をこなしている。せいの補佐も行いつつおんゆくを追い続け、その候補地をすうしょまでしぼんだのは、情報屋のめんもくやくじょというべきか。

 後は、のんの持つ情報と照らし合わせてさらに候補地をしぼり、ザイオンサーバーのだいたいおんそうだいえ劇を行うだけだとふうは笑う。

 先に自身の電源を落としていた関係で、ふうおんりを知らないのんは、いつの間にかおん救助の話まで進んでいることに目を白黒とさせた。しかもおんの居る場で堂々と話をしているということは、おんもそれを認めているということに他ならない。

 思わず、今度はうかがうようにおんを見たのんおんのんほほんだ。

のんのおかげで、おんも助かりそうだ」

 経過はどうあれ、今はおこっていないと察してのんも安心したようにそうごうくずす。まだまだやるべき事は山積みながらも、場は明るい空気に満たされていた。

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