仁志君、再び!
崔 梨遙(再)
1話完結:1900字
『【新】危機一髪』で、ドイツでヒドイ目に遭い中国で美味しい思いをした仁志君。学校を卒業しても、仁志君には彼女が出来なかった。その時仕事の関係で、僕は滋賀に、仁志君は名古屋にいた。
仁志君に彼女を作るため、仁志君は車で滋賀に来た。夏。琵琶湖へ行った。人はそんなに多くはなかった。いても、家族連れが目立った。ターゲットがいない。だが、獲物を探す鷹のような目で探していると、ビーチパラソルの下に座っている女の娘(こ)2人組と出会った。24~25歳の美人2人組。痩せているのに胸はあり、腰がくびれていたからビキニがよく似合っていた。
僕達は2人組に話しかけた。白いビキニが麻衣、黒いビキニが結衣だった。僕達は自己紹介がてら少し語ると、麻衣も結衣も23歳のOLだとわかった。仁志君はハイテンション。フリスビーを楽しんだ。だが、フリスビーだけでは飽きてくる。お昼時になったので、食事に誘っていたときに、思わぬライバルが現れた。
イラン人の3兄弟だった。3兄弟の母親までいた。そして、彼等はバーベキューの用意をする。慣れている。手際が良い。そして、母親がやって来て麻衣と結衣をバーベキューに誘ったのだ。僕等が見ている前で! 僕等は完全に舐められていた。
ムカつくので、イラン人兄弟のケツを蹴ったりしてみたが、彼等は僕等が何をしようと無視して、麻衣、結衣とずっとかたことの日本語でデレデレしながら喋っていた。そして、麻衣と結衣は完全にイラン人一家に吸収されてしまった。
僕等の完敗だった。
僕等は対イラン戦、ホームで負けたのだ。イラン人兄弟のケツを蹴り続ける仁志君を僕が諭した。
「今回は、僕達の負けや」
僕等は試合に負けたような気分で僕の家に帰った。まだ3連休の初日だ。まだ2日もチャンスはある。
翌日、また僕等は琵琶湖に姿を現した。いた! かわいい女性2人組。勿論、僕等は急接近。白いビキニが千春、20歳。青いビキニが多香子、21歳。千春と多香子は高校の時のバレーボール部の先輩と後輩の関係だったらしい。
話していると、多香子には彼氏がいることがわかった。千春は彼氏がいない、仁志君が狙うのは、当然、千春ということになる。千春はかわいくて、小柄ながらダイナマイトボディーだった。僕は、ちょっと仁志君が羨ましくなった。
多香子と協力して2対2に別れてトークタイム。僕は多香子とかき氷。多香子と話している内に、多香子が彼氏に不満を抱いていることがわかった。それで、
「千春ちゃんと仁志君も上手くいきそうやし、僕等もデートしようか?」
と言ったら多香子にOKされた。仁志君に協力していたら、僕にもいいことがあった。良いことをしたから、ご褒美をもらえたのだろうか? 多香子は充分魅力的な女性だった。
それから、カラオケに行って食事をして、仁志君と千春に“明日、ドライブに行く”と約束させた。僕も多香子と遊びに行くことになった。
その夜も、仁志君は僕のアパートに泊まったが、仁志君は緊張しているのか? 興奮しているのか? なかなか眠れなかったようだ。
朝、僕達はそれぞれデートの待ち合わせに向かった。僕は、多香子とのデートを楽しんだ。そして夜、仁志君から電話があった。
「おう、どうやった? 上手くいったんか?」
「うん、千春ちゃんと付き合うことになった」
「おお! よかったやんか」
「でも、もうフラれた」
「別れるの早いなぁ! 何があったんや?」
「信号待ちの度にキスをしてたら、“怖いから、お付き合い出来ません!”って言われた。キスし過ぎたんかなぁ?」
「そりゃあ、怖いやろ。キス魔になってしまって怖がられたんやったら、もうどうすることも出来へんなぁ。でも、なんでそんなことするねん? 普通のことが出来へんのか? 逆の立場になって考えたらわかるやろ」
「うーん、何も言い返されへんわ」
後日、合コンを控えた仁志君から電話があった。
「明日、合コンやねんけど、何を話したらええかわからへん。なんて言ったら口説き落とせるかな?」
「そんなキラートークは無いわ。でも、こっちが話すのも大事やけど、相手の話を聞くのも大事やで。ほんでな、ここや! っていうところまで来たら“ええやん、ええやん”、これや!」
「わかった!」
「合コンに行って来たわ」
「どうやった?」
「ずっと、“ええやん、ええやん”って言うたけど、アカンかったわ」
「あのなぁ、“ええやん、ええやん”でええんやけど、“ええやん、ええやん”だけではアカンやろ!」
「わかってる、合コンの主催者にめっちゃ怒られたから」
そんな仁志君も、今頃は結婚して暖かい家庭を築いているのだろうか? 僕は彼の幸福を祈っている。
仁志君、再び! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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